国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

韓国現代生活文化の基礎的研究

共同研究 代表者 朝倉敏夫

研究プロジェクト一覧

2002年度

これまでの日韓両国の間では、それぞれの歴史文化の研究はおこなわれてきたが、現代社会における生活文化の研究、および理解はほとんど進んでいない。2002年が日本政府によって「日韓国民交流の年」と規定され、この年に本館と韓国国立民俗博物館が相互に「韓国生活文化展」と「日本生活文化展」を共同開催することは、日韓両国の文化交流と相互理解にとって意義深いことである。本研究は、この展示のための基礎的研究を目的としている。また、本研究は同時に、韓国社会における高度経済成長下の人類学的研究、および「もの」を通してみた朝鮮民俗文化という、これまでに本館の共同研究の成果をふまえて、現代韓国社会の生活文化を衣食住を中心として多角的な方向から調査・記録し、従来にはなかった韓国社会研究の基礎的データベースを構築しようとするものである。このことはまた、日韓両国の生活文化の同質性や異質性をあきらかにするとともに、韓国社会における日本大衆文化の開放をはじめとする日韓両国間によこたわる文化的諸問題に対して、あらたな視座を求めることができると考えている。

【館内研究員】 金香来、笹原亮二、佐藤浩司、林史樹、朴昊遠、吉本忍、李愛俐娥
【館外研究員】 李善愛、浮葉正親、大野木啓人、岡田浩樹、金相文、金柄徹、重松真由美、島村恭則、鈴木文子、洪賢秀
研究会
2002年5月18日(土)14:00~(講堂)
佐藤浩司「東京スタイル・ソウルスタイル ─ 人間生態宇宙の旅」
2002年5月19日(日)10:00~(大演習室)
「今年度打ち合わせ」
2002年7月13日(土)10:00~(第4セミナー室)
「国際シンポジウム『現代韓国社会における生活文化の研究とその方法』」
2002年7月14日(日)10:00~(第4セミナー室)
「国際シンポジウム『現代韓国社会における生活文化の研究とその方法』」
2002年10月12日(土)13:00~(大演習室)
「シンポジウムのまとめ他」
2002年12月21日(土)13:00~(大演習室)
島村恭則「大学『朝鮮文化基礎論』教育と『2002年ソウルスタイル』」
林史樹「釜山華僑街における「上海通り」は何を複製したのか? ─ 文化展示とアフォーダンス」
2003年2月1日(土)13:00~(第5演習室)
金相文「ワークシートはこうして生れた」
洪賢秀「図録を通して『2002年ソウルスタイル』を覗く」
李愛俐娥「韓国人の見た2002年ソウルスタイル展」
2003年2月23日(日)9:00~(朝倉研究室)
「成果報告書作成のための打ち合わせ」
2003年3月1日(土)9:00~(朝倉研究室)
「成果報告書作成のための打ち合わせ」
研究成果

本研究会は、2002年3月から7月まで本館において開催された特別展「2002年ソウルスタイル――李さん一家の素顔のくらし」の基礎的研究を目的とした。2001年度は、展示の準備と『図録』の作成を中心として活動し、2002年3月に『図録』を刊行した。2002年度は、展示の終了時に開催された国際シンポジウム「現代韓国社会における生活文化の研究とその方法:『2002年ソウルスタイル――李さん一家の素顔のくらし』展を通して」に研究会のメンバーが参加し、韓国人研究者と討論をした。その後の共同研究会では、同展示に関わって共同研究員がそれぞれに行った大学教育への活用、ワークシートの作成などについて検討した。この両者の成果は、『研究と展示の評価』と題し『SER』で刊行する。

2001年度

これまで日韓両国の間では、それぞれの歴史文化の研究はおこなわれてきたが、現代社会における生活文化の研究、および理解はほとんど進んでいない。2002年が日本政府によって「日韓国民交流の年」と規定され、この年に本館と韓国国立民俗博物館が相互に「韓国生活文化展」と「日本生活文化展」を共同開催することは、日韓両国の文化交流と相互理解にとって意義深いことである。本共同研究は、この展示のための基礎的研究を目的としている。また、本共同研究は同時に、韓国社会における高度経済成長下の人類学的研究、および「モノ」を通してみた朝鮮民俗文化という、これまで本館がおこなった共同研究の成果をふまえて、現代韓国社会の生活文化を衣食住を中心として多角的な方向から調査・記録し、従来にはなかった韓国社会研究の基礎的データベースを構築しようとするものである。このことはまた、日韓両国の生活文化の同質性や異質性をあきらかにするとともに、韓国社会における日本大衆文化の開放をはじめとする日韓両国間によこたわる文化的諸問題に対して、あらたな視座を求めることができると考えている。

【館内研究員】 笹原亮二、佐藤浩司、重松真由美、林史樹、朴昊遠(客員)、吉本忍、李愛俐娥<
【館外研究員】 李善愛、浮葉正親、大野木啓人、岡田浩樹、金相文、金柄徹、金香来、島村恭則、鈴木文子、洪賢秀
研究会

朝倉敏夫「研究方針について」 佐藤浩司「韓国家庭の生活財調査」

2001年5月26日
朴昊遠─「韓国における日本生活文化展案」
全体討論「韓国生活文化の表象をめぐる問題」
2001年6月16日
全員「韓国現代生活文化の表象について」
2001年10月20日
全体討論「2002年ソウルスタイル」
2001年12月8日
全員「『2002年ソウルスタイル』図録およびパネルについて」
2002年1月27日
全員「『2002年ソウルスタイル』パネル作成について」
2002年3月2日~3日
全員「特別展『2002年ソウルスタイル』パネル・キャプションについて」
2002年3月20日
全員「2002年ソウルスタイルについて」
研究成果

本研究会は、本館特別展「2002年ソウルスタイル──李さん一家の素顔のくらし」の展示のための基礎的研究を行った。展示の構成、パネル、キャブションなどについて討議し、これらを作成するとともに、研究員はそれぞれ韓国人の生活と一生に関するトピックスを分担し、図録の原稿を執筆した。