国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

研究会・シンポジウム・学会などのお知らせ

2011年3月5日(土) ~3月6日(日)
《機関研究成果公開》国際シンポジウム「『日常』を構築する~アフリカにおける平和構築実践に学ぶ~」

  • 日時:2011年3月5日(土)
    【3月5日】13:00~17:00 国立民族学博物館 講堂(先着450名)
    【3月6日】10:00~17:05 国立民族学博物館 第4セミナー室(先着80名)
  • 参加方法:参加費無料・申込不要
  • 使用言語:日本語及び英語(同時通訳有り)
  • 主催:国立民族学博物館
  • 後援:日本文化人類学会、日本アフリカ学会関西支部、ノルウェー生命科学大学国際環境・開発学研究所、オバフェミ アウォロウォ大学国際関係学部
  • チラシダウンロード[PDF:6.81KB]

[お問い合わせ]
国立民族学博物館 鈴木紀研究室
E-mail :suzuki-cr@idc.minpaku.ac.jp

 

趣旨

アフリカでは冷戦構造が終結した1990年代以降に、「新しい戦争」と呼ばれる内戦や紛争が多発しましたが、2000年代に入るとその発生件数は減少しています。現在のアフリカに対する国際的な開発・援助の文脈における大きな課題のひとつは、かつての内戦や紛争によって移動を強いられた人々が再び「日常」を生きることを可能にするための平和構築に向けた試みです。しかしながら、その道のりは決して平坦ではありません。

このシンポジウムではアフリカの紛争後社会に生きる人びとが、かつての「敵」や難民・避難民といった内戦が生み出した新たな他者たちともに、どのような「日常」を、いかにして創出していくのかについて研究者や開発実務者とともに検討します。そのことによって、困難な状況にある人びとによる、自分たちの生活をとりもどすための草の根の実践の様態を明らかにするとともに、そうした人びとに対する適切な支援のあり方とはどのようなものかについて考えます。

プログラム

2011年3月5日(土)
13:00~13:05 開会挨拶 須藤健一(国立民族学博物館館長)
13:05~13:20 趣旨説明 鈴木紀(国立民族学博物館)
セッション1:アフリカにおける強制移住と人間の安全保障
13:20~13:50 Nadarajah Shanmugaratnam
Involuntary Migration, Voluntary Return and Resource Conflicts: Locating the Local in the Larger Context in South Sudan's Interim Phase
非自発的移住・自発的帰還・資源をめぐる紛争:南部スーダンの暫定期間にある地域社会を文脈化する
13:50~14:20 Cindy Horst
The Transnational Engagements of Somalis: Implications for Somalia and its People:
ソマリによる国際労働移動:その国家と人びとへの影響
14:20~14:30 休憩
14:30~15:00 佐藤章(アジア経済研究所)
Voter Registration in Ivorian Peace Process
コートディヴォワールの和平プロセスにおける有権者登録の問題
15:00~15:30 Charles Ukeje
Re-formatting Governance and Human Security in Post-War Countries: Any Role for the Civil Society in West Africa?
紛争後の国におけるガバナンスと人間の安全保障の再構成:西アフリカにおける市民社会の役割とは?
15:30~15:45 休憩
15:45~17:00 ディスカッション
コメント:1. 太田至(京都大学)
     2. 小田博志(北海道大学)
司会:内藤直樹(国立民族学博物館)
2011年3月5日(土)
10:00~10:10 趣旨説明 内藤直樹(国立民族学博物館)
セッション2:アフリカにおける「紛争後経験」:地域社会の視点から
座長:佐川徹(日本学術振興会/大阪大学)
10:10~10:30 村尾るみこ(日本学術振興会/京都大学)
Livelihood of Angolan Immigrants in Western Zambia: Toward Re-thinking of Autonomy of Self-settled Refugees in African rural village
ザンビア西部、アンゴラ移住民の生計維持:アフリカ農村における自主的定着難民の自律性再考にむけて
10:30~10:50 内藤直樹(国立民族学博物館)
Joint Inventions of livelihood between the Refugees and Hosts in the Transitional Status:
The Socio-economical Relationships between Somali Protracted Refugees and Hosts Communities in Kenya
過渡的状態の難民とホストによる生活の共同発明:ケニアにおけるソマリ系長期化難民と地域住民による社会-経済的関係
10:50~11:10 真城百華(津田塾大学)
Conflict and Post conflict experiences of Tigray in Ethiopia:
Local Context of Support, Reconstruction and Development
エチオピア・ティグライ州における紛争と戦後復興の経験:
支援・復興・開発とティグライ社会
11:10~11:20 休憩
11:20~11:40 榎本珠良(東京大学)
Therapeutic Governance and its Vulnerability:
"Tradition for Peace-Building" in the Acholi Sub-Region of Northern Uganda
セラピー統治とその脆弱性:
北部ウガンダ・アチョリ地域における「平和構築のための伝統」
11:40~12:30 ディスカッション
コメント(15-20分) 錦田愛子(東京外語大学)
12:30~13:30 昼食
セッション3:「紛争後社会に対する開発援助の可能性」
座長:西真如(京都大学)
13:30~13:50 縄田浩志(総合地球環境学研究所)
Participation of Refugees in Development Assistance:
Possibilities and Problems of African Foreign Workers for Environmental conservation in Saudi Arabia
開発援助事業への難民参加:
サウディ・アラビアにおける環境保全のためのアフリカ出身外国人労働者の役割と課題を考える
13:50~14:10 小峯茂嗣(大阪大学/アフリカ平和再建委員会)
Post Conflict Reconciliation and Possibility of Development Assistance
平和構築における和解と開発援助の可能性
14:10~14:30 室谷龍太郎(JICA)
Development Assistance as a "Catalyst" in State-building in Fragile States: Potentials and Challenges
脆弱国での国家建設に対する開発援助の「触媒」としての役割:可能性と課題
14:30~14:40 休憩
14:40~15:00 桑名恵(お茶の水女子大学)
Challenges of NGOs' Humanitarian Assistance at Community Level
人道支援におけるNGOのコミュニティ支援の課題と展望
15:00~15:50 ディスカッション
コメント(15-20分) 丹羽典生(国立民族学博物館)
15:50~16:00 休憩
16:00~17:00 総合討論
司会:鈴木紀(国立民族学博物館)
17:00~17:05 閉会の辞