国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2015年07月30日

中国民族博物館の館長と研究員の本館視察

 中国は国家事業として中国民族博物館の創設と開館に向けての準備に入っている。国務院が1985年に民族文化宮から独立した民族博物館の創設を決定したにもかかわらず、建設計画は順調に進展して来なかった。ようやく数年前から計画が進捗し、50名近い館員が建設と開館に向けて活動しているという。建設予定地は、北京オリンピックの主会場、鳥の巣競技場のそば。開館は6年後を目標にしている。
 7月30日、中国民族博物館・館長の顧群(GU QUN)さんをはじめ、建設弁公室副主任の張学軍(ZHAHANG XUEJUN)さん、研究展覧一部副主任の唐蘭冬(TANG LANDONG)さん、収蔵部館員の邱先鵬(QIU XIANPENG)さん、信息中心副主任の岳小莉(YUE XIAOLI)さんの5名の博物館を主導する館員が訪れた。本館からは、岸上伸啓・吉田憲司両副館長と中国研究グループの、塚田誠之教授、韓敏教授、横山廣子教授、河合洋尚助教が対応した。中国民族博物館の建設に関する本館視察は、2010年6月に中国国家民族事務委員会主任の楊晶さん2012年10月に民族博物館研究部主任の鄭茜さんら、そして今回と3回である。
 今回は、午前10時から午後5時まで滞在し、午前中は本館の財政基盤、研究部体制、博物館活動について質問と議論をくりひろげ、午後からは展示場、収蔵庫を見学して展示コンセプトや演示手法、資料保存やデジタル化、発信とインターネットによる利用方法など、博物館建設に向けての具体的な情報収集を意欲的にすすめた。顧館長は本館を中国民族博物館のモデルと位置づけており、人類学・民族学の研究機能を重視し、文物の展示、資料の保存・修復、および所蔵資料のデジタル化による発信の諸機能を統合した博物館の建設を目指しているという。
 現在までに、民族文化宮が収集したモノを引き継ぎ、9万点の文物資料を所蔵し、開館までに12万点を収集する予定であるとのこと。当面は、中国の56民族の研究成果に基づく展示を進め、将来的には世界の諸民族についての研究を展開する予定である。今後本館と中国民族博物館は、人材養成、学術交流、展示・展覧会などの点で、協力連携する方向で議論を深める予定である。本館は、開館以降1980年代にかけて中国の民族資料の収集を、中国の民族文化宮の全面的協力によって実現したこともあり、新しい中国民族博物館の構築には支援する方針である。

2015年07月30日 13:26 | 全体 海外からの来客