国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

不確実性のなかでオルタナティヴなコミュニティを問う――モノ、制度、身体のからみあい

研究期間:2020.10-2023.3 代表者 森明子

研究プロジェクト一覧

キーワード

生政治、人間-非人間関係、ケア 

目的

グローバル化がすすむ世界において、他者とのあいだはどのように媒介されるのか。本研究は、施設や建築物などのモノや制度と人間の身体がどのようにからみあい、そこでどのような調整がおこなわれているのかを、民族誌研究のアプローチから描き出す。たとえば移民や難民、老者や病者の身体を受け入れ/収容する制度や施設が創出されると、つくられた制度や施設は、人間の身体を介した相互行為に変更を迫り、周辺にいる人々や、そこにある別の制度や施設にも影響を与える。制度からはみ出そうとする身体があれば、さらなる制度の組み換えや新たな創出もおこる。こうして、目の前の他者との生身の身体を介したやりとりから、モノと制度と身体がおりなすセッティングの調整と再編がくりかえされることになる。ここでは身体性をともなう関係性を場所という視点からとらえていく。状況に応じて調整される場所のセッティングの先に、21世紀にあらわれつつある社会のあり方を見通そうとする。

2020年度

2020年度の研究会は、新型コロナウィルス感染拡大防止に関わる対応のためウェブ開催を前提とし(集合開催の可能性も含む)、4回の研究会を開催する予定である。ウェブ上での研究会運営のあり方を模索しながらすすめる。初年度の議論は、場所の生態学的アプローチの可能性を検討することからはじめる。「場所」「制度」「インフラ」「生態学的」などの鍵概念をどうとらえるか、その実践にむけてどのような概念整理が必要かなどをめぐって議論する。さらにこれらの鍵概念は、メンバー各自がこれまで行ってきた民族誌研究の文脈で、どのように配置されるか、近年の人類学および関連分野での研究成果も考慮しながら、意見交換していく。こうした議論を通して、共同研究のテーマ、パースペクティヴについて、メンバーが共有するイメージを構築することを、初年度の目標とする。

【館内研究員】 奈良雅史、松尾瑞穂、三尾稔
【館外研究員】 猪瀬浩平、長坂格、中村沙絵、難波美芸、浜田明範、古川不可知、松島健
研究会
2020年11月14日(土)13:30~17:00(国立民族学博物館 第1演習室 ウェブ会議併用)
森明子(国立民族学博物館)「共同研究の趣旨について」
全員「共同研究のテーマをめぐって」
2020年12月6日(日)13:30~17:00(ウェブ会議)
中村沙絵(京都大学)「コプルストン・ハウスから始まる物語――スリランカの老人施設にみる〈場所〉と異質なものたちがつくる世界」
全員 質疑応答
2021年1月30日(土)13:30~17:00(ウェブ会議)
猪瀬浩平(明治学院大学)「緊急事態宣言下でもやって来る人達――日本のグループ農園におけるモノ、制度、身体のからみあい
全員 質疑応答