国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

家族・民族・国家—―東アジアの人類学的アプローチ  2019年3月20日刊行

韓敏(編)

風響社
【機関研究成果】

出版物情報

主題・内容

本書は日・中・韓・米・台湾・香港の人類学者による民博共同研究の成果である。家族のディスコースと実態、「民族」構築の系譜、国家と社会関係のパラダイムという3方向から、世紀の中国研究に新たな視座を提示した。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

  • 人類学と歴史学の視点から東アジアの家族を俯瞰する。
  • 中華思想に由来する民族のディスコースと文化のフローについて、中国、タイ、ベトナムなどを比較する。
  • 科挙と地域のエリート、指導者の題字、民営企業、少数民族の教育について、中国大陸、台湾、カナダの事例から国家と社会の関係性を考察する。
  • 中国社会のヒエラルキー「差序格局」

目次

序文 中国文化における家族・民族・国家のパラダイム(韓敏)

第1部 人類学と歴史学の視点からみる東アジアの家族

  • 第1章  中華漢族の家族と家――東アジアの人類学的調査から見えるもの(末成道男)
  • 第2章  中国の宗族と家族千年史――江西省と広東省の事例から(賀喜、デビッド・フォール)
  • 第3章  日本統治時代における台湾郷紳宗族の婚姻モデルと婚姻圏
    ――新竹北埔の姜氏宗族を事例に(荘英章)
  • 第4章 文化の持続性、民族の融合とグローバルの視点から見る中国の家族(麻国慶)

第2部 民族のディスコースと文化のフロー

  • 第5章  漢文化の周辺異民族への「生/熟」分類(周星)
  • 第6章  モンゴル民族のシャーマン文化の伝承および保護に関して(色音)
  • 第7章  北タイ雲南華人の家族、教育と民族的アイデンティティ(黄樹民)
  • 第8章  中国少数民族教育とカナダ先住民教育の比較(彭雪芳)
  • 第9章  ベトナム客家の神祇祭祀と景観建設
    ――ホーチミンの観音閣を事例として(河合洋尚、呉雲霞)

第3部 国家と社会のパラダイム

  • 第10章 国家・社会の関係から文化の政治学を考察する
    ――中国における人類学的研究の概観(金光億)
  • 第11章 清代台湾におけるエスニシティと郷紳エリート
    ――1803年の孔子廟再建を事例として(コーエン・マイロン)
  • 第12章 文字と権威
    ――中国の公共的社会空間における毛沢東題字の可視化(韓敏)
  • 第13章「蜂の巣型社会」
    ――中国の経済と社会の構造転型を観察する新概念(張継焦)
  • 第14章 費孝通「差序格局」(『郷土中国』)精読の記録(佐々木衛)
あとがき

索引

執筆者

COHEN Myron L. 《コロンビア大学》

FAURE David《香港中文大学》

HAN Min(韓敏)《国立民族学博物館》

HE Xi(賀喜)《香港中文大学》

HUANG Shu-Min《台湾中央研究院》

KAWAI Hironao(河合洋尚)《国立民族学博物館》

KIM Kwang-Ok(金光億)《ソウル大学》

MA Guoqing(麻国慶)《中国中央民族大学民族学与社会学学院》

PENG Xue Fang(彭雪芳)《中国社会科学院民族学・人類学研究所》

SASAKI Mamoru(佐々木衛)《神戸大学》

SE Yin(色音)《 中国社会科学院民族学・人類学研究所》

SUENARI Michio(末成道男)《東洋大学》

WU Yunxia(呉雲霞)《広東外国語貿易大学》

ZHANG Jijiao(張継焦)《中国社会科学院民族学・人類学研究所》

ZHOU Xing(周星)《愛知大学》

ZHUANG Ying Zhang(荘英章)《台湾中央研究院》