国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

身装文化デジタルアーカイブプロジェクト(2014-2018)

科学研究費助成事業による研究プロジェクト|研究成果公開促進費(データベース) 代表者 高橋晴子

研究プロジェクト一覧

目的・内容

世界の「身装―身体と装い」に関する標本,国内外の文献,写真等の様々な資料のうち、明治維新以降、現在に至るまでの学術的価値の高いデータを主として、衣文化全般に係る研究に耐えうるデジタルアーカイブの作成を目的とする。本デジタルアーカイブを構成する次の3本のデータベース<衣服・アクセサリー標本>、<身装文献>、<近代日本の身装電子年表>は、既に国立民族学博物館(以下、民博)のウェブサイトより公開されており、さらに、<近代日本の身装画像デジタルアーカイブ>(平成24~26年度基盤B一般、課題番号24300099)も近い将来公開する予定である。しかし、次のような基本的なデータに未入力部分が存在するため、既公開中のデータベースをより効果的に利用するための横断検索等が実現されておらず、十分に生かしきれていないのが現状である。未入力データは、①標本資料についてはサリーなどの成形されていない布地標本、②身装文献に含まれる外国文献の一部、③写真等の画像資料については、各地域のフィールド写真と歴史的な民族誌写真、および④近代日本の写真・挿絵があり、これらの資料のなかには、劣化の激しい布地標本やスライドを含むため、一刻も早く、デジタル化することが必要不可欠である。各資料のデータを充実させ、データ間の関係を明確に持たせることにより、さらには、現在、民博において構築中である梅棹忠夫資料のデジタルアーカイブズとリンクを貼ることにより、本デジタルアーカイブは、より多角的な身装情報の取得を可能とする環境を築くことができる。
衣服を単なるモノとして捉えるのではなく、着装している人間を中心に、その周辺の文化的・社会的環境までをも含む「身装」という概念のもとに構築を進めている本デジタルアーカイブは、国内はもとより、国外においても稀なものであり、完成の暁には、我が国が世界の衣文化の発信拠点としての役割を果たすことができる。