現代エジプトのオルタナティヴ・モダニティとしての空手実践に関する社会人類学的研究(2012-2015)
科学研究費補助金による研究プロジェクト|若手研究(B) 代表者 相島葉月
目的・内容
中東におけるモダニティの系譜を探求するに際し、「社会階層」は最も有用な切り口の一つである。近年、新自由主義経済の広がりにより、学歴や所得で中流層と下流層を差異化することがより困難になる中、「教養」の有無を指標とする新たな「階層観」が構築されつつある。この文脈において本研究は、エジプトのスポーツ実践に象徴された「身体化された教養」をめぐるポリティクスを、西洋的近代性に代わる、独自のモダニティを創出する試みとして考察する。エジプトを代表する大衆的スポーツである空手道コミュニティ(競技者、指導者、父兄)の事例より、中流層的な倫理観とモダニティの関係性を再考する。
活動内容
2012年度実施計画
エジプトで空手道が「大衆的スポーツ」として受容された歴史的経緯の把握し、空手家コミュニティの形成と発展の過程を考察する。
5月にオクスフォード大学セントアントニーズカレッジにある中東研究センター付属図書館が所蔵するエジプトの大衆誌コレクションを閲覧し、資料収集を行う。次に日本において、国際交流基金やJICAの武道専門家派遣事業に関する資料収集と中東・アフリカ地域に派遣された空手家に対する聞き取り調査を実施する。7月にエジプトに一ヶ月滞在し、以下の調査を実施する。
- エジプト政府の統計中央局(CAPMAS)が刊行しているスポーツ実践に関する資料の収集。
- アハラム新聞社の資料室やエズベキーヤ古本市にて、格闘技に関する映画や雑誌の収集。(主にアハラム・リヤーダ、アル=バタルなどのスポーツ雑誌)
- 1970年代に空手を始めた世代への聞き取り調査を行い、エジプトの空手史を整理する。
- 複数の空手教室(公営スポーツセンター、個人経営の空手教室、大規模な会員制スポーツクラブなど)で参与観察を行い、メンバーの社会的背景やスポーツ実践に対する意識調査などを実施。中心的に調査する教室を決定する。
エジプトの空手コミュニティの形成と発展についての調査結果をまとめ、共同研究会や国立民族学博物館の一般向け講演会等において成果発表を行う。







