国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2013年02月06日

フランスとオランダの博物館などの見学(5)―シーボルト・ハウス(Siebold Huis)

 シーボルト・ハウスは、日蘭交流400年記念して改築し、2005年3月にオープンした独立法人である。コーディネーターのディック・ラーツゲバー(Dick Raatgever)さんのお話では、シーボルトは文化的資料と動植物資料など約25000点の日本資料をオランダ政府の資金で収集したが、そのうち民族学的資料8000点を博物館が所蔵しているという。2階建ての展示室には、和船や日本家屋の克明な25分の1模型、からくり玩具、螺鈿細工の漆器、楽器や木工細工などの展示によって、19世紀前半の日本人の生活を詳細に知ることができる。家屋建築は、建築過程が逐一表現されており、家作りを可能にする技術伝承をも記録しているかのようでる。民族学的にも、科学的にも、そして芸術的にもすばらしいコレクションであることを改めて感じさせられた。
 
 フランスとオランダの博物館を見学したが、民族学博物館は今、二つの方向に動き始めている。一つは、民族誌的な展示を薄めて、研究対象の博物館から「美術館的」な表現と観賞的展示を重視する方向、もう一つは民族誌的で本質的な展示を踏襲しながら、グローバルな動きや文化社会の変化を視野に入れ、あるいはソース・コミュニティとの連携を強める展示を重視する方向である。前者には、ケイ・ブランリ、後者にはトロッペン、ライデン国立民族学博物館が当てはまる。一方、ドイツやロシアの多くの博物館は、これまでどおり民族誌的な展示を行ってきている。
 
私は、みんぱくの展示について、常設展では民族誌的展示を軸に、グローカル(世界規模の文化変化を現地の文化に取り込む)展示、そして現地の人の意見も取り入れた展示をおこない、特別展では、本館所蔵33万点の民族資料の中で美的な特徴をいかす展示を展開していきたいと考えている。

2013年02月06日 14:20 | 全体 国際学術協定ほか