国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

旅・いろいろ地球人

ドイツの保育園

(1)キンダーラーデン  2019年1月5日刊行

森明子(国立民族学博物館教授)


キンダーラーデン「ハツカネズミの閃光」の様子。窓の向こうには街路が見える=ベルリンで2010年9月、筆者撮影

ドイツの保育園事情は日本と異なり、子どもが保育施設に席をもつことが法的権利として保証されている。数のニーズは満たされているが、保育園による違いは大きい。両親はいくつもの保育園を熱心に見て回って希望の保育園を決める。子どもがお腹にいるときから入園希望者リストに登録することもめずらしくない。

「キンダーラーデン」とは小規模な保育園である。1970年代、学生たちが自分の子どもの共同保育をはじめたことから発展した。ラーデンは店の意味で、空き店舗を利用して保育したことからこの名がある。それまでの幼稚園が大勢の子どもを監視して、従順と排せつ訓練を重視していたのに対し、少人数グループで子どもの自由な意思を尊重して保育する。過度の放任主義による失敗もあったが、両親が参加する保育のかたちは現在も健在で、正式にはEKT(両親の発意による保育園)と呼ばれる。

たとえば「ハツカネズミの閃光」というキンダーラーデンがある(キンダーラーデンの名前は、どれもとてもユニークである)。定員20人で、3人の専任保育士のほかに、料理担当者1人、助手1人を含む。行政の補助金を得ているが、運営主体は両親がつくる「ハツカネズミの閃光協会」である。

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