国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ

2006年3月24日(金) ~3月25日(土)
《機関研究成果公開》国際研究フォーラム「小規模民族集団の現状と課題―東アジアにおける多様な文化の共生―」

  • 日時:2006年3月24日(金) 13:30~17:40/3月25日(土) 10:00~12:20
  • 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
  • 主催:国立民族学博物館
  • 言語:日本語/中国語(逐次通訳)
  • 定員:先着60名

このフォーラムは一般公開されます。参加ご希望の方は、以下の事項を明記の上、メールまたはFAXで申し込み、申し込み受付の連絡を受け取ってからご参加ください。(*印は必ず記入
 1)氏名*  2)メールアドレスまたはFAX番号(あるいは日中連絡可能な電話番号)*
 3)住所   4)所属先あるいは勤務先など

申し込み先:
 国立民族学博物館 民族社会研究部 横山研究室
 〒565-8511 吹田市千里万博公園10-1
   e-mail / TEL: 06-6878-8297(研究室直通/FAX共用)
   *3月20日以降: 国際協力係 e-mail / FAX:06-6878-8479

 

趣旨

人口約2万人のチノー族(雲南省)

年越しの祭「テモキュー」
(1994年)

村単位の年越しの祭の復活
(1994年)

家族ごとの炉が並ぶロングハウス内(撮影年に消失)
(1985年)
 

「腰機」による機織り
(1985年)

郷政府前の路上市
(1991年)

家でくつろぐ女性
(1989年)
以上写真は横山廣子撮影

変化の激しい現代社会において、民族的な文化とアイデンティティの問題は特に人口的に小規模な民族集団に先鋭化して現れます。人々が国家体制の中できわめて少数派の立場にありながら、どのように民族的アイデンティティや文化を維持しているのか、そこにどのような問題があるのか、あるいはその状況の中で人々と文化やアイデンティティとがどのような関係性を展開しているのか、国家の政策や行政はこの問題にどのように関わっているのか、互いの情報と意見を交換しながら議論します。

日本のアイヌ民族、中国の西北部や雲南の小規模民族集団に関する研究報告をもとに、周辺領域の研究者・実践者らからなる広範な参加者が討議することによって、当該の地域・民族集団の問題に留まらず、広く民族的文化的な多元的共生への展望を開くことを目指します。

今回のフォーラムに先駆けて、関連事業として、平取町立二風谷アイヌ文化博物館で国立民族学博物館主催の国際研究ワークショップ「小規模民族集団の文化とアイデンティティ ─ 地域の営みと国家行政」(後掲)が開催されます。また、平取町のほか、白老や札幌でも地元の研究者・実践者と中国および民博の研究者との間で情報交換の場が持たれます。国内外の関係者の直接的対話によって、互いが直面する問題への理解が深まり、双方に新しい視点が開かれることが期待されます。アイヌ新法施行以後のアイヌ民族文化に関わる日本の現状を国際的視野から捉え直す機会にもなると考えます。民博で開催される国際研究フォーラムでは、北海道での成果を加え、総括の議論をおこないます。

プログラム

2006年3月24日(金)

 13:30~13:40
  趣旨説明 横山廣子(国立民族学博物館・助教授)
 13:40~13:50
  参加者自己紹介

第1セッション 座長:大塚和義(大阪学院大学・教授)
 13:50~14:30   佐々木高明(国立民族学博物館・名誉教授)
   「日本におけるアイヌ民族政策」
 14:30~14:55
  質疑応答
  コメンテーター:貝澤耕一(平取町アイヌ文化保存会・事務局長)
  コメンテーター:野本正博(アイヌ民族博物館・学芸係長)
 14:55~15:10
  コーヒーブレイク

第2セッション 座長:長谷川清(文教大学・教授)
 15:10~15:50
  方鉄(中国・雲南大学・教授)
  「中国西南部小規模民族の現状と文化保護問題」
 15:50~16:10
  質疑応答
  コメンテーター:宮岡真央子(東京外国語大学大学院博士後期課程)
 16:10~16:20
  休憩

第3セッション 座長:高明潔(愛知大学・助教授)
 16:20~17:00
  金少萍(中国・雲南大学・教授)
  「チノー族の社会文化特性と民族的アイデンティティ」
 17:00~17:20
  質疑応答
  コメンテーター:長谷千代子(国立民族学博物館・外来研究員)
 7:20~17:40
  1日目の問題整理と討論 座長:横山廣子
 18:00~20:00
  懇親会(館内レストラン)

2006年3月25日(土)

第4セッション座長:曽士才(法政大学・教授)
 10:00~10:40   ハオ蘇民(中国・西北民族大学・教授)   「中国西北部小規模民族集団の無形文化遺産保護の現状と問題」  10:40~11:00   質疑応答   コメンテーター:馬場雄司(三重県立看護大学・教授)  11:00~12:20   総合討論 座長:横山廣子   コメンテーター:佐々木利和(文化庁・主任文化財調査官)   コメンテーター:周星(愛知大学・教授)

海外からの招聘研究者と所属機関のご紹介

ハオ蘇民 Hao Sumin

西北民族大学(甘粛省蘭州市)・社会人類学・民俗学学院院長(教授)

方鉄 Fang Tie

雲南大学(雲南省昆明市)・西南辺疆少数民族研究センター・センター主任(教授)

金少萍 Jin Shaoping

雲南大学・西南辺疆少数民族研究センター・文化研究室主任(教授)

西北民族大学が位置する甘粛省には、東郷(トンシャン)、裕固(ユーグ)、保安(バオアン)、土(トゥー)、撒拉(サラール)など人口数がきわめて少ない少数民族が居住しています。寧夏出身の回族であるハオ蘇民教授は、パスパ文字の研究などで著名なモンゴル学の重鎮ですが、近年は西北民族大学の社会人類学・民俗学学院院長として、少数民族の教育や文化保護の問題にも積極的に取り組まれています。中国政府が進める民族文化保護政策プロジェクトの委員として、地域の状況と国家行政の両面に精通している研究者です。

雲南大学の西南辺疆少数民族研究センター(中国名:西南辺疆少数民族研究中心)は、中国の教育部が2000年に全国で5ヵ所定めた民族学の人文社会科学重点研究基地の一つで、中国南部における民族学研究の拠点です。雲南省は歴史的に居住する民族集団数が省レベルで全国最多の地域であり、文化的多様性や人口規模の小さな民族集団の多さが特徴です。2004年夏には西南辺疆少数民族研究センター主催で、山地の少数民族の文化の保護や経済発展などを討議するシンポジウムが雲南で開催されました。センター主任の方鉄教授は元来、歴史学がご専門ですが、雲南の諸民族文化の調査研究に従事してきた同センター文化研究室主任の金少萍教授ともども、中国南部の民族学研究をリードすべく、センターの運営を担ってこられました。両教授とも雲南の諸民族に関する幅広い研究を展開されています。

関連事業

国際研究ワークショップ「小規模民族集団の文化とアイデンティティ-地域の営みと国家行政」
日時:2006年3月21日(火・祝)13:00~17:00
会場:平取町立二風谷アイヌ文化博物館視聴覚室
主催:国立民族学博物館
共催:平取町立二風谷アイヌ文化博物館/萱野茂二風谷アイヌ資料館
言語:日本語/中国語(逐次通訳)

本国際研究フォーラムは、機関研究「多元的共生空間の創成に関する研究」の平成17年度事業として開催されます。この機関研究は、多元的共生空間の創成のさまざまなあり方、共生を困難にする問題点とその解決方法について、人類学を中心に隣接諸科学を含めて研究するものです。

人口約2万人のチノー族(雲南省)

年越しの祭「テモキュー」
(1994年)

村単位の年越しの祭の復活
(1994年)

家族ごとの炉が並ぶロングハウス内(撮影年に消失)
(1985年)
 

「腰機」による機織り
(1985年)

郷政府前の路上市
(1991年)

家でくつろぐ女性
(1989年)
以上写真は横山廣子撮影

変化の激しい現代社会において、民族的な文化とアイデンティティの問題は特に人口的に小規模な民族集団に先鋭化して現れます。人々が国家体制の中できわめて少数派の立場にありながら、どのように民族的アイデンティティや文化を維持しているのか、そこにどのような問題があるのか、あるいはその状況の中で人々と文化やアイデンティティとがどのような関係性を展開しているのか、国家の政策や行政はこの問題にどのように関わっているのか、互いの情報と意見を交換しながら議論します。

日本のアイヌ民族、中国の西北部や雲南の小規模民族集団に関する研究報告をもとに、周辺領域の研究者・実践者らからなる広範な参加者が討議することによって、当該の地域・民族集団の問題に留まらず、広く民族的文化的な多元的共生への展望を開くことを目指します。

今回のフォーラムに先駆けて、関連事業として、平取町立二風谷アイヌ文化博物館で国立民族学博物館主催の国際研究ワークショップ「小規模民族集団の文化とアイデンティティ ─ 地域の営みと国家行政」(後掲)が開催されます。また、平取町のほか、白老や札幌でも地元の研究者・実践者と中国および民博の研究者との間で情報交換の場が持たれます。国内外の関係者の直接的対話によって、互いが直面する問題への理解が深まり、双方に新しい視点が開かれることが期待されます。アイヌ新法施行以後のアイヌ民族文化に関わる日本の現状を国際的視野から捉え直す機会にもなると考えます。民博で開催される国際研究フォーラムでは、北海道での成果を加え、総括の議論をおこないます。

プログラム

2006年3月24日(金)
13:30~13:40 趣旨説明 横山廣子(国立民族学博物館・助教授)
13:40~13:50 参加者自己紹介
第1セッション 座長:大塚和義(大阪学院大学・教授)
13:50~14:30 佐々木高明(国立民族学博物館・名誉教授)
 「日本におけるアイヌ民族政策」
14:30~14:55 質疑応答
 コメンテーター:貝澤耕一(平取町アイヌ文化保存会・事務局長)
 コメンテーター:野本 正博(アイヌ民族博物館・学芸係長)
14:55~15:10 コーヒーブレイク
第2セッション 座長:長谷川清(文教大学・教授)
15:10~15:50 方鉄(中国・雲南大学・教授)
 「中国西南部小規模民族の現状と文化保護問題」
15:50~16:10 >質疑応答
 コメンテーター:宮岡真央子(東京外国語大学大学院博士後期課程)
16:10~16:20 休憩
第3セッション 座長:高明潔(愛知大学・助教授)
16:20~17:00 金少萍(中国・雲南大学・教授)
 「チノー族の社会文化特性と民族的アイデンティティ」
17:00~17:20 >質疑応答
 コメンテーター:長谷 千代子(国立民族学博物館・外来研究員)
17:20~17:40 1日目の問題整理と討論 座長:横山廣子
18:00~20:00 懇親会(館内レストラン)
2006年3月25日(土)
第4セッション 座長:曽士才(法政大学・教授)
10:00~10:40 ハオ蘇民(中国・西北民族大学・教授)
 「中国西北部小規模民族集団の無形文化遺産保護の現状と問題」
10:40~11:00 質疑応答
質疑応答
 コメンテーター:馬場雄司(三重県立看護大学・教授)
11:00~12:20 総合討論 座長:横山廣子
 コメンテーター:佐々木利和(文化庁・主任文化財調査官)
 コメンテーター:周星(愛知大学・教授)