国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2007年9月22日(土) ~9月23日(日)
国立民族学博物館開館30周年記念国際シンポジウム「オセアニアの偉大なる航海者たち」

チラシダウンロード[PDF:7.4KB]
  • 日時:2007年9月22日(土)~9月23日(日)
  • 場所:国立民族学博物館講堂
  • 主催:国立民族学博物館
  • 後援:日本オセアニア学会
  • 先着450名まで 無料(事前申込不要)

本企画は、開館三十周年記念事業の一つとして企画された国際シンポジウムで、9月に開幕する特別展「オセアニア大航海展 ヴァカモアナ、海の人類大移動」の関連企画でもある。

民博は30年前の開館時からオセアニア研究に積極的に関わり、多くの優秀な研究者を育てて重要な研究を行ってきた。本シンポジウムでは、石毛直道名誉教授による基調講演によって、開館当時のオセアニア展示と日本におけるオセアニア研究への貢献をふりかえる。

続いて、「航海と移動」をテーマに、多様な研究分野の発表でオセアニアの最前線の研究成果を紹介する。海外から招聘する研究者の発表には、人間がオセアニアへつれ運んだ動物のDNAから、人間の移動ルートを復原するという、現在オセアニアでもっとも注目されている研究も含む。最後のパネルディスカッションでは、オセアニアの海洋世界における人類の適応戦略および、伝統を未来へとつなぐ様子を紹介する。

プログラム

9月22日(土) 「南太平洋への人類大移動:大陸から島嶼世界へ」
12:30 開場
13:00 「あいさつ」 松園万亀雄(民博館長)
13:05 基調講演「オセアニアの民族文化を展示する:民博開館三十周年をふりかえって」
石毛直道(民博名誉教授)
13:50~14:00 休憩
14:00 「南太平洋のアジア人」片山一道(京都大学)
14:45 「ことばが語る移動ルート」菊澤律子(民博・ライデン大学)
15:30 「チェチェメニ号の航海:サタワルから沖縄へ」[フィルム上映]門田修(映像作家)
9月23日(日) 「偉大なる遠洋航海者たち:伝統を未来へつなぐ」(同時通訳付き)
10:00 開場
10:30 「先史時代の遠洋航海者たち」印東道子(民博)
11:10 「動物のDNAから復原する民族移動」リサ・マティスー=スミス(オークランド大学)
11:50~13:00 昼食休憩
13:00 「オセアニアの航海文化」須藤健一(神戸大学)
13:40 「石貨を運んだヤップの人たち」スコット・フィッツパトリック(ノースカロライナ大学)
14:20 「ミクロネシアの航海術:空と海のはざまで」秋道智彌(総合地球環境学研究所)
15:00~15:15 休憩
15:15 パネルディスカッション「偉大なる遠洋航海者たちの伝統を未来へ」
[座長] 須藤健一
[パネリスト] 秋道智彌、印東道子、S. Fitzpatrick、L. Matisoo-Smith
16:30 あいさつ  印東道子(主催者代表)

総合司会: 小林繁樹(民博)

問い合わせ先

電話 06-6876-2151(代) 国立民族学博物館民族社会研究部印東研究室

成果報告

シンポジウム両日合わせて約250人の出席者を得て、最新の研究成果や記録フィルムの上映が行われた

ハワイやニュージーランド、グアム島など、日本でもよく知られるオセアニアの島じまに住む人々は、はるか先史時代に太平洋を航海し、それまで人類未踏の地であった島じまへと移住した歴史をもっている。しかし、その偉大な歴史とハイレベルな航海技術を知る日本人は意外にすくない

民博が開館した1977年には、展示ホール入り口にチェチェメニ号が展示され、来館者に大きなインパクトを与えるとともに、オセアニアの諸民族文化の展示が好評を博した。民博開館と同じ年には、日本オセアニア学会が創設され、日本におけるオセアニア研究は飛躍的に発展を遂げた。その際に、民博のオセアニア研究者は着実なフィールドワークにもとづいて、オセアニア地域研究をリードしてきた

1970年代はまた、オセアニアの伝統的航海術が復活した時代でもあった。1975年にハワイで建造された伝統カヌーであるホクレア号は、その翌年にハワイからタヒチまでの航海を成功させた。この航海では、星や波などを観て航海する、オセアニアの伝統航海法が用いられた。同じく1975年には、チェチェメニ号がミクロネシアのサタワル島から沖縄海洋博が開催された日本をめざして古代航法でやってきた。今回のシンポジウムでは、伝統的航海法の分析やチェチェメニ号の実際の航海フィルムを上映することによって、オセアニアの偉大な航海文化への理解を深めることができた

また、海外からの招待講演者による発表のうち、人間とともに海を渡った動物のDNA研究のめざましい研究成果は、人間のオセアニアへの拡散という偉業をさらに実感させる役割を十分にはたしたと言える

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