国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

巻頭コラム

「インド サリーの世界」開催中 2005年10月14日刊行

  

・Contents・

【1】特別展「インド サリーの世界」開催中
【2】みんぱくゼミナール「サリーと呼ばれないサリー」
【3】企画展「模型で世界旅行」開催中
【4】みんぱく映画会「中国雲南の民族誌映画―最新事情―」
【5】公開講演会「家族のデザイン ─ 韓国・中国・日本、それぞれの選択 ─」
【6】公開 国際開発援助ワークショップ
   「カナダ国際開発庁と世界銀行における人類学者・社会学者の役割」
【7】公開シンポジウム「共生の現場から」
   公開ワークショップ「ダンスで出会う・ダンスでつながる」
【8】「アクセサリー・身装文化ディジタルアーカイブ」公開しました
【9】無料観覧日のお知らせ
【10】ネットワーク停止のお知らせ
 ☆編集後記

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【1】特別展「インド サリーの世界」開催中
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http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/sari/index

杉本良男(特別展実行委員長、先端人類科学研究部)

特別展「インド サリーの世界」(9月8日~12月6日)は、開幕からちょうど1ヶ月が経過したところです。今回の特別展は、展示自体も従来の特別展との差異化を図っていますが、関連する企画などにも目新しい要素を取り入れています。

民博は大学共同利用機関ですので、研究面はもちろん、展示においても大学との協力関係が求められています。今回の特別展では、いまや日本で唯一「文化人類学」を学科名に冠している京都文教大学のご協力をいただいています。文化人類学科の教員・学生のアイディアで、コーラムとメヘンディの体験コーナーをもうけたり、子供用のワークシートを作成したり、踊りのワークショップに参加したり、さらにはまだ日の目をみていませんが、「バービーをさがせ」というクイズ的なアイディアをだしたりと、じつにさまざまな面で特別展を盛り上げていただいています。われわれは、とかく研究者の視線にとどまりがちですが、学生の若い感性を生かして、子供から若者までを引きつける企画を考えていただいて、民博に新しい可能性を開いていただきました。

そして、ミュージアム・パートナーズ(MMP)の方々には試着コーナーでお世話をいただいています。サリーと聞けば、どなたも一度は着てみたいと思われるようで、試着コーナーは今回の目玉のひとつになっています。パートナーズの皆様には、これまでの経験などを生かして、スムースな運営をすすめていただいています。当初は混乱も予想されましたが、大きな混乱もなく運営していただいていることに、とくに感謝申し上げています。

一方、期間中のほぼ隔週の土曜・日曜に、インド映画のミュージカル・ダンスのワークショップも行っています。これは東京のコンテンポラリー・ナティヤム・カンパニーのご協力によって実現したもので、映画のなかで踊られるダンスの基本形ともいうべきポップなバングラという踊りのレクチャーなどがあります。
聴いているだけで体が自然に動いてしまうような音楽にのって、観客の皆さんもノリノリで参加しておられます。10分あまりおどっても汗をかくほど結構な運動量です。関係者の方々も、東京よりみなさんのノリがいいので楽しんでやっておられるようです。これも、日本で紹介されるインドの踊りといえば、ほとんど南インドの古典舞踊バラタ・ナーティヤムに限られていたのに対して、現代的なポップなダンスを楽しんでいただくのも、また新しい試みといえるでしょう。

また、吹田市在住のナッリニーさんにも、カタックという古典舞踊と民俗舞踊などのワークショップをお願いしました。ただ、会場の床が固いので、古典を少なくして、やはり映画音楽の踊りもまじえて教えてくださっています。手の動き、腰から下の安定感、いずれも本物の踊りの素晴しさを間近に見ていただくことができます。土台がしっかりした踊りは、素人目には簡単そうに見えるのですが、それができるまでには長い鍛練が必要です。そのあたりをもう一回10月30日のワークショップでご覧になることができます。ぜひお楽しみください。

そして、今回は、実行委員の思い入れの入った企画も行なわれています。すでに終了してしまいましたが、研究公演「マンガラ・イサイ」(9月10日)は、寺田先生が長年懸案にされていた南インドのリード楽器ナーガスワラムを中心にしたコンサートでした。この楽器はへたな奏者が演奏すると下品な響きになるおそれがあるのですが、今回の演奏者はインドでも一流の人たちでしたので、非常に美しい演奏を披露していただきました。いつもは寺院などの雑踏や喧騒の中で聞く音楽ですが、コンサート会場で静寂のうちに聞けるチャンスはおそらくもうないだろうと、こちらも集中して聞かせていただきました。予定の時間を大幅に超えたのにもかかわらず、観客の皆さんがほとんど席を立たなかったことが、その演奏の素晴しさを物語っていたようにおもいます。

そして、映画会では、日本でこれまであまり公開されてこなかったマニ・ラトナム監督の「ロージャー」と「頬にキス」などを上映します。
1992年の「ロージャー」は、マニ・ラトナム監督と音楽のA・R・ラフマーンのコンビで、インド中に大センセーションをまきおこした作品ですし、「頬にキス」はこのコンビの最近の傑作です。いずれも、日本語字幕つきの上映権を福岡市総合図書館がもっておられて、今回民博での上映ということでとくに許可をいただいてお目にかけるものです。これも、ご協力いただいているチャンネル・アジアの旦匡子さんと、いつか大阪でも上映したいと話し合っていた作品です。
「ボンベイ」は1999年の「越境する民族文化」展のときにお目にかけて大好評をいただいた作品ですし、ほかの2作品「モンスーン・ウェディング」と「時に喜び、時に悲しみ」はストーリーはもちろん、その衣装でも楽しんでいただける作品です。

このように、多くの方々の努力や想いが、ひとつひとつの企画に込められています。そうしたかげのちからにも想いを馳せていただきながら、それぞれの催し物をお楽しみいただければ幸いです。 そして、関係の皆様には、あらためてお礼を申し上げます。

《観覧料:一般830円、高校・大学生450円、小・中学生250円》
※常設展もご覧になれます ※毎週土曜日は、小・中・高校生は無料

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*特別展関連イベント*

http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/special/sari/index

★「インド映画祭」

http://www.minpaku.ac.jp/museum/event/fs/movies051112-13

11/12(土) 13:30~16:00(開場13:00)
 「モンスーン・ウェディング」(ミラ・ナイール監督,2001年)
11/13(日) 13:00~16:45(開場12:30)
 「時に喜び、時に悲しみ」(カラン・ジョハール監督,2001年)
11/23(水・祝) 13:30~16:30(開場13:00)
 「ロージャー」(マニ・ラトナム監督,1992年)
11/26(土) 13:30~16:30(開場13:00)
 「ボンベイ」(マニ・ラトナム監督,1995年)
11/27(日) 13:30~16:30(開場13:00)
 「頬にキス」(マニ・ラトナム監督,2002年)

会場:民博 講堂、定員450名
聴講無料(特別展および常設展をご覧になる方は、観覧料が必要です。)
お問い合わせ:広報企画室企画連携係 TEL 06-6876-2151

★インド映画ミュージカルダンス

10/22(土)、23(日)、11/5(土)、6(日)、19(土)、20(日)

各日2回開催
   (1)13:30-14:00 ワークショップ / 14:10-14:30 パフォーマンス
   (2)15:30-16:00 ワークショップ / 16:10-16:30 パフォーマンス

★北インドの古典舞踊と民俗舞踊 パフォーマンス

10/30(日)13:30-14:30

★体験コーナー

・サリー試着体験:期間中毎日(ただし、休館日は除く)
・メヘンディ体験:期間中の土・日曜日
    (ただし、11月5日、6日は行いません。祝祭日も行いません。)
・コーラム体験:期間中の土・日曜日
    (ただし、11月5日、6日は行いません。祝祭日も行いません。)

★ミュージアムパートナーズ企画ワークショップ

・紙皿にサリー模様のステンシル遊び
  11/3(木・祝) 13:00-16:00
・手作りブロックプリントによるポストカード作り
  11/23(水・祝) 13:00-16:00
 
会場:国立民族学博物館 特別展示場内
お問い合わせ:情報企画課情報企画係 TEL 06-6876-2151

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【2】特別展「インド サリーの世界」関連 みんぱくゼミナール
     「サリーと呼ばれないサリー ―インド隣国ネパールの事例」
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http://www.minpaku.ac.jp/museum/event/seminar/330

優美な女性らしさと妻や母の美徳を象徴するサリー。
だが、それはネパールにおいて、他を圧倒する男性的な力をも担っています。
サリーと呼ばれないネパール人女性のサリーを読み解き、サリーがもつ近代性について考えます。

講師:南真木人(民族社会研究部助教授)
日時:10月15日(土)14時開演
場所:民博 講堂
参加方法:聴講無料。事前のお申し込みは不要です。

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【3】企画展「模型で世界旅行」開催中
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http://www.minpaku.ac.jp/museum/exhibition/thematic/model/index

風景の一画を300分の1に縮めて模型にすると、不思議にも、見えないものが見えてきます。鳥になったつもりで世界各地の建物や自然を訪ねてください。
みんぱくとJICA(ジャイカ:国際協力機構)がおこなう博物館学研修に参加した外国人研修員が、模型製作プロの強力なサポートをえて仕上げた、珠玉の景観フィギュアを一挙に展示します。 子どもと、子どもの心をもった大人に贈る企画展です。

期間:2005年10月13日(木)~2006年2月28日(火)
場所:常設展示場内

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【4】みんぱく映画会「中国雲南の民族誌映画―最新事情―」
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http://www.minpaku.ac.jp/museum/event/fs/movies0510

今、中国雲南省ではテレビ局や研究機関の企画とは別に、個人による民族誌映画の自主制作が盛んに行われています。2003年に続き、本年春、第2回「雲之南人類学映像展(民族誌映画祭)」が昆明で開かれました。雲南において民族誌映画をリードする3名の気鋭映像作家の作品とお話を通して、最新事情が体感できることと思います。

日時:2005年10月16日(日)13:30~16:30(開場13:00)
主催:国立民族学博物館
場所:民博 講堂
解説:横山廣子(民族社会研究部助教授)
   郭浄(雲南省社会科学院 白瑪山地文化研究センター教授)
   曽慶新(雲南民族大学 教育技術学院助教授)
   和淵(雲南省社会科学院 民族学研究所助手)
参加要領:申し込み不要、参加無料。450名(先着順)

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【5】公開講演会「家族のデザイン ─ 韓国・中国・日本、それぞれの選択 ─」
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http://www.minpaku.ac.jp/research/activity/news/alp/051028

「家族のきずな」をキーワードに、都市化、少子化、離散化さらにはIT化などの共通する現代的でグローバルな社会変容を受けながら、一見似ているようで、実際にはそれぞれの伝統的価値観を持ちつつ、家族のデザインを再構築している、韓国・中国・日本の現状を報告します。

日時:2005年10月28日(金)18:00~20:15
会場:日経ホール(日本経済新聞社ホール:東京都千代田区大手町1-9-5)
主催:国立民族学博物館 / 日本経済新聞社
参加費:無料、定員600名(手話通訳あります)
申込み方法:「10月28日講演会参加希望」と明記の上、郵便番号、住所、氏名、
 連絡先電話番号を記載し、ハガキ、FAX、メールにてお申し込みください。
 詳細はホームページをご覧ください。
お申し込み・問い合わせ先:研究協力係
  Fax:06-6878-8479 Tel:06-6878-8209
  E-mail:koenkai@idc.minpaku.ac.jp

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【6】公開 国際開発援助ワークショップ
  「カナダ国際開発庁と世界銀行における人類学者・社会学者の役割」
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http://www.minpaku.ac.jp/research/activity/news/corp/051112

世界銀行およびカナダ国際開発庁の開発方針とプロジェクトの全体像、およびそれらの機関が実施している開発プロジェクトにおける社会・文化人類学者や社会学者の役割について検討を加えます。今回は特に、人類学者や社会学者が深くかかわっている社会評価、参加型開発、少数派社会の安全保障をテーマとし、日本の援助機関と比較しながら開発プロジェクトにおける社会・文化人類学の社会的活用の可能性や必要性、限界について考えます。

※使用言語は英語。 ※ワークショップは一般公開といたします。
日時:2005年11月12-13日開催
会場:民博 第4セミナー室
→詳細はホームページをご覧ください

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【7】公開シンポジウム「共生の現場から」
 公開ワークショップ「ダンスで出会う・ダンスでつながる」
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http://www.minpaku.ac.jp/research/activity/news/corp/051112yh

◆公開シンポジウム「共生の現場から」

障害を持つ人々との共生の問題は、しばしば障害者支援とか「普通」への「統合」という視点で論じられます。しかし、本シンポジウムでは、すべてのひとびとにとって利用しやすい方法やシステムを意味するユニヴァーサル・デザインのように、皆が暮らしやすい「ユニヴァーサル社会」を目標に、「共生」を考えます。

日時:11月13日(日)午前9時45分~午後6時
会場:第5セミナー室
定員:100名(先着順 申し込み不要・参加無料)

◆公開ワークショップ「ダンスで出会う・ダンスでつながる」

東京から参加する≪みんなのダンスフィールド≫のメンバーと、関西からの参加者の計約50名がグループに分かれて展示場を見学し、そこから得たイメージから自由なダンスを創るプロセスを共有します。各グループには障害のある人やない人がいて、女性や男性、子どもや大人がいて、ずっと踊ってきた人やはじめてダンスに出会う人がいます。ワークショップは来館者らに公開の形で進め、その成果は、プロセスの紹介とともに「ダンス・パフォーマンス」として発表します。

日時:11月12日(土)午後1時~5時 / 13日(日)午前10時~午後3時
 →詳細はホームページをご覧ください。

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【8】「アクセサリー・身装文化ディジタルアーカイブ」公開しました
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http://www.minpaku.ac.jp/menu/database.html

民博久保研究室と大阪樟蔭女子大学高橋研究室が共同で作成したものです。
みんぱく収蔵庫に収蔵されているアクセサリー標本資料の詳細分析情報および画像情報、関連情報を収録しています。是非ご覧下さい。

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【9】無料観覧日のお知らせ
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http://www.minpaku.ac.jp/museum/information/basis

11月3日(木)、19日(土)、20日(日)は無料観覧日です。
毎週土曜日は、小・中・高校生は無料でご観覧いただけます。

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【10】ネットワーク停止のお知らせ
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10月15日(土)9:00~19:00はサーバーの保守作業のためホームページ、データベース検索、OPACがご使用になれません。
ご不便をおかけいたしますが、何卒、ご了承ください。

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☆編集後記

秋の遠足・行楽シーズンを迎え、民博にも連日のように、小学生から大人まで、多くのお客様がいらっしゃっています。お迎えする私たちも、ミュージアム・パートナーズの皆さんと共に、さまざまな企画の実行に携わっています。

民博を充分楽しんでいただき、秋の夜長に思いを馳せる糧としていただければ幸いです。

林勲男