国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館外での出版物

マリを知るための58章

2015年11月15日刊行

竹沢尚一郎 編著

明石書店

出版物情報

主題・内容

西アフリカのマリは、アフリカ大陸でももっとも豊かな歴史を持つ国の一つであると同時に、多様な民族が共存する国家である。その、歴史、民族、文化、経済、社会、生活の諸相を、現地で長くフィールドワークをおこなってきた10数名の著者がくわしく紹介する。

目次

はじめに
I 地理
第1章 マリの地理――サハラ砂漠、草原、ニジェール川
第2章 マリのサハラ砂漠――多様な景観と環境変動の遺産
第3章 ゆらぐ気候――頻発する大雨・洪水と干ばつ
第4章 ニジェール川――西アフリカの文明を生んだ母なる川
II 歴史
第5章 人間の居住と農耕のはじまり――サハラの乾燥化と農耕の開始
第6章 イスラーム化――サハラ交易によってはぐくまれた国際文明
第7章 ガーナ王国――西アフリカ最古の王国
第8章 マリ帝国――ヨーロッパにまで知られたアフリカの王国
第9章 ガオ王国(ソンガイ王国、ガオ帝国)――西アフリカ史上最大の版図をもった王国
第10章 バンバラ王国――奴隷獲得戦争で栄えた強力な軍事国家
第11章 二つのフルベ・イスラーム帝国――マーシナ帝国とトゥクロール帝国
第12章 サモリ帝国――フランスと渡り合った最後の帝国
第13章 植民地支配――仏領スーダンからマリへ
第14章 独立後の政治――独立後の困難に満ちた歩み
第15章 トゥアレグ人の独立運動――国境線で分断された人々
第16章 2013年の政変とサハラの混乱――混迷をつづけるマリの政情
III 民族
第17章 バマナン(バンバラ)――バマナカン(バンバラ語)の浸透
第18章 マリンケ――マンデカンの広範囲な分布
第19章 ソニンケ――伝統を重んじる折衷的な民族
第20章 ソンガイ――誇り高きサヘルの定住民
第21章 フルベ――サヴァンナの牧畜民
第22章 トゥアレグ――その社会組織と個性
第23章 ボゾ――西アフリカ一の内水面漁民
第24章 セヌフォ――その言語、生業、親族、歴史
IV 四つの世界遺産と主要都市
第25章 ジェンネ――西アフリカ千年の都市国家
第26章 トンブクトゥ――中世イスラーム文化の遺産
第27章 ドゴン――バンジャガラ断崖に守られた山の民の伝統文化
第28章 ガオ――王朝の盛衰を見つづけてきた都
第29章 バマコ――村社会で形成される都市
 【コラム1】マリ国立博物館
第30章 モプチ――マリのヴェネチアと呼ばれる水の都
第31章 セグ――歴史と対話できるまち
V 生活と社会
第32章 食事――豊かな食文化とにぎやかな食卓
第33章 布――綿栽培が生んだマリ人の着道楽
第34章 女の一生――母として妻として女としてどっしり生きる
 【コラム2】トゥアレグ女性のライフサイクルと日常生活
第35章 王の詩と農の音楽――グリオの村の技芸のありよう
第36章 さまざまな「トン」――受け継がれる組織と組織原理
第37章 歴史伝承――文字なしで千年を語り継ぐ
 【コラム3】アマドゥ・ハンパテ・バー
第38章 学校教育――小学校の増加と教員の問題
第39章 建築物――有機性と多様性
 【コラム4】スーダン様式の建築
第40章 金鉱と呪い――邪術と死のある風景
VIアートと文化
第41章 音楽――音楽がマリをつくる
 【コラム5】ティナリウェン
 【コラム6】ナ・ハワ・ドゥンビア
第42章 映画――知られざる秀作映画の数々
第43章 独立後のマリの美術――政治の軛から解き放たれて
 【コラム7】生活に根差した造形たち
第44章 仮面――パフォーマンス・アートとしての仮面
第45章 イスラーム――千年におよぶ歴史と伝統
第46章 コーラン学校――イスラームと地域の基盤
VII 政治と経済
第47章 独立後の経済――慢性的な停滞といくつかの希望
第48章 行政組織と地方分権――三つの共和制と地方分権の進展
第49章 開発とNGO――開発のための枠組みとチェック体制
 【コラム8】知恵者マリ人
第50章 農業――サヴァンナ農業、アフリカイネ、樹木畑
第51章 牧畜――サハラ牧畜民トゥアレグとサーヘル牧畜民フルベ
第52章 稲作――3000年以上の歴史をもつマリの稲作
第53章 漁業――かつてはアフリカ一の生産力を誇った漁業
第54章 商業――異なる生態学的ゾーンを結ぶマリの交易商人
第55章 カースト制――手工業の発展を支えたシステム
 【コラム9】カースト制 トゥアレグ人のケース
VIII 世界の中のマリ
第56章 出稼ぎ――国をあげての開発プロジェクト
第57章 パリのマリ人――サンパピエから市民へ
第58章 マリと日本――日本の中のマリ人
マリを知るためのブックガイド