国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2015年10月08日

アメリカミシガンから「切り絵」の寄贈者・王瑞豊ご夫妻の訪問

 王瑞豊・林珠江ご夫妻は2014年3月にリニューアルオープンした中国地域の文化の展示場に北京の「望郷亭」の鮮やかな剪紙(切絵)を寄贈してくださった。その絵は華僑・華人と中国との関係の強さを我われに示してくれている。この繊細で美しい切絵は、中国の著名な民間芸術家、鄭蝴蝶さんの作である。この贈呈の契機は、本館の元准教授で現在早稲田大学国際教養学部准教授の陳天璽さんが王さんの神戸の友人から王さんを紹介されたことによる。
 王さんは、台湾からの日本への移民2世。大阪生まれ、高校・大学を卒業してから1970年代後半に一家で中国にわたった。文化大革命直前の中国の発展を支援したいという気持ちからである。王さんは日本語教師、林さんは日本語放送のアナウンサーとして活躍された。そして、1990年代に娘さんと息子さんの教育と将来を考えてアメリカのミシガンに移住した。
王さんご夫妻は、有志の方と2005年に北京の林におおわれた百望山森林公園の丘を切り開いて望郷亭を建設し、その後毎年のように道路やひろばなど周辺の環境を整備してきた(いただいたDVDに整備や補修の様子が記録されている)。今回は、北京の望郷亭建設10年の記念式典に参加する途路、本館に立ち寄ってくださったのである。京都在住の奥様の弟さんご夫妻も来館されて、その切り絵をはじめ、中国展示を観覧してくださり喜んでおられた。
 アメリカに移住してミシガンに20余年居住しながらも、ご夫妻は、自らの民族・文化的アイデンティティを中国との絆を望郷亭建設によって、そして生まれ育った大阪・日本への愛着もその切り絵の贈呈によって、それぞれ多元的に表されておられる。日本で生まれ育ち、中国、アメリカへと移り住むという、コスモポリタン的な生き方を追求され、その希望を実現された王瑞豊さん林珠江さんご夫妻の生き方に強い感銘を受けるとともに、寛容なご厚意にあらためて心から感謝する次第である。
 

2015年10月08日 13:43 | 全体 海外からの来客