国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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2015年11月28日(土) ~11月29日(日)
公開シンポジウム「ユニバーサル・ミュージアム論の新展開――展示・教育から観光・まちづくりまで」

チラシダウンロード[PDF:658KB]
  • 日時:2015年11月28日(土)~11月29日(日)
  • 場所:国立民族学博物館 第5セミナー室
  • 一般公開(参加無料/要事前申込/定員:各日100名[先着順])
    ☆定員に達しましたので、申込受付を終了いたしました。
  • 後援:全日本博物館学会、日本博物館協会、日本ミュージアム・マネージメント学会
  • お問い合わせ:
    国立民族学博物館 民族文化研究部(広瀬)
    〒565-8511 大阪府吹田市千里万博公園10-1
    電話:06-6878-8437
    E-mail:hirose★idc.minpaku.ac.jp
    ※★を@に置き換えて送信ください。
 

趣旨

本シンポジウムの目的は、2012~14年度に行なった国立民族学博物館の共同研究「触文化に関する人類学的研究-博物館を活用した“手学問”理論の構築」の成果を広く一般に公開することである。共同研究プロジェクトでは、「ユニバーサル・ミュージアム=視覚に依存する従来の博物館、さらには現代社会のあり方を問い直す壮大な実験装置」と定義している。そのようなユニバーサル・ミュージアムを具体化するために、「触文化」(さわらなければわからないこと、さわって知る物の特徴)に注目してきた。“手学問”とは、触文化にアプローチする方法論と位置づけることができる。

本シンポジウムでは、「(1)深める」「(2)伸ばす」をキーワードとして、ユニバーサル・ミュージアムの可能性について多角的に考える。1日目は、各地の美術館・博物館で試みられている展示、教育プログラムの事例を報告する。単なる視覚障害者支援というレベルにとどまらず、ミュージアムそのもの、ひいては社会を改変していく触文化の実践的研究を推進するのが、1日目の発表者を貫く基本スタンスである。これまで、触察による鑑賞は主に三次元の立体物を対象としてきたが、本シンポジウムでは視覚障害者が二次元の絵画作品を触学・触楽するさまざまな手法を提示し、ユニバーサル・ミュージアム論の深化を確認・検証したい。

2日目は、博物館の枠にこだわらず、自由な発想で企画される触発型ワークショップの諸相、および五感を駆使して「誰もが楽しめる」観光・まちづくりをめざす先進的な取り組みを紹介する。ユニバーサル・ミュージアム研究により鍛えられた触文化・“手学問”概念を他分野に応用し、その普遍性を明らかにするのが2日目の課題である。触文化・“手学問”理論の各方面への伸展は、「感覚の多様性」が尊重されるミュージアムの未来像、障害/健常という二分法を乗り越える新たな人間観の提案につながるに違いない。

ユニバーサル・ミュージアムの実現は、21世紀を生きる我々にとって不可欠のテーマである。しかし、それは人任せで深まり伸びていくものではないだろう。ユニバーサル・ミュージアムを深め伸ばしていくのは、本シンポジウムに集う個々人の好奇心と行動力なのである!

 

プログラム

〈11月28日(土)〉 キーワード=深める
13:00 - 13:10 開会挨拶(広瀬浩二郎
13:10 - 15:10 セッションⅠ「美術館における多様な鑑賞プログラム―視覚障害者支援からユニバーサル・ミュージアムへ」
コーディネーター: 大髙幸(放送大学)
「対話と五感を用いた教育プログラムの立案―美術館と盲学校の連携事業から」
岡本裕子(岡山県立美術館)
「さわるアートブック制作の課題と展望」
藤島美菜(愛知県美術館)
「絵画への触覚的アプローチ―その限界と可能性」
井口智子(名古屋ボストン美術館)
15:10 - 15:30 休憩
15:30 - 17:30 セッションⅡ「さわる展示を創る―誰もが楽しめる博物館とは何か」
コーディネーター: 中村千恵(三重県総合博物館)
「触察による疱瘡絵の理解―立体コピーを活用した移動展示の試み」
寺岡茂樹(中世日本研究所女性仏教文化史研究センター)
「実物をさわる体験―来館者の思いとその表現」
藤村俊(美濃加茂市民ミュージアム)
「さわる展示の未来―南山大学人類学博物館の挑戦」
黒沢浩(南山大学)
17:30 - 18:10 コメント
「ユニバーサル・ミュージアム論を取り入れた博物館実習」
篠原聰(東海大学)
「学生のアイディアが博物館を変える!?―さわる展示の実践に向けて」
原礼子(国際基督教大学博物館湯浅八郎記念館)
18:30 - 20:00 レセプション(レストランみんぱく)
〈11月29日(日)〉 キーワード=伸ばす
10:00 - 12:00 セッションⅢ「博物館と社会をつなぐワークショップ―『見えない世界をみる』感性を育むために」 
コーディネーター: 鈴木康二(滋賀県文化財保護協会)
「遺跡を感じる―さわって楽しむ考古学の魅力」
さかいひろこ(イラストレーター)
「縄文人の暮らしと現代アート―歴史を再発見・再創造する」
堀江武史(府中工房)
「モノと人との対話を引き出す触発型ワークショップ―第五福竜丸展示館・ 触察ツアーを事例として」
真下弥生(ルーテル学院大学)
12:00 - 13:00 昼食休憩
13:00 - 14:00 対談  「全盲者の耳、ろう者の目-『障害』から生まれる身体知」
広瀬浩二郎相良啓子(国立民族学博物館)
14:00 - 14:15 休憩
14:15 - 16:15 セッションⅣ「博物館から観光・まちづくりへ―今、なぜユニバーサルデザインなのか」
コーディネーター: 堀江典子(佛教大学)
「ユニバーサルな観光地をめざして―北海道の大自然を体感するハートフルツアーの取り組み」
三木亨(弟子屈UDプラザ)
「ともに歩く、ともに楽しむ、ともに創る―目に見えない“大坂”を探るまちあるきプランの企画」
山根秀宣(空堀まちなみ井戸端会)
「被災地ツーリズムのユニバーサル化に向けて―福島県いわき市の復興支援を通して考える」
石塚裕子(大阪大学)
16:15 - 16:30 休憩
16:30 - 17:10 コメント
「娯楽・余暇の幅を拡げる―見えない恐怖を共遊する『マーダーロッジ』の衝撃」
大石徹(芦屋大学)
「伝える手、つなげる手―制作者の立場から」
宮本ルリ子(滋賀県立陶芸の森/世界にひとつの宝物づくり実行委員会)
17:10 - 18:00 総括&総合討論
「“先”を見通す洞察力―先史時代研究の先駆者が語る明日のユニバーサル・ミュージアム」
小山修三(国立民族学博物館)

お申し込み方法

☆定員に達しましたので、申込受付を終了いたしました。