国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館外での出版物

苦悩とケアの人類学――サファリングは創造性の源泉になりうるか?

2015年12月25日刊行

浮ヶ谷幸代 編

世界思想社
【共同研究成果】

出版物情報

主題・内容

本書は、「サファリング(苦悩)」に着目し、人は自ら抱える苦悩に向き合うことにより、それに対処する知恵や技法(ケア)を生みだすという、苦悩の創造性について描いた論文集である。

目次

はじめに
序章 サファリングは創造性の源泉になりうるか?(浮ヶ谷幸代)
第1部 不確実性が生み出す苦悩
第1章 「リスク」と「あいまいさ」を生きる身体――出生前検査をめぐる調査から(菅野摂子)
第2章 慢性の病と <揺れ>――ある成人先天性心疾患者の生活史経験から(鷹田佳典)
第3章 偶然と必然のあいだを生きる――苦境に関する一考察(近藤英俊)
第2部 社会的苦悩とケア
第4章 遠い場所――カナダ先住民サーニッチにとってのアルコールとそのサファリングとケアとしての居留地(渥美一弥)
第5章 「耕されている場」でピアでありつづけること――<浦河べてるの家>のピアサポートの活動から(浮ヶ谷幸代)
第6章 人生を物語るということ――老いとともにあるハンセン病療養所入所者の生活史から(坂田勝彦)
第3部 看取りと死をめぐるケア
第7章 自宅での看取りとそのサファリングの諸相――サファリングの創造性と絆の継承の視点から(相澤出)
第8章 ラオス低地農村部の看取りの現場におけるケアの連鎖――子どもの現場への関わりに注目して(岩佐光広)
第9章 “何もしないケア”――タイ・エイズホスピス寺院における死の看取り(鈴木勝己)
第10章 「おぎゃー」と「お金」の間――ケアにおける暴力性と創造性(加藤直克)
あとがき