国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2014年11月03日

フィリップ・デスコラ教授の講演

 フランスの社会科学高等研究院(Collège de France, École des Hautes Etudes en Sciences Sociales)のデスコラ(Philippe Descola)教授が11月3日に本館と日本文化人類学会との共催で講演を行った。デスコラさんは、世界的に著名な人類学者で、エクアドル・アマゾンに暮らすアシュアール(Achuar)の社会で1976年から2年半にわたりフィールドワークを行い、民族誌『飼い慣らされた自然』を刊行して自然と文化を統合的に捉えるモデルとしての「自然の人類学」を提唱した。
 今回の訪問は、国際花と緑の博覧会記念、第22回(2014年度)コスモス国際賞の受賞での訪日の機会に本館の見学と本館での講演を希望されたことによる。本館名誉教授の秋道智彌さんと本館教授の池谷和信さんの協力で講演会が開催された。タイトルは、「イメージの人類学」(Anthropology of Images)で、自然と文化を捉える新しいパラダイムを説いた。それは、「人間は現実世界における類似と異質の要素を取捨選択することによって自らのアイデンティを構築するという」認識に基づいて、その構築過程が身体性(physicality)と内面性(interiority)を識別する人間の知的能力に根ざしているとの見方を前提にする。その考えに基づいてアニミズム(Animism)、自然主義(Naturalism)、トーテミズム(Totemism)そして類推主義(Analogism)の4つのスキームで人間の自然認識や社会的存在の基準、および独自の社会形成の様態を捉えることによって、人類の文化の多様性を論証した。
 デスコラさんは、本館の展示の観覧を目的としており、朝の10時から2時間をかけて常設展、またお昼の後特別展「イメージの力」もじっくりと観賞した。本館展示ではとりわけ日本展示のお祭りのコーナーに強い関心を示し、「まさにアニミズムの具現である」と述べていたのが印象的である。

2014年11月03日 15:36 | 全体 海外からの来客