国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

ことばの達人

(6)南アフリカでは当たり前  2011年7月7日刊行
池谷和信(民族社会研究部教授)

お土産用ヘルメット=2010年12月撮影、ヨハネスブルグ国際空港で
アフリカ南部の中心都市ヨハネスブルク。100年以上前に金鉱が発見されて以来、発展してきた大都市である。昨年、南アフリカのワールドカップの決勝が行われた所としても記憶に新しい。メディアではここに暮らすアフリカ人の生活は貧しく、地域の治安の悪さが強調されてきた。

しかし、多くの人が一人で5~6の言語を話すことはあまり知られていない。どこで学習したのか、彼らが、これらの言葉を場面に応じて話す。この国は、かつてオランダや英国の植民地であったなごりとして、オランダ語が元となるアフリカーンス語と英語が使われる。

一方で、国内各地からアフリカ人が集まってきていたことが影響して、ソト語やツワナ語、ズールー語やコーサ語など、日本ではなじみの少ないバントゥー諸語が日常では話される。

アフリカ人は、スポーツのなかでもサッカーを好む人が多い。ブブゼラのほかにも、鉱山労働のシンボルとして欠かせないヘルメットは、応援に使われる。最近、多民族の人が集まる金鉱山で生まれた「ファナカラロー」という言葉も自由に話す人がいるのを知って驚いた。
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