国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

在学生の研究内容

更新日時:2018年4月12日

松岡とも子MATSUOKA Tomoko

[img]

専攻

地域文化学専攻

指導教員

主指導教員:山中由里子/副指導教員:上羽陽子

研究題目

独立解放から1950年代に描かれた伝統表象―韓国における西洋画を中心に

研究キーワード

韓国近現代絵画、伝統表象、米軍政、朝鮮戦争、軍事政権

研究の概要

【研究テーマ】韓国近現代絵画における《韓国・朝鮮らしさ》の表象――金煥基(キム・ファンギ/1913-1974)を中心に

 

韓国近現代の画家、金煥基(キム・ファンギ/1913-1974)は、日本統治期の1930年代に東京に留学し、1950年代末にパリに滞在、1960年代以降はニューヨークに移住し亡くなるまでをニューヨークで過ごした。植民地解放後はソウル大学校、弘益大学校の美術学部で教鞭を取り、政府官展の審査委員をつとめるなど、早くから韓国画壇において中心的役割を担った。

日本統治期から植民地解放と南北分断、そして軍事政権における新国家体制という朝鮮半島のめまぐるしい変化の中、この時期多くの韓国・朝鮮の画家たちが「韓国・朝鮮らしさ」を示すモチーフの作品を描いた。金煥基もまた、当時の韓国朝鮮の画家の中でいち早く海外移動を繰り返しながらも、韓式家屋やキムチの甕、朝鮮時代の陶磁器や家具、四君子や十長世、そして故郷の山河といったモチーフにこだわり続けた。

本研究では、植民地期の日本、アメリカ軍政と朝鮮戦争、パリ滞在と軍事政権、移住後のニューヨークなどで描いた金煥基の《韓国・朝鮮らしさ》を示すモチーフの作品分析を行う。美術史的作品分析に加え、各時代に特徴的な美術界以外の交流関係、画家の置かれた社会的役割について新たな資料分析を行うことで、相互関係の中で変化していく《韓国・朝鮮らしさ》の表象と社会背景との関連を金煥基の活動例から考察する。