国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

ゴミから生まれる異音獣!不思議なケモノはどんな音?不思議な音は何に見える?(2019)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|研究成果公開促進費(ひらめき☆ときめきサイエンス) 代表者 山中由里子

研究プロジェクト一覧

プログラムの目的

想像界の生きものの多くは、自然界にはない身体部位の組み合わせでできた合成獣であり、文化人類学者レヴィ・ストロースのいうところの「ブリコラージュ(寄せ集め)」の思考が見てとれる。人びとはなぜ・どのように有り得ない生きものを想像/創造してきたのかという疑問について受講生とともに考える。参加者には、同時開催中の特別展「驚異と怪異―想像界の生きものたち」の観賞と、パーカッショニスト渡辺亮氏の実演を通し、目に見えるものだけでなく、音も想像力と創造性を刺激する知覚情報であることを実感してもらう。さらに廃材や廃品を再利用した楽器・衣装作りを通して、ブリコラージュの楽しさを体験してもらう。展示場での観察や触察、講義や演奏を聴いたのち、目と耳と体と心の眼をつないで想像/創造した幻獣・怪獣への変身を通して、想像界の生きものたちのブリコラージュ的構造を実感してもらうことがねらいである。

プログラムの内容

本プログラムでは2日間に分けて2種類のワークショップを行う。
1日目「不思議なケモノはどんな音?」では、特別展示場にて世界各地の幻獣、怪獣を描いた展示物を観賞したり、同所属機関准教授の広瀬浩二郎の協力により作成した展示複製物を触察したりして、そのイメージを音にする。子ども向けのワークショップ経験が豊富で「音と妖怪」をテーマに演奏・絵画展示活動を展開しているパーカッショニスト渡辺亮氏の指導のもと、廃材から楽器を作り、参加者全員で演奏を行う。
2日目「不思議な音は何に見える?」では、渡辺亮氏の演奏による不思議な音から想像をふくらませて、クリーチャーやモンスター、精霊の衣装を古布・廃材等で制作する。
両ワークショップともに、作品をつくったのち、それぞれの楽器・衣装を身につけて、特別展示館前や前庭でパレードを行う。
本プログラムはイメージ(心像・表象)と音の両側面からアプローチする。広瀬浩二郎准教授も協力者として関わり、同氏が科研費研究課題「触察の方法論の体系化と視覚障害者の野外空間のイメージ形成に関する研究」(基盤研究C、18K02772、代表)を通して得た知見をも活かし、視覚障害児童が共に学んで楽しめる、ユニバーサルな実施形態において、臨む。