国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

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2011年03月29日

台湾の原住民研究者、楊南郡さんの訪問

楊南郡さんは、台湾行政院原住民委員会の専門委員で、日本統治時代の日本人人類学者の学術研究のいとなみを調査する目的で訪館した。今回は台湾国史館の委 託をうけ、本館所蔵の鹿野忠雄さんのアーカイブスならびにアチック・ミュージアム資料を渉猟し、「鹿野忠雄の評伝ビデオ」を制作」することであった。
楊さ んは、日本統治時代の日本人研究者の研究成果、『台湾系統所属の研究』(馬淵東一)、『生蕃行脚』(森丑之助)や『山と雲と蕃人と」(鹿野忠雄)などを、 台湾の人びとのために翻訳している。楊さんの話によると、戦争末期に14歳で座間の海軍工廠に志願して勤務し、日本語を覚えたという。終戦後は、国立台湾 大学外国語学部を卒業後、英語教師などしたが、19世紀末から20世紀にかけて日本の研究者が地図もなき台湾の山地に分け入り、台湾原住民の調査研究を 行ったことに強い感銘をうけた。それで、台湾社会の「台湾化」が進む現代に、日本時代の調査資料を発掘して台湾の人びとに知らせることの重要性を痛感して いるという。原住民を含む台湾の人びとの歴史認識に日本の戦前の人類学者の研究がお役に立つことを願う次第である。

2011年03月29日 13:51 | 全体 海外からの来客