国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2013年2月15日(金)
国際シンポジウム「モンゴル国における鉱業開発の諸問題―歴史的視点から」

  • 日時:2013年2月15日(金)
  • 場所:国立民族学博物館 第4セミナー室
  • 日本語・モンゴル語同時通訳付き
 

趣旨

モンゴル国は2011年、GDP成長率が17.3%に達し、世界でトップクラスの値を記録した。モンゴル統計局によれば、2011年度のGDPは61億ドル、1人あたり2,227ドルであり、2016年度には255億ドル、1人あたり11,290ドル、2025年度には600億ドル、1人あたり20,000ドルと予測されている。
こうした高成長を支えるのが鉱産資源開発であることは周知のとおりである。とりわけ、タワントルゴイの石炭、オユートルゴイの銅と金は、21世紀のモンゴルを支える2大鉱山である。これらの開発によって、水資源の枯渇など自然環境が劣化し、ひいては人びとの健康被害が発生し、遊牧生活や伝統文化が維持できなくなりつつあることが懸念されている。
本シンポジウムでは、社会主義時代に鉱業開発を率いてきた旧鉱業大臣ホルツ氏をお招きして、歴史的視点からモンゴル国における鉱業開発をとらえなおしたうえで、現代の諸問題をあきらかにする。
すでにモンゴル国では独自の現地調査が行われており、また世界各国の研究者たちによる実態調査も始まっている。本シンポジウムでは、それぞれに鋭意を注いでいる諸研究者たちが、歴史的視点を共有しながら知見を交換し、ネットワークを構築することができるだろう。

プログラム

10:00~10:10 開会挨拶 須藤健一
10:10~10:30 趣旨説明 小長谷有紀
10:30~12:00 基調講演 ホルツ「モンゴル鉱業開発史」
12:00~13:30 昼食休憩
13:30~14:10 コメンテーター  ウド・バークマン「民主化以降の急展開」
14:10~14:40 質疑応答
14:40~15:00 休 憩
15:00~15:30 報告1:チョローン (オヨートルゴイ周辺文化保存プロジェクト) 
15:30~16:00 報告2:永田啓晃 (名古屋大学科研調査) 
16:00~16:30 報告3:スチンフー(大阪大学グローコル共同研究) 
16:30~17:00 報告4:鈴木由紀夫(地球研山村プロジェクト) 
17:00~17:30 報告5:島村一平(滋賀県立大学プロジェクト) 
17:30~17:50 コメンテーター バトジャルガル元環境大臣
17:50~18:00 閉会 小長谷有紀
18:00~19:00 懇親会

報告

当日は、多くの一般参加者のほか、在大阪モンゴル総領事のバッチジャルガル氏や、大阪大学名誉教授、モンゴル学会長の橋本勝氏をむかえて盛会のうちに国際シンポジウムを終えることができました。発表者はもちろんのこと、参加してくださったすべての皆さんに深く感謝します。モンゴル国の豊富な鉱産資源をめぐって、1)開発地域における文化資源の保存、2)開発地域の自然環境の保全、3)開発にともなう社会全体の課題などがあきらかになり、今後の資源開発の展開に活用されると期待されます。