国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2013年06月30日

台湾の博物館訪問(5)―国立台湾大学と順益台湾原住民博物館

 628日夕方、国立台湾大学の人類学博物館と台湾原住民族図書資料中心を訪れた。博物館には1928年に創設された台北帝国大学の土俗学・人種学教室に所属していた移川子之蔵(18841947年)、宮本延人(190187年)、馬淵東一(190988年)らが収集した資料が当時の木製展示ケースに入れられたまま展示されている。図書館には、台湾原住民に関する膨大な文献図書資料が収集されている。館員の鐘承育さんは、今後太平洋のオーストロネシアン関連書も収集すると話していたので、拙著を贈ることにしよう。
 629日は、国立故宮博物院を訪れた。2度目であるが観覧者の多さと騒々しさは変わっていない。2室で特別展を行っていたが、常設展の展示物のほか、膨大な文化財が収蔵庫にあることを物語っている。そのあとで、本館と学術協定を結んでいる順益台湾原住民博物館を訪れた。3年前に協定調印の際、游浩乙館長に本館への台湾原住民研究の助成金のお礼を述べ、本館との共同展示などについて話した。今回は、林威城研究員の案内で新しい展示場の見学と今後の展示構想などの説明を受けた。この博物館は、戦後に原住民文化の消滅を恐れた素封家(游館長)によってその民族資料を収集・所蔵・展示するために設立された。原住民諸族の衣装や生活用具をコンパクトに展示している貴重な博物館である。

    国立台湾大学の人類学博物館      順益台湾原住民博物館
 
 現在みんぱくは約6千点の台湾原住民族の資料を所蔵している。そのうち、順益台湾原住民博物館と国立台湾歴史博物館には、資料を里帰りさせて特別展を開催した。今後、みんぱくは、台湾の博物館との間で協定を締結して個々の博物館が所蔵する資料の共同利用を進めるとともに、その情報をインターネットで交換してデータベースを作成し、世界に発信する計画を進めている。データベース作成には、ソース・コミュニティの人びとから資料についてのより詳しい情報を収集し、さらに写真や文字資料を加えるなど、資料の精度を拡充する。この話を国立台湾歴史博物館の講演で述べたところ、強い関心を集め、これからフォーラム型の情報データベースの作成に向けて話を進めることにした。
 

2013年06月30日 16:00 | 国際学術協定ほか