国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

館外での出版物

文化遺産と生きる

2017年6月8日刊行

飯田卓 編

臨川書店
【機関研究成果】

出版物情報

主題・内容

文化遺産概念が拡大し、文化的景観や産業遺産、無形文化遺産まで含むようになった現在、文化遺産を支えるコミュニティを問題化する視点が重要になっています。文化人類学的な文化遺産学=文化遺産人類学の旗揚げの書。

目次

はじめに/略称・略号などの一覧と解説
 序 章 「人間不在の文化遺産」という逆説を超えて(飯田卓)
第一部 無形文化遺産とその影響力
 無形文化遺産を語る人たち(岩崎まさみ)
 幻影化する無形文化遺産(菅豊)
 遺産登録をめぐるせめぎあい――トン族大歌の事例から(兼重努)
第二部 無形の遺産の担い手たち
 伝承の「舞台裏」――神楽の舞の構造に見る、演技を生み出す力とその伝えられ方(俵木悟)
 映像がとらえる儀礼と音楽――エチオピアのザール憑依儀礼と楽師アズマリを事例に(川瀬慈)
 文化財の演じ方――獅子舞の演者たちの文化財意識(笹原亮二)
第三部 世界遺産のゆくえ
 住民不在の世界遺産――文化の担い手への配慮なき遺産保護の限界(高倉健一)
 世界遺産のまもり方――民家の移築保存と現地保存をめぐって(才津祐美子)
 生活の中に見出された世界遺産――紅河ハニ棚田群の文化的景観(阿部朋恒)
第四部 商品としての無形文化遺産
 遺産観光の光と影――中国雲南省・シーサンパンナ、タイ族園の事例より(長谷川清)
 商品化と反商品化――マダガスカル山村の無形文化遺産(飯田卓)
第五部 文化行政への問いかけ
 変化のただ中の継承者育成――中国の無形文化遺産保護劇団・西安易俗社の事例から(清水拓野)
 地域文化遺産の継承(日髙真吾)
おわりに/索引