国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

巻頭コラム

Arabian Nights Highlights! 2004年10月28日刊行

山中由里子

特別展示「アラビアンナイト大博覧会」
2004年9月9日(木)~12月7日(火)開催予定
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/index
一般830円(560円)高校/大学生450円(250円)小・中学生250円(130円)
※( )は20名以上の団体料金です。※常設展も御覧になれます。

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
◆ Arabian Nights Highlights!
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

● アラビアンナイト・ハイライト その2

山中由里子

ディズニーの『アラジン』のDVDが、くしくも特別展の開幕とほぼ同時に発売されはじめたようです。アラビアンナイト翻訳300周年をやはり意識した商戦なのでしょうか?お子さんと一緒にディズニー版『アラジン』をご覧になった方や、ディズニーシーで体験された方も多いとおもいますが、アラビアンナイト・ファンタジーの映像化は、実は映画そのものの歴史と同じくらい古いのです。
アラビアンナイト大博覧会2階の壁面にずらりと並ぶ映画ポスターを見ていただければ、メリエスからディズニーにいたるその変遷をたどっていただくことができます。

今回のハイライト・エッセーは、アラビアンナイトの映画史にスポットをあて、関連映画のデータベース化とポスターの展示で力を発揮してくれた椿原敦子さんにお願いしました。10月31日には実際に映画ポスターをたどりながらギャラリートークもしてくださいます。映画ファン必須!

**───────**────────**────────**───────**
★アラジンと40人のバグダッドの盗賊―アラビアンナイト映画の世界

椿原敦子(大阪大学大学院)

ディズニーのアニメ映画『アラジン』と原作の「アラジンと魔法のランプ」の物語を比べてみると、アラジンが魔法使いに誘われ、洞窟にランプを取りに行くという点は共通しているものの、登場人物やエピソードは大きく異なっています。宰相に扮した邪悪な魔法使いジャファーや猿のアブーなど、アラジンの物語には本来登場していないこれらのキャラクターはどこから来たのでしょうか?

そのヒントは1940年に製作された映画『バグダッドの盗賊』にあるでしょう。この映画にも宰相に扮して王位を狙う魔法使いジャファーが登場、そして魔法により盲目の身となった主人公である国王アフマッドの冒険の道連れとなるのが盗賊の少年アブーです。実はこの『バグダッドの盗賊』に登場する主人公アフマッドの名前は、1924年に製作された同名の映画にも登場します。ダグラス・フェアバンクス演じる主人公の盗賊が王子アフマッドと称してバグダッドの姫に求婚するという物語で、この映画ではアブーは登場せず主人公自身が盗賊です。

この後「アリババと40人の盗賊」に見られるアラビアンナイトの盗賊像は、1944年の映画『アリババと四十人の盗賊』などに見られるように、いつしか悪い為政者を倒す義賊へと変化していきました。映画制作者にも多くの影響を与えた1924年版『バグダッドの盗賊』以後のアラビアンナイト映画の最も大きな特徴は、アラビアンナイトの物語から人気のある、空飛ぶ絨毯などのよく知られたモチーフやアラジンなどのキャラクターを自由に組み合わせて物語を再構成している点にあるといえるでしょう。SFX、CGなどの技術的な進歩にも後押しされて、映像化されたアラビアンナイトの世界は更に豊かになり、シェヘラザードが夜毎に王に語って聞かせた物語をほんの何十分、何百分かの時間に凝縮させて語り尽しそうな勢いです。けれど心配は無用。現代のシャフリヤール王が毎夜 1本ずつホームシアターで世界中のアラビアンナイト映画を鑑賞しても優に130夜を超え、さらに増え続けるのですから。

ギャラリートークでは、映画が発明された当初から現在に至るまでに製作されたアラビアンナイト映画の変遷を、先に触れたようにモチーフやキャラクターの重なり合いという点を中心にお話したいと思います。是非、お越しください。

**───────**────────**────────**───────**
☆アラビアンナイト映画に関するギャラリートーク

http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/event_info#gallery

◆ポスターに見るアラビアンナイト映画史

講師:椿原敦子(大阪大学大学院)
日時:10月31日(日)14:00~15:00
場所:特展会場2階 映画ポスター前

◆映画『バグダッドの盗賊』の変遷

講師:ウルリッヒ・マルツォルフ(ドイツ、メルヘン事典編纂所教授)
日時:11月7日(日)14:00~15:00
場所:特展会場2階 シアター・コーナー
(マルツォルフ氏は中東の民話研究が専門で、今年刊行される『アラビアンナイト事典』の編纂者。講義は英語。山中由里子助手が通訳兼司会進行役をつとめます。)

◆ユリコ先生のアラビアンナイト教室

講師:山中由里子(民族文化研究部助手)
日時:10月30日(土)、11月21日(日)、12月5日(日)13:00~14:00
場所:特展2階読書コーナー
(子どもたちにわかりやすくアラビアンナイトを解説します。大人でも「へぇーそうだったのか」といったアラビアンナイトの不思議にせまります)

**───────**────────**────────**───────**
☆その他の特別展関連イベント

http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/event
http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/event_info

◆特別講演会「開けゴマ ─ アラビア書道の世界」

講師:本田孝一(アラビア書道家・大東文化大学国際関係学部教授)
   ハサン・マスウーディー(イラク出身の書道家)
司会:中道静香(大阪大学大学院言語文化研究科助手)
日時:11月14日(日)14:00~16:00(13:30開場・先着80名、無料)
場所:本館第5セミナー室

イスラム教が広がった世界の各地においてアラビア書道は、独特の書体や彩色を発達させ、豊かなヴァリエーションを持つにいたりました。現代のアラビア書道家たちも、その伝統を継承しつつ、さらに新たな境地にインスピレーションを求めながら、多彩な創作活動をおこなっています。この講演会では、作品を出展しているお二人に、講演と実演を通してアラビア書道の歴史、道具、書体、そしてその造形美を解説していただきます。

◆落語版アラビアンナイト

桂九雀さんが、アラビアンナイトを落語で演じてくれます。
終了後、ギャラリー対談も予定しています。
 10月29日(金)、11月3日(祝)、11月27日(土)14:00~14:30
 特展2階シアターコーナー

◆ベリーダンス・パフォーマンス+プチ講習会

10/30(土)、11/13(土)、11/23(祝)
 14:30~14:50 パフォーマンス 特展1階
 15:10~15:30 プチ講習会 特展2階シアターコーナー
 (15:00より、整理券発行。先着20名受付)

◆人形劇「アリババと40人の盗賊」

アラビアンナイト教室でお勉強をしたあとは、人形劇サークル<ぱれっと>による楽しい人形劇を是非ご覧ください。
 11月21日(日)、12月5日(日)14:00~14:30 特展2階シアターコーナー

◆シアターコーナーでの上映作品(上映時間は下記URLをご覧ください)

  • 3DCGアニメ「ヤング・シェヘラザード」モンキー・パンチ原作
  • 落語「男と仕立屋、ユダヤ人の医者、御用係、キリスト教徒の仲買人の物語」 桂九雀
  • 講談「アリババと40人の盗賊」旭堂南海作

http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/theater

**───────**────────**────────**───────**
みんぱくミュージアムパートナーズ企画イベント

http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/opensesami/event_info#partners

みんぱくミュージアムパートナーズは2004年9月に発足しました。 これまでのミュージアムボランティア活動から一歩前進しメンバーによる自主的な企画・運営を目指しています。企画第一弾として本特別展では以下のような活動を行っています。また会場内にも常時6名前後のメンバーがいますので、ぜひお声をかけてください。

☆ぬりえ
 毎日・2階読書コーナーにて

☆アラビア語を書いてみよう
 毎日・2階読書コーナーにて

☆試着コーナー
 毎日・1階試着コーナーにて

☆紙芝居
 土日祝日・11:40~/13:40~/14:40~・2階読書コーナーにて
 (当日、変更がある場合があります)