国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

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2016年04月10日

インドネシアのバティック研究者の訪館

   2009年にユネスコの無形文化遺産として登録され、インドネシアが誇るバティック(ジャワ更紗)の日本への紹介と普及を兼ねた講演会「グローバル化の中のバティック―インドネシアの無形文化遺産の未来」が在大阪インドネシア共和国総領事館との共催のもと、4月10日に民博で開催された。この講演会開催にあたっては、本館准教授で民族音楽研究者の福岡正太さんがコーディネートするなど協力した。
 インドネシア総領事、ウイスヌ・エディ・プラティグニョ(Wisnu Edi Pratignyo)さんをはじめ、領事館のスタッフやインドネシアから専門家が本館を訪れて多彩なバティックを展示してくれた。講演会は、総領事の挨拶に続き、インドネシア・ガジャマダ大学世界遺産保護センター教員のラレットナ・アディシャクティ(Laretna T. Adishakti)さんがバティックのルーツと広がりと現代的な意味について話題を提供された。彼女は母校で建築学を学び、京都大学で文化遺産保存における地域住民の役割について研究して博士号を取得している。現在は、「緑の運動」と称し、住民参加による文化遺産や景観の保全活動にかかわる運動を主宰している。
 アディシャクティさんのあと、本館名誉教授で織機と織物の著名な研究者である吉本忍さんがジャワ更紗の今昔について講演した。館長室での談話では、吉本さんがバティックなどインドネシアの織物の調査研究を1970年からはじめ、大著を刊行するとともに展覧会を開催するなどこれまでの研究の足跡について語った。総領事は、吉本さんの広範な研究蓄積と民博のインドネシアの民族資料の収蔵や民族芸能の研究公演の実施について謝意を表された。民博はインドネシア共和国総領事館とは、インドネシアの「衣文化」紹介のプログラム開発、バリの民族芸能の公演、昨年春の東南アジア展示のリニューアルオープンの開幕式への総領事のご参列など、友好的な関係を維持してきている。
 私は20年前にジョクジャカルタ近郊の農村でバティックを家族でつくっている農家を訪れて、淡い青のろうけつ染めの美しい布を求め、今でもテーブルクロスとして使用している。このような手作りのバティックは、プリントの布が流通する現在、高級品として貴重になっているという。アディシャクティさんの話では、手作りのバティックは農村の女性の経済的自立や地位向上などの動きにつながっているという。

 

 

2016年04月10日 15:24 | 全体 新着記事