国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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お知らせ

デジタル触地図(国立民族学博物館触知案内板)が
「2020年度グッドデザイン賞」を受賞しました。

 

趣旨説明

国立民族学博物館のデジタル触地図(国立民族学博物館触知案内板)が、このたび2020年度グッドデザイン賞(主催:公益財団法人日本デザイン振興会)を受賞しました。

デジタル触地図は、視覚に障がいのある人とない人が、分け隔てなく館内情報にアクセスできるインタラクティブな触地図システムです。タッチパネルティスプレイ上に設置したフィンガーガイドと音声案内との連動によって、館内の位置情報や展示案内を触覚と聴覚から得ることができます。フィンガーガイドは、今回新たに開発された、なぞりながら触る行為を促す新しいインターフェイスデザインです。
また、このデジタル触地図は、国立民族学博物館の文化資源プロジェクトにより開発されました。本プロジェクトのメンバーである九州大学大学院芸術工学研究院の平井康之教授、山口大学国際総合科学部の冨本浩一郎講師が主導してデザインしました。

すでに本館の展示場に2台設置され活用されており、今後も設置を増やす計画をしております。さらに標準デザイン化を目的として特許を取得し、他の博物館園への公開と普及も目指しております。

 

背景

このデジタル触地図は、国立民族学博物館の「来館者視点からの情報化」をテーマにしたプロジェクトから生まれました。「博物館の触地図は、なぜ一般の案内板と違ったデザインで、場所も離れたところにあるのか?」という素朴な疑問からスタートしました。プロジェクトの最初から視覚に障がいのある人とともに対話を進めた結果、触読に不慣れな人びとが多くいることがわかりました。現状の触地図は有効な経路探索ツールとしてJISやISOによって標準化されています。しかし、厚生労働省による『平成18年身体障害児・者実態調査結果』では、日本の点字の習得率は視覚に障がいのある人全体の十数%とされており、ごく一部の人びとしか使えない現状にあります。社会的にも、2016年4月に障害者差別解消法が施行され、博物館園では、多様な来館者に対する合理的配慮が求められています。デジタル触地図は、視覚に障がいのある人とない人が、ともに楽しむことができるユニバーサルミュージアムの実現を目指しています。

 

経緯と成果

国立民族学博物館の文化資源プロジェクトとして、研究スタッフ、デザイン専門家、潜在的来館者である多様な障がいのある人びとがともに考えるインクルーシブデザインによって開発しました。タッチパネルディスプレイの操作は視覚に依存するため、鉄道の線路と駅のように、動線を示す溝と音声ボタンの穴が一筆書きでつながった透明アクリル製のフィンガーガイドを画面上に採用しました。また既設の館内案内のデザインと共通化した、インターフェイスデザインによって、視覚に障がいのある人の「ための」デザインではなく、より多くの人が「ともに」利用できるデザインを目指しました。設置場所も一般の館内案内図と同じ場所に設置されています。すでに本館展示場に2台設置され活用されています。今後も設置を増やす計画です。さらに標準デザイン化を目的として特許を取得し、他の博物館園への公開と普及も目指しております。

 

グッドデザイン賞審査委員による評価コメント

優れたデザインアプローチの中心にあるのは人々を理解するための丁寧な調査であり、このデザインでは視覚障害を持つ人々への共感から、触覚によるコミュニケーションを通した道順検索システムの開発に至っている。デザイナーは最初の構想で、スマートで魅力的なインクルーシブ社会を実現するソリューションの開発というビジョンを明確にした。

 

デザイナー(九州大学大学院芸術工学研究院教授 平井康之)からのコメント

国立民族学博物館の文化資源プロジェクトでは、来館者視点からの展示体験のデザインに取り組んでいます。これまでインクルーシブデザインの方法で、プロセスの最初から多くの障がいのある人々との対話によって計画を進めてきました。その流れの中で、これまでの触地図は一部の人にしか使えないことがわかりました。そこで今回のデジタル触地図では、視覚に障がいのある人にもない人にも使いやすい情報提供を目指しました。同時に、今回のデジタル化は、大きな可能性を秘めています。今後、多様な障がいのある人々が、家で計画を立てるところから、目的とする展示物にたどり着くまで自分で選択できるようにデザインしていきたいと考えています。

 

詳細情報

受賞対象名 デジタル触地図(国立民族学博物館触知案内板)
受賞企業 国立民族学博物館
国立大学法人九州大学
国立大学法人山口大学
利用開始 2018年3月
仕様 【ハードウェア概要】サイズ:約W672.5×D430×H1040 / 構成:タッチパネルディスプレイ(市販品/27インチ/静電容量10点マルチタッチ)、透明アクリルに点字・触知記号を立体的に印刷した触地図、触地図アプリ制御用パソコン(市販品/windows8.1)、筐体(手すり:ステンレス/筐体:メラミン仕上げ)
【ソフトフェア概要】動作環境:windows8.1
プロデューサー 国立民族学博物館 吉田憲司(よしだけんじ)
ディレクター 九州大学大学院芸術工学研究院教授 平井康之(ひらいやすゆき)
デザイナー 九州大学大学院芸術工学研究院教授 平井康之
山口大学国際総合科学部講師 冨本浩一郎(ふもと こういちろう)
国立民族学博物館教授 日髙真吾(ひだかしんご)
国立民族学博物館教授 山中由里子(やまなかゆりこ)
 

グッドデザイン賞とは

1957年創設のグッドデザイン商品選定制度を継承する、日本を代表するデザインの評価とプロモーションの活動です。国内外の多くの企業や団体が参加する世界的なデザイン賞として、暮らしの質の向上を図るとともに、社会の課題やテーマの解決にデザインを活かすことを目的に、毎年実施されています。受賞のシンボルである「Gマーク」は優れたデザインの象徴として広く親しまれています。
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