国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2013年02月06日

フランスとオランダの博物館などの見学(4)―ライデン国立民族学博物館(National Museum of Ethnology, Netherland)

 2月4日ライデンの国立民族学博物館とシーボルト・ハウスを訪問した。民族学博物館は、フォン・シーボルトの日本収集品の収蔵を展示するために1864年つくられた日本とゆかりのある博物館である。現在、常設展は民族誌的展示を維持し、特別展でソース・コミュニティ(資料をつくり使用している人びとの住む社会)と連携した展示を行っている。常設展は、インドネシア、南・東南アジア、オセアニア、南西・中央アジア、アフリカ、日本、韓国、中国など広くカバーしている。当日、館長は日本出張で留守のため、ビジネス部長のジョン(John Sijmonsbergen)さん、アメリカ研究者のラウラ(Laura van Broekhoven)さん、オセアニア研究者のオヌ・ヴェイズ(Wone Veys)さんと現代の博物館の収集と展示の在り方について話し合った。

 現在の当博物館の展示戦略は、本質的な民族誌展示と現地社会との連携展示を組み合わせた、フォーラム型の展示を行うことであるという。例えば、2010年の特別展には、ニュージーランドのマオリ族と連携し、全長30m 戦闘用手漕ぎカヌーを現地でマオリの人びととともに製作し、それをライデンに運んで、マオリの人びとも招聘して進水儀礼を博物館で行った。マオリの人びとは数週間ライデンに滞在してカヌーの漕ぎ方やマオリの踊りなどを披露してオランダの人びとにマオリ文化を伝えるとともに、交流を深めた。現在でも、カヌーは希望者を募って、博物館前の水路を手こぎの航海実習に使われている。
 また、2012年の特別展はカナダの太平洋岸に住む先住民・クワクワカワクゥウ(Kwakwakawaku、別名クワキウトル)族と連携し、トーテムポールを作成してもらって博物館に建て、ポトラッチに使われる贈答品を展示してある。ポトラッチ(「食物を提供する」の意味)は、北西先住民諸族社会で社会的な地位と名誉を獲得するために、膨大な食料や生活用品などを多くの人々に分配する儀礼的な贈与慣行である。ポトラッチの品々、毛布、銅版など伝統的な贈物のほかプラスチック製容器、布、食器などを展示してある。背後の壁には大型テレビで現地のポトラッチの様子を映し出し、ポトラッチの迫力を見せている。さらに先住民の儀礼用仮面を現地の博物館(ウミスタ・カルチャーセンター)から借用して展示してある。特別室には、中国西安の兵馬傭博物館から借用した文化財を展示している。この博物館は、インドネシア、スリナムなど旧植民地の資料を中心に約30万点を所蔵し、年間10万人の入館者があるという。

2013年02月06日 14:20 | 全体 国際学術協定ほか