国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2010年3月20日(土) ~3月21日(日)
《機関研究成果公開》国際シンポジウム「東アジアの民族イメージ:前近代における認識と相互作用」

  • 日時:2010年3月20日(土) 12:50~16:40/3月21日(日) 9:30~17:00
  • 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
  • 主催:国立民族学博物館(機関研究「人類学的歴史認識」)
  • 共催:人間文化研究機構連携研究「ユーラシアと日本:交流と表象」
  • チラシダウンロード[PDF:4.5MB]
本シンポジウムは、対象を研究者としておりますので、
参加を希望される場合は、事前に代表者宛にご連絡を
お願いします。
→申込先:野林研究室 内線8355
 

趣旨

本シンポジウムは、国民国家成立以前のユーラシア東部地域における諸民族の歴史、社会の諸相を表象と相互作用という観点から考えることを目的として行う。 19世紀以降、アジア諸地域において国民国家が成立していく過程において、国家の主体となった民族集団と、いわゆる周縁におかれ、同化もしくは従属の対象となってきた民族集団との間にはさまざま関係が築かれてきた。中央と周縁との関係は、国民国家におけるそれぞれの人々の位置づけに大きく影響を与えていくことになり、中央側にたつ人間が他者をどのように位置づけていったかということがその背景として存在していた。例えば、19世紀末に日本の植民地統治を通して国民国家の一部を構成していくことになる台湾では、その前の時代にあたる中国王朝期に分類された先住諸民族の分類が、国民国家の中における民族の位置づけに少なからず影響を与えている。国民国家の成立によって構築されていく民族関係、とりわけ、中央と周縁との関係はその前の時代におけるそれらの関係抜きでは十分に理解することはできない。一方で、周縁におかれた人々も中央に対する様々な認識やイメージを有していたことも事実である。これらは歴史史料に必ずしも十分に残されるものではないが、周縁にあった人々の口頭伝承、技術や芸能、物質文化、中央側が残した史料や民族誌、民俗誌を丹念においかけることによってもその手がかりを得ることはできるであろう。

本シンポジウムでは、従前の点に留意したうえで、国民国家の形成とともに確立していく中央と周縁との関係を、両者の相互作用という視点からその前の時代にさかのぼって議論していくことを企図する。

プログラム

■2010年3月20日(土)
12:00~12:50 受付
12:50~13:00 開会・館長挨拶 須藤健一(国立民族学博物館長)
13:00~13:30 趣旨説明 野林厚志(国立民族学博物)
13:30~14:40 参加者紹介
〈第1セッション〉「中国北部と南西部における事例研究」 座長:野林厚志
13:40~14:30 『鄂温克人と周辺の民族の関係』
 卡丽娜 中央民族大学(国立民族学博物館(客員))
14:30~15:20 『清代雲南武定彝族土目那氏の動態にみる官一彝関係』
 野本敬(帝京大学)
15:20~15:40 休憩
15:40~16:00 コメント 塚田誠之(国立民族学博物館)
16:00~16:40 討論
■2010年3月21日(日)
〈第2セッション〉「台湾における事例研究」座長:笹原亮二(国立民族学博物館)
9:30~10:20 『平埔意象與物質文化収藏:歴史軌跡中文化交互作用的投射』
 胡家瑜(国立臺彎大学人類学系)
10:20~11:10 『<番租>を介した民族像-台湾原住民族ツォウを事例に』
 宮岡真央子(福岡大学)
11:10~11:30 コメント:笠原政治(国立民族学博物館(客員))
11:30~12:10 討論
12:10~13:00 昼食
〈第3セッション〉「日本における事例研究」座長:塚田誠之
13:00~13:50 『行列にみる近世の「異国人」認識』
 久留島浩(国立歴史民俗博物館)
13:50~14:40 『江戸庶民がみる異国/自国の形象』
 川添裕(皇學館大学)
14:40~15:00 コメント:笹原亮二
15:00~15:40 討論
15:40~16:00 休憩
16:00~17:00 総合討論 座長:佐々木史郎(国立民族学博物館)