国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2015年04月15日

タスマニア大学の物質文化研究者の訪問

民博は昨年(2014)度から8年間の「人類の文化資源に関するフォーラム型情報ミュージアムの構築」のプロジェクトを文科省の特別経費の交付を受けてスタートさせた。第1年目から2年間の小型(拡充型)プロジェクトとして、本館のピーター・マシウス教授と林勲男准教授が「ジョージ・ブラウン・コレクション」(南太平洋の19世紀後半の民族誌資料)のデータベース拡充を進めている。民博は約3千点のジョージ・ブラウン・コレクションを所蔵しており、その資料の熟覧にタスマニア大学元教授でフィジーなどの物質文化の研究者、ロデリィック・ユウィンズ(Roderick Ewins)博士を招聘した。博士は2週間にわたり、仮面、彫像、籠類、タパなどを詳細にしらべ、とりわけ貴重な資料について情報を付加してくれた。
ジョージ・ブラウン・コレクションは、イギリス人のメソジスト系宣教師ジョージ・ブラウンが、1860年から20世紀初頭にかけて布教活動に従事した、サモア諸島、パプアニューギニアのニューブリテン島やニューアイルランド島、トンガ諸島、ソロモン諸島などで民族誌資料を収集した。1917年にシドニーにて死去(享年82歳)。この3000点余の収集品は、1921年にブラウンの故郷イングランド北部のバーナード・キャッスルにあるボウズ博物館に売却された。その後、1954年にキングズカレッジ(現ニューキャッスル大学)に転売、1974年には同大学の附属ハンコック博物館に移管されたが、維持管理に困った大学は、コレクションの売却を決定した。ジョージ・ブラウン・コレクションは数奇な運命をたどったが、民博が法的手続きを踏まえて1986年に購入し、所蔵している。
ユウィンズ博士によると、個々の資料の質にばらつきはあるものの、ジョージ・ブラウンコレクションの中には欧米の第一級の博物館にも引けを取らない、歴史的・民族誌学的にも価値ある資料が含まれていると高く評価している。

2015年04月15日 13:39 | 全体 海外からの来客