国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

国立民族学博物館調査報告(Senri Ethnological Reports)

No.57 Feast of the Morning Light (Bon Studies 9)

2005年12月12日刊行

Samten G. Karmay

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刊行の目的および意義

本書は当館に蔵するポン教開祖の変相図(絵解き)の詳細な記述分析で、科研・国際学術研究『ポン教文化の総合的研究』『シャンシュン語の解読と文語チベット語形成の研究』ならびに申請者の民博客員教官としての研究成果の一部である。
ポン教はチベットに仏教がもたらされる前から存在していた宗教であるが、7世紀に仏教がチベット統一のイデオロギーとして採用されて以来弾圧され、辺境の地に駆逐された。しかし、その宗教とそれを支える集団はマイノリティーとしてではあるが、今も生きつづけている。特に、四川省西北部のギャロン地方はその中心で、そこに保存されている資料は11世紀以降のチベットの宗教だけでなく、歴史を探る上でも重要である。
申請者は上記の科研による調査に中心的メンバーとして従事し、研究代表者(長野泰彦)はその過程で、シェンラプ・ミボ変相図をネパールで収集した。この変相図はある儀軌に忠実に従ってかかれたものであるが、その儀軌の著者は、実は申請者の大オジである。申請者はこの図と儀軌との比較研究を2003年度に民博において行い、その結果を、チベット文献資料によって知られるギャロンの歴史記述とともにまとめた。
従来不詳とされてきたギャロン地方の歴史概説と変相図の仔細な記述ならびにテキストとの照合は、今後のチベット文化研究に着実な基礎を与えるものと考える。(文責:長野泰彦)

 

Table of Contents

Preface
 ……………… Yasuhiko Nagano
Abbreviations
Map of Gyalrong
 
Introduction
Chapter 1 Kun grol grags pa and the New Bon tradition in Gyalrong
Chapter 2 The royal houses in Gyalrong
Chapter 3 The wood-engravings of the Bon Canon in Gyalrong
Chapter 4 Manchu military campaigns against Gyalrong
Chapter 5 The Inscription in gYung drung lha steng Monastery
Chapter 6 The wood-engravings of gShen rab's life-stories
The Tibetan text of the hagiographic account
Acknowledgements
References
Index
 

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