国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

身装文化デジタルアーカイブプロジェクト(2020)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|研究成果公開促進費(データベース) 代表者 高橋晴子

研究プロジェクト一覧

目的・内容

本デジタルアーカイブの目的は、化学繊維の普及とともに廃れてきた各民族が永年にわたり育んだ伝統的な染織・身装文化に係る学術的価値のある標本・画像・文献資料が、経年劣化や酸性紙等の問題で後世に伝承できない現状に鑑み、貴重なこれらの資料の体系的なデジタル化を図り、国内外の研究等に広く供することにある。具体的には、①劣化が激しい資料を優先的にデジタル化、②既存の学術標本・画像・文献資料のデータ更新を基本方針とし、世界の布地・衣服・アクセサリー標本、フィールド写真、近代日本の身装(身体と装い)文化に係る画像、および国内外の文献について、収集・タグ付け・デジタル化を行い、明治維新以降の身装に係る情報の充実を図る。
 現在、国立民族学博物館のウェブサイトから公開している服装・身装文化デジタルアーカイブは、①衣服・アクセサリー標本、②身装画像データベース「近代日本の身装文化」、③近代日本の身装電子年表、④身装文献で構成され、日本の衣生活が和装から洋装へと移行した重要な期間である近代に焦点を当てた本デジタルアーカイブはユニークな存在であり、国内外からの利用が高まってきている。この現状を踏まえて、国際展開のための環境整備(英語による検索機能の整備と画像フォーマットの標準化等)、および我が国の国立国会図書館が推進しているジャパンサーチ等を視野にいれての対応は不可欠である。本デジタルアーカイブは、世界の身装文化に係る研究拠点としての役割を目指し、①国内外の次世代の人々に我が国の身装文化の変容過程を明確に伝え、②国内外のデータベースとの連携をもとに、世界の身装に係る情報の提供を実現する。