国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2010年09月27日

アメリカとカナダの博物館の展示と収蔵

<スミソニアン自然史博物館 モアイ像>

 
9月17日から23日にかけて岸上伸啓教授とともに、アメリカのスミソニアン、自然史博物館とカナダ文明博物館などを視察し、各博物館の館長やスタッフと 研究協定についての意見を交換した。スミソニアンでは国立自然史博物館の人類学部長のダニエル・ロジャー(J.D.Rogers)博士ら4名の教員から博 物館の国際連携、財政、展示、先住民との共働展示などについての説明を受けた。ニューヨークのアメリカ自然史博物館では、人類学部のローレル・ケンドール (E.Kendall)博士から人類学研究部の調査研究と展示について、館長のエレン・フッター(E.Futter)博士から館の運営と将来構想につい て、またポール・ビーリッツ (P.Beelitz )さんから収蔵庫を案内してもらい整理と管理の方法とその人的配置などについての話を聞いた。 両博物館の民族展示は、地域ごとのオーソドックスな手法を 踏襲している。それに比し、ニューヨークのメトロポリタン美術館のオセアニアとアフリカ展示は、天井の高い空間に民族を代表する資料を展示する、本質主義 的な視点からの展示手法がみられた。この展示コーナーは、入館者をひきつけ、関心を呼ぶものであった。
 

<メトロポリタン美術館 オセアニア展示場 ビスポール>

 
カナダの文明博物館とは昨年の本館の特別展示「自然のこえ、命のかたち」の協力関係にあったこともあり、館長のビクター・ラビノビッチ (V.Ravinovitch)博士、ジェーン―マーク・ブレエイス(J-M.Blais)さんやニコラス・ガウビン(N. Gauvin)さんら多くのスタッフから財務、展示プログラム、収蔵庫の整理法などについて懇切なレクチャーを受けた。この先住民展示は、トーテムポール や家屋を復元し、標本資料によって物質文化の歴史的変化を民族ごとに展示している。また、ビル・モアー(B.Moor)さんは、収蔵庫の資料の形態・材質 別の体系的な保存整理には、毎年20名のスタッフが従事し、40年を要したと語っていた。
 

<カナダ文明博物館 トーテムポールと家屋>

 
上記の博物館の視察から、本館で進行中の新構築展示においてはグローカル展示を展開しているが、同時に地域や民族を代表するモノの展示、つまり本質主義的 な展示も不可欠であり、また、本館収蔵庫の標本資料の体系的整理を推進するための抜本的検討が必要であることを痛感した。
 

<アメリカ自然史博物館 収蔵庫>

2010年09月27日 17:48 | 全体 国際学術協定ほか