国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。
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国立民族学博物館研究報告

『国立民族学博物館研究報告』は、民族学(文化人類学)の発展に寄与するために、国立民族学博物館が刊行する研究誌です。この目的に即して、民族学、人類学および関連諸科学に関する論文、書評論文、資料、研究ノートを掲載しています。年4回出版。

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国立民族学博物館研究報告 2018 42巻3号

2018年2月28日刊行

バックナンバー

目次

 

42巻2号 All 42巻4号

概要

 

 

北インドにおける婚資婚再考
―ラージャスターン州西部に暮らすジョーギーの姻戚関係を事例に―
中野歩美

 本稿は,ブラーマン的な価値体系のなかで周縁化されてきた北インドにおける婚資婚を,北西インドのラージャスターン州に暮らすジョーギーの人びとの婚姻実践から再考するものである。花嫁を至高の贈り物とするカンニャーダーンというブラーマン的な理念においては,婚資を受け取る婚姻形式はアースラ婚として非難され,そうした見方が研究者のあいだでも内面化されてきた。それを踏まえ本稿では,ジョーギーの人びとの婚約交渉やその後の婚資の実践といった婚姻過程に注目し,いかに姻戚間の動態的な関係が生成されていくのかを検討する。そこで明らかとなるのは,サンバールと呼ばれる婚資の実践が単なる反対贈与のための場ではなく,当事者の親同士が適切な姻戚としての振る舞いをおこなうことで信頼関係を構築する場になっているという点である。結婚後には非対称な姻戚関係は,一切の義務を負わない対等な関係へと移行する。ここからジョーギーたちの姻戚関係の構築方法は,一時的な非対称性を作り出すことで互酬性を誘発し、その反対贈与の実践を通じて新たに信頼にもとづいた均衡関係を生成するものだといえる。それは、互酬性の否定によって自己を上位に他者を下位に位置づけることで自らの価値を高めようとする〈序列化の論理〉とは異なる論理にもとづいている。本稿ではそれを,〈均衡化の論理〉として提示した。

1 本稿の目的
2 先行研究の問題点
3 ジョーギー社会における親族関係
  3.1 調査地域と調査方法
  3.2 ジョーギー社会における婚姻制度
  3.3 ジョーギーの婚姻実践とギナーヤット関係
  3.3.1 サガーイーと姻戚関係の成立
  3.3.2 サンバールの実践とギナーヤット関係の非対称性
  3.3.3 結婚後のギナーヤット関係
4 考察
5 結論

* 関西学院大学大学院奨励研究員,国立民族学博物館外来研究員

キーワード:インド,ラージャスターン,ジョーギー,姻戚,婚資,互酬性

 

 

最近の狩猟採集民研究の動向
―第11回国際狩猟採集社会会議(CHAGS11)に出席して―
池谷和信・岸上伸啓・佐々木史郎**・戸田美佳子

 

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1 はじめに
2 多岐にわたる研究報告
3 シベリア,極東ロシアおよびユーラシア極北地域
  3.1 シベリアを前面に出したセッション
   3.1.1 セッション12「アムール川地域における先住民の歴史的生態」
   3.1.2 セッション22「フィールドから理論へ?―シベリア狩猟採集社会の民族誌と人類学理論」
  3.2 シベリア研究が主要な地位を占めていたセッション
   3.2.1 セッション34「重要性が小さくない関係―不可視性,動物,ドーム」
   3.2.2 セッション48「採掘産業―ローカルコミュニティのインパクト,利益と参入」
  3.3 まとめ
4 捕鯨社会,北アメリカ極北地域および環北太平洋地域
  4.1 先住民捕鯨に関するセッション
  4.2 イヌイットに関するセッション
  4.3 環北太平洋地域の狩猟・採集・漁撈社会に関するセッション
   4.3.1 セッション5「北太平洋海洋文化伝統の出現を調査する―考古学と歴史学」
   4.3.2 セッション13「東西北太平洋沿岸地域における狩猟・漁撈民の現代的課題」
   4.3.3 環北太平洋研究の将来
  4.4 まとめ
5 アフリカのコンゴ盆地とカラハリ砂漠
  5.1 ピグミー系狩猟採集民に関するセッション
  5.2 カラハリ狩猟採集民に関するセッション
  5.3 まとめ
6 現代の狩猟採集民社会におけるシェアリングや自律性に関する研究
7 研究動向のまとめと今後の課題

* 国立民族学博物館
** 国立アイヌ文化博物館(仮称)設立準備室

キーワード:狩猟採集民,国際狩猟採集社会会議,シベリア,極北地域,アフリカ

 

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