国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2016年04月13日

タイ国のシリントーン人類学センターからの訪問

 マハー・チャクリ・シリントーン王女(Princess Maha Chakri Sirindhorn)の生誕36年を記念して、1991年に創設、1999年に開所したシリントーン人類学センター(Sirindhorn Anthropology Centre: SAC)から13名の研究者と管理部員が4月13日に本館の見学に訪れた。同センターは15名の人類学や考古学の研究員と45名の技官や管理部のスタッフで構成されている。
 SACのミッションは、人類学資料の収集、分析、デジタル化を経て社会に公開することにある。より具体には、人類学的知識の普及、人類学とその関連分野の新しい研究開発、調査研究の発展および人類学的資料の収集・集積を通して学術研究を推進することである。
 SACの所長は、ソームスダー・リーヤワニット(Somsuda Leyavanija)博士で、若い研究員の活動を支援して、タイの学術情報拠点としてタイの博物館のネットワーク化を進め、同センターに情報博物館を構築したいと抱負を語っていた。運営会議委員のシラポーン・ナタラーン(Siraporn Na_-Thalang)教授、国際交流職員のタンヤーナン・ワラピポン(Tanyanun Varapipong)さんも同行した。当日は朝9時から、南アジア展示場、東南アジア展示場、ビデオテーク、収蔵庫、図書館、情報システム室などを見学し、午後2時過ぎから4時まで懇談を行うという、実に熱心な活動であった。来館の目的は、SACが現在進めている情報データベースや映像による民族誌資料の採録、そして2年後に予定している情報展示(Informative Exhibition)などについての情報収集と本館との連携についての話し合いである。
 研究員はみな若く、タイ社会の調査を行い映像を撮影するチーム、タイ全国の1200の地域博物館のデータベースを作成するチーム、また民族誌や民族集団に関する15のデータベースの横断検索を可能にするネットワークづくりに励むチームなどが目標に向かって積極的に活動しているようである。1990年代に京都大学東南アジア研究センター(故石井米雄さんが所長時)に6か月招聘された長老のシーサック・ワンリポ-ドム(Srisakra Vallibhotama)教授も同行されていた。教授は本館名誉教授の田辺繁治さんとは1970年代からランナータイ農村における灌漑研究をとおして知り合いとのこと。彼は同センター運営会議委員で、センターの研究員は技術畑の専門家が多く、人類学の専門家がいないのがこのセンターの問題だと指摘していた。
 SACの受け皿は、本館のタイ研究者の平井京之介教授、本館の図書館やデータベースについては久保正敏名誉教授、ビデオテークの説明は福岡正太准教授、収蔵庫の案内と解説は園田直子教授、展示の将来計画については野林厚志文化資源研究センター長と役割を分担して民博の説明を行った。今後の民博との学術交流の可能性について話し合い、同センターが研究主体の機関でないこともあり、展示と情報分野で連携する可能性を議論した。同センターが2年後の開館を予定している情報博物館のマスタープランとコンセプト等の情報を帰国後に本館に送付し、それに基づいて具体的な協力の在りかたについて検討することにした。

2016年04月13日 10:59 | 全体 新着記事