国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2016年09月29日

アルメニア大使の訪問

 民博では、企画展「ハチュカル―アルメニアの十字架石碑をめぐる物語」を9月29日から10月11日まで開催する。その開幕式典に駐日アルメニア共和国のグラント・ポゴシャン特命全権大使が列席された。ポゴシャン大使は、日本在住40年で国際基督教大学教授として数学などの授業を担当し、4年前から大使に就任された。アルメニアの知名度をたかめるための広報活動を積極的に展開して、昨年度は1万人を超す日本人がアルメニアを旅行するようになったという。
 本企画展は、民博の外国人研究員のゲヴォルグ・オルべリアンさんと本館准教授の新免光比呂さんが企画し、ハチュカル(十字架石碑)をとおしてアルメニアの文化と歴史を日本の方々に知ってもらうことを目的としている。民博は、これまでにアルメニアから「博物館学研修生」としてゲヴォルグさんはじめ6名の専門家を招いて、アルメニアの社会や文化を紹介してもらうなど親密な関係を維持してきた。
 アルメニアは、西暦301年に世界で初めてキリスト教を国(民族)の宗教とした。このキリスト教信仰を象徴するのがハチュカルであるといわれる。しかし、ハチュカルは古来からのアニミズム的な信仰とかかわり、今でも聖なる力を有していると見なされているという。墓碑だけでなく、魔除けやお守りとなり、救いや加護、勝利や長生を可能にし、または魂の救済と癒しをもたらしてくれると多くの人びとに信じられている。
本企画展の展示は、最近多くつくられるようになった小型ハチュカルと、京都精華大学の長岡國人名誉教授によって製作されたハチュカルの拓本が中心。
 歴史の中で度重なる苦難と迫害を経験してきたアルメニアの人びとは、このハチュカルを本国だけでなくディアスポラとして世界各地に離散した民族の誇りとし、また心をつなぐ証としているとのことである。
 
 式典後、大使は常設展示場の一部を観覧され、規模とユニークな展示手法に感激して帰られた。大使は、ハチュカルを、国際基督教大学と都心に建立されてアルメニアのキリスト教文化の浸透につとめている。

2016年09月29日 13:13 | 全体 新着記事