国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

スタッフの紹介

三島禎子
三島禎子MISHIMA Teiko
グローバル現象研究部・准教授
専門分野
  • 文化人類学・西アフリカ研究
各個研究
  • 民族文化の多元的意義に関する理論研究―商業移民の送出社会の変容から
個人ホームページ

略歴

パリ第5大学大学院社会科学研究科第3課程修了。1995年より民博。

専門分野

文化人類学(西アフリカ研究)

研究のキーワード

西アフリカ、セネガル、ソニンケ

現在の研究課題

国際移動に関する人類学的考察─ソニンケの例 ─

所属学会

日本文化人類学会、アフリカ学会

主要業績

2007
「ソニンケ商人の歴史-砂漠を越え海を渡る人びと」池谷和信・佐藤廉也・武内進一編『新世界地理 アフリカI』朝倉書店。
2002
「ソニンケにとってのディアスポラ─アジアへの移動と経済活動の実態-」『国立民族学博物館研究報告』27(1)、pp.121-157
2002
「国際移動と地域開発─ソニンケ移民に関する移動の主体性についての考察-」加納弘勝・小倉充夫編『変貌する「第三世界」と国際社会』東京大学出版会、pp.195-221
2001
「セネガル・モーリタニア紛争をめぐる民族間関係」和田正平編著『現代アフリカの民族関係』明石書店、pp.68-91
1999
「ソニンケ─サハラ南部の農耕民(セネガル)」佐藤浩司編『住まいにつどう』189-206、学芸出版社
1997
「出稼ぎ労働者と地域社会-セネガル河上流域の変容-」小倉充夫編『国際移動論-移民・移動の国際社会学-』三嶺書房 pp.67-94

館外活動(大学教育、社会活動等)

大学院教育
  • 【指導教員】副指導教員(1名)
  • 【大学院ゼミでの活動】1年生ゼミ・テーマシリーズ「家族調査、家計調査、商品の移動およびインタビューの手法とデータの読み取りについて」

代表者を務めた研究プロジェクト

経歴詳細

学歴
  • セネガル共和国国立応用経済学院社会コミュニケーション学部卒(1989)
  • 津田塾大学大学院国際関係学研究科博士前期課程修了(1992)
  • パリ第5大学大学院社会科学研究科第2課程修了(1992)
  • パリ第5大学大学院社会科学研究科第3課程修了(1993)
職歴
  • 国立民族学博物館第三研究部助手(1995)
  • 国立民族学博物館民族社会研究部助手(1998)
  • 国立民族学博物館民族社会研究部助教授(2003)
学位
  • D.E.A.Sci.Soc.(パリ第5大学大学院社会科学研究科 1993)
  • M.Soc.(パリ第5大学大学院社会科学研究科 1992)
  • 国際関係学修士(津田塾大学大学院国際関係学研究科 1992)

研究詳細

国際移動に関する人類学的考察 ─ ソニンケの例 ─

ソニンケ民族は西アフリカのセネガル河流域を中心とした内陸部に定住地をもちながら、かつてはアフリカ大陸を東西南北に移動しておこなうサハラ交易をによって生計を立てていた。18世紀から19世紀にかけてはヨーロッパ人を相手に商いをいとなみ、大西洋の三角貿易をになう商人として活躍した。20世紀後半からは、戦後のヨーロッパ、とくにフランスの経済復興における労働力として、多くのソニンケ男性が出稼ぎ労働者となった。近年は一部のソニンケ商人はアジアへ進出して、アジア・アフリカ間の貿易を展開している。かれらはアジアで生活必需品や先端機器などの買い付けをし、アフリカ大陸内にひろがる民族や家族のネットワークをつうじて商品を販売する。その一方で、移民は共同で出資をおこない、出身村の地域開発をてがけている。移民の開発事業によって、学校や診療所、イスラム教寺院、穀物倉庫、市場などが建てられた。ソニンケ社会には民族文化のなかに移動という営みがあり、移動によって経済的なフィードバックをおこなうことで定住地における安定した社会をつくってきたと考えられる。

このようなソニンケの人びとの移動に関して、植民地支配下における契約労働者としてのアフリカ大陸内での移動の詳細と、20世紀末盛んになった商人としてのアジアへの移動との関連について、歴史的な経緯と人類学的な背景について研究する。とくにグローバル化において可視性が高まった人びとの移動について、通時的な観点に注目することによって、国際移動の本質を再考する。

業績詳細

論文等
2011
「民族の離散と回帰―ソニンケ商人の移動の歴史と現在」駒井洋監修・編、小川充夫編『グローバル・ディアスポラ』明石書店、pp.105-130
2010
「セネガル・モーリタニア紛争―出来事から紛争への変貌」小川了編著『セネガルとカーボベルデを知るための60章(エリア・スタディーズ78)』 明石書店, p.107-110
2010
国境を越えて移動する人びと―アフリカと世界をつなぐ商業活動」小川了編著『セネガルとカーボベルデを知るための60章(エリア・スタディーズ78)』明石書店, p.128-131
2010
アフリカとヨーロッパの壁―国を「脱出する」人びと」小川了編著『セネガルとカーボベルデを知るための60章(エリア・スタディーズ78)』明石書店, p.132-135
2008
「アジアとアフリカを結ぶ貿易商人ソニンケ」『来住アフリカ人の相互扶助と日本人との共生に関する都市人類学的研究』(平成16年度~平成18年度科学研究費補助金・基盤研究(A)研究成果報告書)
2007
「ソニンケ商人の歴史-砂漠を越え海を渡る人びと」池谷和信・佐藤廉也・武内進一編『新世界地理 アフリカI』朝倉書店, p.286-300
2004
Why Do People Migrate? MINPAKU Anthropology Newsletter. 19: 9–10.
2003
「ソニンケ民族に関する移動の変遷と経済活動」庄司博史・三島禎子編『国際移民の自存戦略とトランスナショナル・ネットワークの文化人類学的研究』(H12-14年度科学研究費補助金・基盤研究B(2)・研究成果報告書)、pp.109-139
2002
「ソニンケにとってのディアスポラ-アジアへの移動と経済活動の実態-」『国立民族学博物館研究報告』27(1)、pp.121-157
2002
「国際移動と地域開発 ─ ソニンケ移民に関する移動の主体性についての考察-」加納弘勝・小倉充夫編『変貌する「第三世界」と国際社会』東京大学出版会、pp.195-221
2002
「セネガルの開発政策への一考察-農業開発における主体が語るもの-」宮本正興・松田素二編『現代アフリカの社会変動 ─ ことばと文化の動態観察 ─ 』人文書院、pp.284-300
2002
「書評-井関和代著『アフリカの布-サハラ以南の機織・その技術的考察-』」『アフリカ研究』60号、pp.151-152
2002
「ソニンケ人の文化としての国際移動」『グローバル時代のトランスボーダーの諸相(重点領域「トランスボーダー・コンフリクトの研究」プレシンポジウム報告』、pp.24-42
2001
「セネガル・モーリタニア紛争をめぐる民族間関係」和田正平編著『現代アフリカの民族関係』明石書店、pp.68-91
1999
「大家族のあつまる場」佐藤浩司編『住まいにつどう』学芸出版社 pp.189-206
1997
「出稼ぎ労働者と地域社会-セネガル河上流域の変容-」小倉充夫編『国際移動論-移民・移動の国際社会学-』三嶺書房 pp.67-94
1996
「ソニンケ社会における家族の連帯と規模-出稼ぎをめぐって-」国立民族学博物館研究報告21(3) pp.77-118
その他
2012
「鉄路叙景―自転車並み」『旅・いろいろ地球人』毎日新聞2012.11.8.夕刊.
2012
「ことばの達人―ものまね上手」『旅・いろいろ地球人』毎日新聞2011.6.16.夕刊
2012
「World Watching from France 殺人犯をめぐる言説」e-news.(2012.6.5)
2012
「伝統と電灯―自ら管理」『旅・いろいろ地球人』毎日新聞2012.4.12.夕刊
2011
「みんぱく私の逸品 セネガルのガラス絵――歴史と生活の記憶」月間みんぱく411号, p.15.(2011.11.1)
2011
「World Watching from Paris ケ・ブランリ美術館の『ドゴン展』」e-news.(2011.7.22)
2011
「梅棹忠夫著作集8巻『アフリカ研究』解題」『特別展ウメサオタダオ展図録』2011.3
2010
「バッタとの格闘」『月刊みんぱく』398号
2010
「お墓のはなし(4)さびしい別れ(旅・いろいろ地球人)」『毎日新聞夕刊』8月25日
2010
「新しくて古いパリ」『みんぱくe-news』107
2010
「宗教とアルコール(5)酒には溺れない(旅・いろいろ地球人)」『毎日新聞夕刊』3月3日
2009
「中国とアフリカの近い関係」国立民族学博物館『旅 いろいろ地球人』淡交社, p.169
2009
「村から世界へ」国立民族学博物館『旅 いろいろ地球人』淡交社, p.43
2009
「ヒツジ」国立民族学博物館『旅 いろいろ地球人』淡交社, p.21
2009
「嗣ぐ 承ぐ 継ぐ 接ぐ(1)受け継がれる旅の営み(異文化を学ぶ)」『毎日新聞夕刊』2月4日
2008
「1460回の朝食―セネガルでの暮らし(朝食に暮らしあり12)」 『季刊民族学』125, p.40-43
2008
「労働と宗教(6)イスラム的働き方(異文化を学ぶ)」『毎日新聞夕刊』5月7日
2008
「カフェの多い国」『みんぱくe-news』80
2007
「あるソニンケ商人の人生――アフリカからアジアへ」『月刊みんぱく』31(11):16-17
2007
「人はなぜ移動するのか――科学研究費補助金による研究:アフリカとユーラシアに展開する宗教と商業のネットワークに関する歴史人類学的研究」『民博通信』118:20-21
2007
「異文化を学ぶ 中国と世界(2) 中国とアフリカの近い関係」『毎日新聞』12月12日夕刊。
2006
「セネガル─ 一年の罪を許しあう」『月刊みんぱく』30(1):9,国立民族学博物館。
2005
「異文化を学ぶ グローバルとローカル(6) 村から世界へ」『毎日新聞』11月9日夕刊。
2005
「セネガルとその芸術について」『観光芸術展─観光が育てた芸術作品』pp.10-11,京都嵯峨芸術大学。
2005
「ガラス絵の顔」『月刊みんぱく』29(7):18-19,国立民族学博物館。
2005
「異文化を学ぶ 生きものをめぐって(2) ヒツジ」『毎日新聞』6月15日夕刊。
2005
「空き缶から生まれたセネガルの遊びゴコロと機能性」他『季刊民族学』112:50-51,千里文化財団。
2003
「特集トランスボーダー・コンフリクトの研究-移動する人びとへの考察」『民博通信』103 : 4-6, 16-17
2003
「テーマ展示-セネガルの街角」『月刊みんぱく』307号、pp.10-11
2003
「ガラス絵の裏側」『月刊みんぱく』311号、pp.10-11
2002
「現代アフリカおしゃれ事情」『月刊みんぱく』304号、pp.10-12
2002
「フランスには、どれくらいのマグレブ系移民がいるのか」『100問100答世界の民族問題』河出書房新社、pp.205-206
2002
「西アフリカの包む文化」『特別展-世界大風呂式展-布で包むものと心』国立民族学博物館、pp.108-206
2002
「セネガルを彩る-ガラス絵にみる人びとの生活-」『季刊民族学』101号、p.4-15
2002
「Q&A」『月刊みんぱく』296号、pp.22-23
2002
「セネガル」『毎日新聞』2月16日
2001
「セネガルのガラス絵」『La Lettre』12号、pp.1-4
2001
「セネガルのガラス絵:スウエール」『民博通信』98号、pp.128-135
2001
「一夫多妻のからくり」『消費者情報』318号、pp.32-33
2000
「アフリカの大家族のゆくえ」『消費者情報』315号、pp.32-33
2000
「夢と虚構のアフリカ」『月刊みんぱく』277号、pp.14-16
2000
「働く女性と男性へ」『消費者情報』311号、pp.32-33
2000
「ママドゥ・シセさん」『民博通信』87号 pp.58-59
1999
「セネガル今日このごろ」『民博通信』84号、pp.87-91
1999
「サヘルの宇宙人」『月刊みんぱく』260号 p.11
1999
「セネガルのブリキ製かばん」『月刊みんぱく』267号 表紙裏
1996
「やかんを提げてゆくところ」『トック』289号、p.42
1996
「セネガルの出稼ぎ労働者」『民博通信』72号、pp.72-76
1996
「セネガルの米騒動」『月刊みんぱく』222号、pp.15-17
1995
「保健医療分野」、国際協力事業団『セネガル国別援助検討会報告書』、pp.vi-vii, 41-49, 106-113
1990
「セネガル-国土開発整備計画に参加して」『アフリカレポート』11号、pp.34-37
1989
「現代のセネガル女性」『マグレブ』29号、pp.78-85
口頭発表等
2013
「砂漠を越え海を渡ったアフリカの商人たち」京都洛西ロータリークラブ、京都全日空ホテル。(2013.3.22)
2012
「10年分の夏」、真夏サロン、国立民族学博物館(2012.7.27)
2012
「移民の国フランスとアフリカの深い関係」、ウィークエンドサロン、国立民族学博物館(2012.7.29)
2012
「遠隔地交易から国際貿易へ-ムスリム商人ソニンケの歴史と現在」、立教大学平和・コミュニティ研究機構公開講演会、立教大学。(2012.7.24)
2012
『日仏研究交流フォーラム-人口学から世界を理解する』国立民族学博物館(2012.11.30)
2010
「男女バランスからみた婚姻事情-セネガルの女性たちと大家族の戦略」『世界の結婚事情-セネガル・中国・フランスから考える』国立民族学博物館公開講演会、日経ホール(2010.10.29)
2010
研究講演「大家族の戦略」、高槻市けやきの市民大学講座・国立民族学博物館提携講座「現代アフリカの素顔」(2010.10.12)
2010
国際研究フォーラム「21世紀の地球人口について考える-アフリカにおける性・結婚・家族」(2010.5.22)
2010
第381回みんぱくゼミナール「あたらしいアフリカ展示のメッセージ」(2010.2.20)
2006
第337回みんぱくゼミナール「西アフリカから世界へ-移動する商人の歴史と現在」(2006.5.20)
2006
「アフリカ経済再考─移動する商人と民族文化」国際交流基金(2006.03.06)
2005
「ガラス絵の裏と表」京都嵯峨芸術大学(2005.11.05)
2005
「アフリカンプリントとアフリカの商人」 共同研究『ジャワ更紗を基軸にしたテキスタイルのグローバル化に関する人類学的研究』(2005.10.01)
2005
「アフリカン・アート─セネガルのガラス絵と博物館」芦屋市立公民館(2005.06.03)
2003
「ソニンケの交易変遷史-労働移民から独立商人へ」第40回日本アフリカ学会学術大会(島根大学)(2003.5.31)
2003
「切り取られた映像」みんぱく学術フォーラム『映像メディアと民族学』主催:国立民族学博物館/産経新聞社・関西2100委員会(大阪MIDシアター)(2003.2.25)
2002
「ディアスポラとしてのソニンケの国際移動」第39会日本アフリカ学会学術大会(東北大学)(2002.5.26)
2000
「現代アフリカの大家族」第267回友の会講演会(国立民族学博物館)(2000.9.2)
2000
「ソニンケ人の文化としての国際移動」、国立民族学博物館重点研究プレシンポジウム『グローバル時代のトランスボーダーの諸相』(国立民族学博物館)(2000.2.28)
1999
「現代アフリカの家族─一夫多妻の国セネガル」アスナール佐野民族学講座II-(3)(佐野公民館)(1999.6.26)
1999
「都市の顔─ダカールで働く人びと」第248回友の会講演会(国立民族学博物館)(1999.2.6)
1997
“Strategies familiales face aux changements agricoles et migratoires en milieu Soninke.” Colloque Jeunes Chercheurs, INED, Paris, France.(1997.5.13)
展示活動
2009
常設アフリカ展示改修担当
2003
地域テーマ展示「セネガルの街角」展示担当
2000
みんぱく移動博物館(静岡会場)(2000.4.21-24)
調査活動
2011
東京、東京在住アフリカ系移民へのインタビュー調査(2011年3月28-3月30日)
映像制作
2002
「セネガル」国立民族学博物館マルチメディア番組
2001
「パリ~ダカール~ジャワラ村-セネガル・ソニンケの出稼ぎ社会」国立民族学博物館ビデオテーク番組
2001
「ダカールのガラス絵」国立民族学博物館ビデオテーク番組
2001
「ジャワラ村の藍染め」国立民族学博物館ビデオテーク番組
2001
「ゴレ島-奴隷の島から文化の島へ-」国立民族学博物館ビデオテーク番組
2001
「ダカールの染め屋」国立民族学博物館ビデオテーク番組
2001
「着だおれの国-セネガルの衣装-」国立民族学博物館ビデオテーク番組
2001
「ジャワラ村-アフリカ・ソニンケの人びと-」国立民族学博物館ビデオテーク番組