国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

装飾文化からみたアフリカ史の再構築に関する研究 (2020-2022)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|基盤研究(B) 代表者 池谷和信

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本研究は、アフリカにおける装飾文化を代表するビーズ文化に焦点を当てて、アフリカの文化的地域性と近現代におけるその歴史的変遷を把握することを目的とする。具体的には、アフリカでの現地調査とビーズを記載した古書や古写真をとおして、(1)ビーズの素材とその入手方法(自給か購入かの区別)(2)ビーズの受け入れとその社会的意味(3)ビーズ利用の歴史的変遷(近現代史)の3点から、アフリカを対象にしてビーズ文化の現在と歴史的変遷を把握することである。

活動内容

2020年度実施計画

研究代表者および各研究分担者は、これまで研究してきた地域を中心に、それぞれビーズ文化の現在とその利用の歴史の両方の視点から資料収集を行う。つまりアフリカ諸地域の現地調査によって、ビーズ文化の諸相を共通の研究枠組みから把握する。その共通の項目は、素材、入手方法の歴史、社会的役割の3点である。2020年度は下記のような1~4の調査地域を設定して、円滑な現地調査を開始する。
1.南部アフリカの村:南アフリカのズールーやコーサにおけるビーズ文化とその社会史(池谷担当)
2.東アフリカの村:ケニアのサンブルやマサイとガラスビーズ文化とその社会史(中村担当)
3.西部および中部のアフリカの村:ナイジェリアのヨルバのビーズ職人文化とその社会史(池谷担当)、カメルーンのバミレケ首長国ほかのビーズ文化とその社会史(戸田担当)
4.東アフリカの農村におけるビーズの経済史:タンザニアのザンジバル島および内陸部の調査(鈴木担当)
その一方で、諸事情により現地調査が十分にできない場合には、国内の博物館(例:国立民族学博物館やリトルワールド)にて保存されているビーズ資料を対象にして物質文化の研究を実施する。