国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

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大阪の見えざる力

(2)企業の後には大学 『毎日新聞(夕刊)』掲載 2016年10月13日刊行

出口正之(国立民族学博物館教授)


親子連れが遊ぶ公園から立命館大学いばらきキャンパスを望む=大阪府茨木市で10月、筆者撮影

 先ごろ、大阪・梅田に新しい関西大学のキャンパスがオープンして話題になった。

 いわゆる関関同立といわれる大学は全て、梅田を拠点の一つにしている。他大学も進出が顕著で実に梅田だけで十指に余る。私立大学は学校法人であり、政府でも企業でもないサード・セクターである

 大阪府茨木市には太田東芝町、松下町など大手企業の名称を冠した地名がある。地域社会の発展といえば、企業の誘致であり、企業の活性化こそ地域の活性化のすべてであった時代のなごりを示している。

 しかし、町名に名を冠された企業は去り、大きな土地だけが残った。太田東芝町の跡地には追手門大学が入る予定でもある。

 また、JR茨木駅前のビール工場跡地には昨年、立命館大学が、約9.9万平方メートルにも及ぶ大阪いばらきキャンパスを開設し、数千人の学生が勉学を中心にいそしんでいる。キャンパス内には、市民も利用できるホール、図書館やレストランなどもあり、なんと茨木商工会議所の事務所もその中だ。

 大学に隣接して公園も整備されたことから、大学が市民の憩いの場にもなり自然と地域に溶け込んでいる。地域の活性化に企業だけを思い浮かべる時代ではなくなった。

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