国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館員の刊行物

東南アジア文化事典  2019年10月25日刊行

(編集委員長)信田敏宏、(編集委員)綾部真雄・岩井美佐紀・加藤剛・土佐桂子、(編集協力者)小川忠・福岡正太(編)

丸善出版

出版物情報

主題・内容

世界に類をみない多様性を有する東南アジア。その社会や文化の成り立ちから、人びとを魅了し続ける食文化や伝統芸能、どこか懐かしさを感じる生業や暮らしぶり、さらには、近年、関心が高まっている観光や文化遺産、そして日本との交流などを詳しく解説する。363の項目を200名以上の気鋭の研究者が、最新の研究成果をもとに執筆している。

おすすめのポイント(読者へのメッセージなど)

各項目は見開き2ページを基本とし、写真や具体的な事例を盛り込み、読み物として楽しめる分かりやすい解説になっています。研究者ばかりでなく、学生や一般の方々にも活用していただければと思います。

目次

I.東南アジアとは
第1章 東南アジアの概観
「東南アジア」概念の形成/東南アジア世界の特徴/東南アジアを取り巻く世界/東南アジアの生態区分/山地と平地/デルタの世界/海域世界/大陸部東南アジア/ベトナム/カンボジア/ラオス/タイ/ミャンマー/島嶼部東南アジア/マレーシア/シンガポール/インドネシア/ブルネイ/東ティモール/フィリピン/世界の中の東南アジア
第2章 東南アジア世界の形成と変容
東南アジアの自然と風土/季節のリズム/熱帯多雨林の世界/熱帯の森林産物と商品作物/東南アジアの海と島/ウォーレス線の区切る世界/先史時代の人の移動/考古学からみた東南アジア/インド化/王権と仏教/海のシルクロード/イスラームの到来/大航海時代/「商業の時代」の東南アジア/植民地化の波/「複合社会」の形成/19世紀と現代東南アジアの枠組み/ナショナリズムの諸相/冷戦構造の中で/東南アジアと開発/村の世界/都市の世界/グローバル化の時代へ/21世紀の東南アジア
第3章 人びとと文化
先住民/東南アジアの華人/東南アジアのインド系住民/東南アジアのアラブ系住民/ベトナムの民族/タイー,ヌン/タイ/チャム/クメール・クロム/カンボジアの民族/ラオスの民族/タイの民族/タイ山地民/タイのムスリム/ミャンマーの民族/カチン/ロヒンギャ/マレーシアの民族/オラン・アスリ/サバ州の民族/サラワク州の民族/シンガポールの民族/インドネシアの民族/ジャワ/スンバ/バリ/ブギス・マカッサル/バタック/ミナンカバウ/ブルネイの民族/東ティモールの民族/フィリピンの民族/イロカノ/セブアーノ/海民/難民と文化/カレン/ラフ
第4章 言語と教育
東南アジアの言語/言語・出版・教育/ベトナム語/カンボジア語/ラオス語/タイ語/ビルマ語/マレー語/インドネシア語/フィリピン語・タガログ語/少数言語と消滅危機言語/東南アジアの教育/高等教育/教育と開発/東南アジアのインド系文字/チュノム文字/ジャウィ文字
第5章 宗教と世界観
東南アジアの宗教/上座仏教(上座部仏教)/イスラーム/キリスト教/フォークカトリシズム/華人系宗教/新興宗教/ヒンドゥー教/精霊信仰/仏教と国家/寺院と出家/寺院と教育/イスラームと国家/モスクと礼拝所/ポンドック・プサントレンと教育/ハラール/声の文化と宗教/民間療法/呪術/宗教の共生/宗教と災害/宗教とソーシャル・キャピタル/水かけ祭り/断食明け大祭と犠牲祭
 
II.東南アジアの社会と文化の諸相
第6章 生業(なりわい)
狩猟/採集/焼畑/稲作/漁撈/水産業/家畜/プランテーション/アブラヤシ栽培/チャ栽培/ケシ栽培/バティック/染織/竹細工/土器/インフォーマル経済/家事労働/ジャムー売り/物乞い/廃品回収業/やくざ/売買春・男娼/出稼ぎ
第7章 社会に暮らす
双系制の親族関係/父系制の親族関係/母系制の親族関係/ベトナムの家族/カンボジアの家族/ラオスの家族/タイの家族/ミャンマーの家族/マレーシアの家族/シンガポールの家族/インドネシアの家族/フィリピンの家族/近代家族法/家族政策/高齢化問題/通過儀礼/葬式・お墓事情/普段着と晴れ着/台所と調理道具・食器/家屋・調度品/トイレ事情/庶民の足/村の共有資源管理/頼母子講/都市中間層・富裕層の暮らし/都市の集合住宅/都市スラムの暮らし
第8章 食文化
東南アジアの食文化/ベトナムの食/カンボジアの食/ラオスの食/タイの食/ミャンマーの食/マレーシアの食/シンガポールの食/インドネシアの食/フィリピンの食/ハラール食/ニョニャ料理/パダン料理/ゲテモノ/米/麺類/香辛料/共食/肉食/魚食/菜食/イモとバナナ/保存食/ナマコ/フルーツ/酒/ビンロウ/タバコ/コーヒー/喫茶文化/屋台/食と健康
第9章 芸術・芸能・娯楽
伝統音楽/楽器/ゴング/掛け合う歌/ポピュラー音楽/ロック,ポップス/伝統舞踊/コンテンポラリーダンス/東南アジア芸能における女形/仮面芸能/影絵芝居/人形劇/映画/B級映画/テレビドラマ/彫刻・絵画/工芸/衣服/現代アート/バリ島の近代絵画/古典文学/現代文学/ポピュラー小説/移動劇団/大衆芸能/現代演劇/音楽芸能の断絶と復興/華人の音楽芸能/東南アジアにおけるインドの音楽・芸能/賭け事・娯楽/格闘技/セパタクロー/闘鶏/子供の遊び
第10章 ジェンダー・セクシュアリティ
東南アジアの男女観/女性と政治/女性の高学歴化/フェミニズム運動/カルティニ/アウンサンスーチー/戦争とジェンダー/国家とジェンダー/民主化とLGBT/セクシュアリティの多様性/女性と経済/セックスワーカー/ジェンダーと開発/親密圏とケア/移民・ジェンダー・市民権/女性労働/看護師・介護福祉士/ディアスポラ/ジャパゆき/儒教とジェンダー/仏教とジェンダー/イスラームとジェンダー/ムスリムファッション/一夫多妻制/婚資
第11章  観光と文化遺産
東南アジアと観光/インバウンド観光とASEAN意識/グリーンツーリズム/メディカルツーリズム/コミュニティ・ベースド・ツーリズム/NGOのスタディーツアー/リゾート開発/LCCの成長/観光都市バンコク/OTOP(一村一品運動)/バリのヒンドゥー哲学(トリ・ヒタ・カラナ)/世界遺産の政治学/東南アジアの無形文化遺産/文化復興/ハロン湾/ハノイのタンロン遺跡/フエの建造物群/アンコール遺跡/プレアヴィヒア寺院/ルアンパバーン/スコータイと関連の歴史上の町/アユタヤの歴史上の町/パガンとピュー古代都市群/マラッカ海峡の歴史的都市群/キナバル自然公園/シンガポール植物園―シンガポールまちづくりの聖地/スマトラ熱帯雨林/ボロブドゥール遺跡群/バリ州の文化的景観/スルタン・オマール・アリ・サイフディン・モスク/フィリピン・コルディリェーラの棚田群/フィリピンのバロック様式教会群
第12章 新しい時代の流れ
ASEAN共同体/SEA Games/イスラーム世界の中の東南アジア/域内移民・出稼ぎ/SNSが拓く世界/東南アジアにおける中国のプレゼンスの増大/春節の祝い/超大型ショッピングセンターと生活文化/変わりゆく国民文化/NGO/フェアトレード・コーヒー/ショップハウス文化/鉄道網の広がり/肥満化/ベトナムにおける社会主義の現在/戦争顕彰モニュメント―英雄的ベトナムの母/インフラストラクチャー・フェティシズム/ブリラム・ユナイテッド/呪術的思考/アピチャッポン・ウィーラセタクン/イスカンダル開発計画/マリーナベイサンズ/シングリッシュ/JKT48/フィリピン大統領/フィリピノ・ホスピタリティ/バレンタインデー/政治風刺とラップ/テロリズム
 
III.日本と東南アジアの社会文化交流
第13章 東南アジアの中の日本 / 日本の中の東南アジア
戦国・江戸期の交流/明治から戦前までの交流/日本軍政の文化政策/教科書が映す戦時中の日本・東南アジア関係/戦後から田中反日暴動までの交流/交流の多面的拡大と深化/新しい交流の模索―東日本大震災をへて/日本人コミュニティの今昔/日本人学校/東南アジアで働くこと/現地邦字紙が伝えるニュース/東南アジアの日本語教育/東南アジアの日本研究/翻訳された日本文学/日本映画・テレビ/コンテンツ/アニメ・マンガ/J-POP/ファッション/日本祭りとその拡散/ローカライズされる日本食/ロングステイ/日本に暮らす東南アジア出身者/在日フィリピン人/在日ベトナム人/在日ミャンマー人社会の変容/在日インドネシア人/難民と二世,三世/外国人技能実習生/急増する東南アジアからの観光客/日本のタイ寺院/日本のモスク/東南アジア文学の翻訳/日本で見られる東南アジア美術/日本で上映された東南アジア映画/日本に紹介された東南アジアの音楽/日本社会に溶け込んだ東南アジアの食/東南アジア言語の学習