国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

「マルチメディア民族誌」の提唱――「タンザニア都市民の生活誌」を題材として(2003-2004)

科学研究費補助金による研究プロジェクト|特別研究員奨励費 代表者 小林直明

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本研究は、最新の情報技術を駆使した新しい形態の民族誌として、「マルチメディア民族誌」を提唱するものである。「マルチメディア民族誌」とは、インターネットで用いられるHTMLや、DVDプレーヤーの世界標準規格であるDVD-Video規格などのデータ形式によって構築される民族誌である。紙媒体で刊行されてきた従来の民族誌では扱うことの出来なかった、動画や音声などの素材を中心に構成される「マルチメディア民族誌」は、一連の民族誌批判を乗り越えるための「実験的民族誌」の一形態であり、かつ、近年社会的需要が高まっている民族誌的知識を、広く一般に普及させるための実践的な試みの一つである。
『タンザニア都市民の生活誌』を素材とした「マルチメディア民族誌」を実際に制作する中で、「マルチメディア民族誌」の方法論を模索したい。

活動内容

2004年度活動報告

本研究は、最新の情報技術を駆使した新しい形態の民族誌として、「マルチメディア民族誌」を提唱するものである。本研究でいうところの「マルチメディア民族誌」とは、DVDビデオ規格などのデータ形式によって構築される民族誌である。紙媒体で刊行されてきた従来の民族誌では扱うことのできなかった動画や音声などの素材を中心に構成される「マルチメディア民族誌」は、これまでの民族誌に対する一連の批判を乗り越えるための実験的民族誌の一形態であり、かつ、近年社会的需要が高まっている民族誌的知識を、広く一般に普及させるための実践的な試みの一つである。
平成16年度の主な成果としては、以下をあげることができる。
1.タンザニア連合共和国ダルエスサラーム市において「マルチメディア民族誌」の撮影取材を実施。その際撮影した映像素材を利用した作品を2点制作。(内1点については、平成17年度5月開催の日本アフリカ学会学術大会にて公表予定。)
2.ソコイネ農業大学において実施された国際シンポジューム(The international conference on "Perspectives on African Forms of Moral Economy: New Horizons of the Economy of Affection" Sokoine University of Agriculture, 12-13 August 2004)において昨年度制作した「マルチメディア民族誌作品」を上映。各国研究者と意見交換を行う。
3.10月末、京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科および東南アジア研究所主催の「京都ワークショップ・フィールドワークから紡ぎ出す:発見と分析のプロセス」にディスカッサントとして参加し、地域研究における「映像によるアプローチ」の可能性について見解を述べる。

2003年度活動報告

本研究は、最新の情報技術を駆使した新しい形態の民族誌として、「マルチメディア民族誌」を提唱するものである。本研究でいうところの「マルチメディア民族誌」とは、HTML形式ヤDVDビデオ規格などのデータ形式によって構築される民族誌である。紙媒体で刊行されてきた「従来の民族誌」では扱うことのできなかった動画や音声などの素材を中心に構成される「マルチメディア民族誌」は、「従来の民族誌」に対する一連の批判を乗り越えるための実験的民族誌の一形態であり、かつ、近年社会的需要が高まっている民族誌的知識を、広く一般に普及させるための実践的な試みの一つである。
本研究では、平成14年度から16年度までの3カ年の研究期間内に、次にあげる3点を達成することを具体的な到達目標として掲げている。
1.「マルチメディア民族誌」の題材としての『タンザニア都市民の生活誌』の執筆
2.DVDビデオ規格およびHTML形式に準拠した「マルチメディア民族誌」の制作・発表
3.「マルチメディア民族誌」の研究手法としての普及を目的とした方法論に関する論文執筆、学会発表
以上3点の課題へ同時進行で取り組んでいる。平成15年度の主な成果としては、以下4から6をあげることができる。
4.平成14年度に行ったフィールドワークの際に撮影した映像素材をもとに、「タンザニア・ダルエスサラームの住民組織:DVDビデオ規格を利用した『マルチメディア民族誌』の試み」と題するマルチメディア作品を制作、平成15年5月末に開催された日本アフリカ学会学術大会において公表
5.2.に挙げた『タンザニア都市民の生活誌』執筆に係る追加調査をタンザニア連合共和国ダルエスサラーム市において実施(平成15年10月13日から12月28日)
6.国立民族学博物館の共同研究プロジェクト(新領域開拓プロジェクト「多重メディア環境と民族誌」)への参加を通じた意見交換