国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館長だより

館長だより
2010年09月15日

アフリカのアーティスト エル・アナツイさんの美術展

私が大英博物館とニューヨークの近代美術館で、その大きさと多彩な色づかいに強烈な衝撃を受けた作品がある。その作者、ガーナ生まれ、ナイジェリアで創作 活動をしているエル・アナツイさんが、本館の特別展「彫刻家エルアナツイのアフリカ―アートと文化をめぐる旅」(2010年9月16日~12月7日)開催 のため1週間滞在した。この特別展は、本館准教授でアフリカ美術の研究者である川口幸也さんの企画によるものである。
エル・アナツイさんは、アフ リカの生活風景や奴隷貿易の歴史などを古木を材料に表現してきたが、2000年ごろから、空缶、リカー、ワインのふたやシールなどのアルミ箔を延ばして銅 線でつないだ大きな「織物」を作りはじめた。これまでに2度、ヴェネツィア・ヴィエンナーレに招待され、世界的に名が知られるようになった。
本館 の特展では、「移動する大陸」「オゾン層」などのタイトル作品をはじめ12点のアルミ箔の巨大な織物、「あてどなき宿命の旅路」というタイトルの木彫など 70点余の作品が展示されている。また、それらの作品の文化・歴史的背景を本館所蔵の標本資料の展示によって理解を深める工夫をしている。エルアナツイさ んの出身集団エウェの木彫り、アサンテの染物・織物、ナイジェリアのイボやヨルーバの木彫などがある。
エル・アナツイさんは、今年ガーナにもステ ディオを作り、出身社会の伝統織物などをデザインに新しい素材での作品をつくると話していた。アフリカに拠点をおき、アフリカの人びとの心と歴史を描き続 けるとともに、今後は地球温暖化・気候変動など地球規模異常現象を作品のテーマに取り入れ、人類社会の課題をも視野に入れたエル・アナツイさんのユニーク な芸術活動に期待する。

2010年09月15日 17:55 | 全体 海外からの来客