国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

在学生の研究内容

更新日時:2019年2月5日

西山文愛NISHIYAMA Fumie

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ベトナムホイアンの民家で観察した小鳥の軒先飼育

専攻

地域文化学専攻

指導教員

主指導教員:信田敏宏/副指導教員:池谷和信

研究題目

鳥類と人との関わり

研究キーワード

飼育、鳴き鳥、愛玩、サウンドスケープ、東アジア・東南アジア

研究の概要

本研究は小鳥の愛玩を行っている人々に焦点をあてる。人類は多くの地域・時代において鳥を飼育してきた。鳥かごに入れられた小鳥は、作り上げられた「自然」と考えられる。

本研究の目的は、アジアにおいて、鳥かごの中の小鳥とヒトがどのような関係性を築いているのかを明らかにすることである。

中国、ベトナム、タイ、マレーシア、シンガポール、インドネシア、フィリピン、ラオス、ブルネイ、ミャンマーでは、屋外で小鳥の愛玩飼育を行う人々の存在が広く知られている。これらの地域では、軒先や野外で小鳥飼育をしている様子が多く観察されている。

小鳥飼育をおこなう人々は、家庭内での飼育に留まらず小鳥を介した飼育者同士の交流も頻繁におこなっている。

飼育者同士の交流として、(1)近所のお茶屋や公園に小鳥を連れて行く(2)国や地域毎に開催される交流会に小鳥を連れて行く(3)国境や国籍を超えた交流会に小鳥を連れて行く。といった場面を挙げることができる。

タイ、マレーシア、ベトナムでは、カゴの生産や鳴き鳥のブリーダーが村落の経済を成り立たせている報告があり、愛玩鳥が地域経済の担い手ともなっている

小鳥の愛玩飼育は東アジア・東南アジアに限られた事象ではない。小鳥を介した飼育者同士の交流はヨーロッパや中東など多くの地域でおこなわれている報告がある。しかし、モンスーンアジア圏とヨーロッパや中東といった地域では、鳥の種類・鳥の飼育方法・鳥との距離感において、性格が異なると考えている。

時代と地域で異にする諸文化でおこなわれてきた鳥と人間の交流は、どのような場面、目的、方法で伝承されてきたのだろうか。様々な地域の小鳥飼育の比較を用いて、アジアにおける動物とヒトの共存のあり方を明らかにしていきたい。

研究成果レポート