国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

モンゴル仏教のグローカル実践に関する学際・国際的地域研究

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|基盤研究(A) 代表者 島村一平

研究プロジェクト一覧

2020年4月1日転入

目的・内容

本研究はモンゴルのみならずインド、中国、アメリカなどを舞台にグローカルに展開されているモンゴル仏教の実践を、特に「転生活仏」誕生のポリティクスに焦点を当てて明らかにすることを目的とする。モンゴル仏教はチベット仏教に属しながらも独自の経典や呪術的な宗教実践を生み出してきた。かつて清朝時代モンゴル高原には清朝公認・非公認の転生活仏が数十人いたが、こうした転生活仏が現在、次々と誕生している。中にはアメリカに「転生」しているケースすらある。そもそも活仏はインドのダライラマ法王庁の認定を必要とするが、モンゴルのローカルなポリティクスが深く関わっている。そこで従来の神秘主義的な説明とは異なる活仏誕生の現実を学際的(現在・歴史・他宗教との関わり)国際的(多拠点調査)に明らかにしていくものとする。

活動内容

2020年度実施計画

本年度は最終年度ではあるが、追加の調査を行う。本研究は、期間中に活仏が新たに誕生するというリアルタイムへの対応が必要となるため、このような措置を事前に講じた。実際、昨年度に新たなモンゴルでも活仏の誕生や活仏寺院の建築といった現象やインドやアメリカ、内モンゴルで新たな現象が起きていることが確認された。 資料整理と論文執筆:今まで収集したデータ、資料を整理しシンポジウムで発表する論文を執筆する。また令和3年2月を目標に国立民族学博物館において、モンゴル、ロシア、中国、イギリス、フランスなどの研究者を招へいし、国際シンポジウム「(仮)モンゴル仏教のグローカル実践と転生活仏」を開催する。このシンポジウムでの成果は、報告書もしくは書籍化をめざすものとする。参加者は、本計画のメンバーおよび海外共同研究者のほか、ロシア、アメリカなどから研究者を招聘する予定である。