国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2014年05月22日

国際人類学・民族学科学連合(IUAES)中間会議参加者の訪問

 日本文化人類学会は、創設50周年の記念事業の一環として、国際人類学・民族学科学連合2014年中間会議(International Union of Anthropological and Ethnological Sciences: IUAES Inter-Congress 2014)を5月15日から18日にかけて千葉幕張の国際会議場で開催した。また、17日・18日は、日本文化人類学会第48回の研究大会(JASCA 50th Anniversary Conference + IUEAS Inter-Congress 2014)が同会場で開催された。
  この会議には、海外400人、国内500人の計900名が参加した。国立民族学博物館も共催機関となり、IUAESに積極的に参加した。民博の教員は9つのセッションを組織し、また他の機関が組織したセッションにも参加し、20名余が発表を行った。
  また、民博は、国立新美術館との主催、日本文化人類学会の共催のもと、六本木の国立新美術館で特別展「イメージの力―国立民族学博物館コレクションにさぐる」(2月19日~6月9日)を開催し、国際研究大会期間中には多くの国際研究大会参加者が見学した。
  中間会議終了後、民博を訪問してくださった研究者の方々を紹介することにしよう。

  
(1)ブリティッシュコロンビア大学(UBC)・人類学博物館(MOA)館長

 カナダのブリティシュコロンビア大学(University of British Columbia: UBC)付属の人類学博物館(Museum of Anthropology: MOA)のアントニー・シェルトン(Anthony Shelton)館長が5月19日に吉田憲司教授の主宰する国際コロキアムに出席するために本館を訪問した。シェルトンさんは、24年にわたりイギリス、ポルトガルなどで人類学の教育、博物館のキュレイター、博物館行政を経験され、13の展示にかかわるなど、博物館学と芸術人類学の分野で活躍されている。当日は、岸上伸啓副館長、吉田さんと私とシェルトンさんとの間で、UBCが作成している民族資料のデータベースについて、人類学博物館(MOA)と民博の間でそれぞれのコーナーを設けて資料を展示したらどうか、2017年にはカナダ日本友好100年にあたるので国際連携展示を計画してはいかがか、MOAはアイヌ資料などの日本資料と中国資料を約4000点所蔵しているのでその有効活用などについて話し合った。

  
(2)フランス国立開発研究所(IRD)の映像人類学者

 フランス国立開発研究所(IRD: Institut de Recherche pour le Développement)の映像人類学者エスター・カッツ(Esther Katz)上級研究員とチャールズ-エドワード・スレマイン(Charles-Edouard de Suremain)研究員、そしてベルギーのリエージュ大学(Université de Liège)のエロディ・レジイ(Elodie Razy)教授が5月20日に訪れた。飯田卓准教授と山本睦機関研究員とカッツさんのメキシコや中米の映像撮影、アマゾン流域の環境問題や中米の食糧危機 などを話題に話し合った。

 
 (3)欧米の人類学会長らの訪問

 アメリカ人類学(AAA)会長のモニカ・ヘラ―(Monica Heller)トロント大学教授、ヨーロッパ人類学会長のスサーナ・ナロツキー(Susana Narotzky)バルセロナ大学教授、アイセ・カグラー(Ayse Caglar)ウイーン大学教授が、私の親友ニコ・ベズニエ(Niko Besnier)アムステルダム大学教授とともに本館を見学するために5月21日に訪れた。岸上伸啓副館長とともに4名のゲストと、AAA学会へのアメリ カの人類学者の参加が多くないことやその研究動向、ヨーロッパの国々で人類学のコースが社会学と統合され傾向にあること、オランダの博物館(トロッペンと ライデン)が統合される予定であるなどの話題について話し合った。岸上さんは、アイセさんとカナダのマギル大学に同じ時期に留学しており、30年ぶりの再 会に驚いていた。アイセさんはトルコ出身でおじさん(Bozkurt Guvenc)が人類学者で日本に滞在して「日本文化」についてトルコ語の本を刊行しているとのこと。民博の展示をみて、新しいコンセプトで整った文化展 示であると関心を示していた。

 
(4)アボリジニ研究者の訪問

 オーストラリア国立大学のハワード・モーフィー(Haward Morphy)教授が神戸大学の窪田幸子教授の主宰する本館の共同研究会で 「息づくコレクション―オーストラリアアボリジニの芸術と物質文化の研究」について報告するために5月22日に訪問した。モーフィーさんは、オーストラリ アの北東アーネムランド(イルカラ)の地に住むヨロング(Yolngu)をはじめ多くのアボリジニの調査と映像撮影を行ってきた。博物館と大学の間を行き 来し、人類学調査、キュレイター、展示などの仕事を行っている。東京の国立新美術館の本館の展示「イメージの力」展でも、入館者に解説の時間をとってくれ たとのこと。現在の関心は、ヨロングの映像、写真、アーカイブスや民族資料を全体として記録に残すことであると語っていた。

2014年05月22日 13:44 | 全体 海外からの来客