国立民族学博物館(みんぱく)は、博物館をもった文化人類学・民族学の研究所です。

連続講座「みんぱく×ナレッジキャピタル -世界の『台所』-」

  • 開催日:2016年5月11日(水)、5月25日(水)、6月8日(水)、6月22日(水)、7月6日(水)、7月18日(月・祝)、7月20日(水)
  • 時間:19:00~20:30(開場18:30)  ※7月18日の展示ツアーは13:30~15:00
  • 場所:CAFE Lab. グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル1F アクセスマップ[PDF]
       国立民族学博物館(7月18日のみ)
  • 定員:各回50名(7月18日のみ30名)中学生以上/要事前申込/先着順
  • 参加費:500円(1ドリンク代)※7月18日は無料
  • 主催:国立民族学博物館、一般社団法人ナレッジキャピタル、株式会社KMO
  • お問い合わせ:一般社団法人ナレッジキャピタル 

            電話:06-6372-6530(営業時間10:00~17:00)/e-mail:info@kc-i.jp

  •        ★7月18日の民博展示ツアーに関するお問い合わせは、国立民族学博物館 企画課博物館事業係まで
            電話:06-6878-8210(土日祝を除く9:00~17:00)

お申し込みはこちら(ナレッジキャピタルの応募フォームへ)

 

趣旨

台所とは調理する場所、集めてきた食材が料理にかわるところ、もっと言えば、自然が文化になるところ。今回の講座では、世界のさまざまな「台所」について、お話しします。とはいえ、住居内に調理に特化された空間としての台所が、どの社会にもあるわけではありません。日本の台所にしても、人々の住まい方に対応して、だんだん今の形になってきたのでしょう。そして今後も変化していくのでしょう。みんぱくに所属する6名の研究者と1名の名誉教授が紹介する、世界のくらしの中の調理空間の話が、日本に住むわれわれのくらしを見つめ直すきっかけになればと思います。

 

講座情報

第1回 5月11日(水) 「マダガスカル山岳部の食事と台所」
            講師:飯田卓[国立民族学博物館・准教授]

会場:CAFE Lab. グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル1F/定員:50名  


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マニオクイモ(キャッサバ)の盛りつけ)

マダガスカルの山岳部には、首都アンタナナリヴのように大きな町もありますが、車道の通わないような村落部もあります。ザフィマニリ人の家屋は、部屋の仕切りのない「ワンルーム」形式。その南よりに囲炉裏が切ってあり、南東の隅には調理道具が置かれています。この調理空間にみられる家財を写真記録するというのが、この地域でのわたしの重要な調査でした。その調査結果と、屋外で観察された生業のようすから、マダガスカル山岳部の食生活をご紹介します。

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《講師プロフィール》
マダガスカル山地部の人と樹木、同海岸部の人と海などの関わりを調査してきた。専門は生態人類学、文化遺産の人類学。著書に『身をもって知る技法』(臨川書店、2014年)、共編著に『マダガスカルを知るための62章』(明石書店、2013年)など。

 
第2回 5月25日(水) 「閉じられた聖なる空間――ネパールの台所」
            講師:南真木人[国立民族学博物館・准教授]

会場:CAFE Lab. グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル1F/定員:50名  


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村の台所(かまど)と都市の台所(ガスレンジ)

ヒンドゥー教世界では、食べることは体内に不浄や邪気を入れてしまいかねない危険な行為だと考えられています。そのため、ネパールの台所は余所者を排した聖なる空間とされ、ヒンドゥー僧侶カーストのブラーマンであれば、日々の食事は儀礼のように厳粛なものとなります。浄/不浄や文化/自然の規範的な観念から現実的な対応まで、ネパールの台所にまつわる日本とは違うものの見方や考え方、行為について考えます。

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《講師プロフィール》
専門は人類学、南アジア研究。共編著に『現代ネパールの政治と社会――民主化とマオイストの影響の拡大』(明石書店、2015)、Transnational Migration in East Asia: Japan in a Comparative Focus (国立民族学博物館、2008年)。分担執筆に『人と水Ⅱ 水と生活』(勉誠出版、2010年)、『講座世界の先住民族3――南アジア』(明石書店、2008年)など。

 
第3回 6月8日(水) 「人生は明るく楽しく――ルーマニアの食文化」
            講師:新免光比呂[国立民族学博物館・准教授]

会場:CAFE Lab. グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル1F/定員:50名  


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ブカレストでのサルマーレ作り

ルーマニアはハンガリー、ブルガリア、セルビア、ウクライナ、スロヴァキアなど多くの国に囲まれているばかりでなく、国内にも多様な民族を抱えています。そのため食はとても豊か。代表的な食べ物は、お葬式や結婚式などで欠かせないサルマーレという一種のロールキャベツ。ほかにも美味しいスープに肉料理、野菜、お菓子、漬物、お酒があります。ヨーロッパとアジアに挟まれた地理的、歴史的条件のため周辺地域と多くの共通点を持つルーマニアの食文化ですが、それを独特の人生哲学によって色づけています。

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《講師プロフィール》
宗教学専攻。主な調査地はルーマニアだが、比較を旨とする宗教学のため、キリスト教やイスラームの文化が広がっている地中海沿岸地域にも関心がある。おもな著作に「ルーマニア――祈りと祝祭の国」(淡交社、2000年)など。

 
第4回 6月22日(水) 「セネガルの食事情――クスクスとご飯」
            講師:三島禎子[国立民族学博物館・准教授]

会場:CAFE Lab. グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル1F/定員:50名  


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「国民食」となった炊き込みご飯「チェブジェン」

伝統的な雑穀の食事が、米や小麦におきかわってきています。作物の栽培や料理方法のちがい、穀物をめぐる農耕民と遊牧民の関係、また穀物の自給レベル、植民地支配以降の経済の変化にともなう食生活の変化、開発プロジェクトをめぐる農業の変化など、さまざまな要因が今日の食生活の変化と関わっています。そこから私たちの日常生活にも大きくつながる食、自然環境、グローバル経済などについても考えてみたいと思います。

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《講師プロフィール》
専門は文化人類学。西アフリカに故地をもつ商業民族の歴史的背景と今日の経済活動について関心をもち、世界各地で調査をしている。おもな著作に「民族の離散と回帰――ソニンケ商人の移動の歴史と現在」(駒井洋監修・編/小川充夫編『グローバル・ディアスポラ』明石書店、2011年)など。

 
第5回 7月6日(水) 「ムスリムの肉食、キリスト教徒の菜食――中東・イスラーム世界の食と宗教」
            講師:菅瀬晶子[国立民族学博物館・准教授]

会場:CAFE Lab. グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル1F/定員:50名 


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教えにのっとって菜食をおこなうキリスト教徒の家族

在日ムスリムの増加にともない、イスラームの食規定(ハラーム/ハラール)が日本でも注目を浴びるようになってきました。本講演では、イスラームの食規定の基本と、実際にムスリムがどのようなものを食べているのか、パレスチナやレバノン、シリアの事例をもとにご紹介します。また、宗教的マイノリティであるキリスト教徒の食文化についても取り上げ、ムスリムとの違いと共通点についてお話しします。

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《講師プロフィール》
パレスチナやレバノンの宗教的マイノリティであるキリスト教徒を調査対象とし、アラブ・ナショナリズムとのかかわりや、ムスリムと共通の聖者崇敬について調査している。おもな著作に、『イスラエルのアラブ人キリスト教徒――その社会とアイデンティティ』(渓水社、2009年)など。

 
第6回 7月18日(月・祝) 民博展示ツアー「電気・ガス・水道のない台所――ベトナム、黒タイ族の村から」
              講師:樫永真佐夫[国立民族学博物館・教授]

会場:国立民族学博物館/定員:30名  


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ブタ肉を炒め、魚を炙り、 ブタ肉を燻製にしている

電気もガスも水道もない台所なんて、想像できないかもしれません。でもベトナムの黒タイ族の村の台所には、ふつうガスも水道もないし、電気が来たのもこの十年です。では、そこにくらす人々は、調理や食事の際、火や水をどのように調達し、どのように使っているのでしょうか。またどんなものを、どのように食べているのでしょうか。黒タイの料理(もどき?)を実際にご紹介しながら、村のくらしと食についてお話しします。

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《講師プロフィール》
ベトナム西北部の盆地に水田を開き、村をつくっている黒タイという人たちの暮らしの過去と現在を、つれづれなるままに考えている。著書に『黒タイ歌謡「ソン・チュー・ソン・サオ」――村のくらしと恋』(雄山閣、2013年)など。

 
第7回 7月20日(水) 「韓国の台所」
            講師:朝倉敏夫[立命館大学・教授、国立民族学博物館・名誉教授]

会場:CAFE Lab. グランフロント大阪北館ナレッジキャピタル1F/定員:50名  


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1980年、都草島の家の台所

韓国社会でも日本と同じように高度経済成長によって生活が大きく変化しました。韓国の生活の特色と変化を顕著に見ることができるのが台所です。私がフィールドワークをした韓国西南部の島の家と、ソウルのアパートの事例を紹介しながら、韓国の台所の変化を通して、韓国社会における生活の特色と変化について考えてみましょう。

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《講師プロフィール》
1970年代末から韓国社会のフィールドワークをはじめ、韓国社会の変化を追い続けてきた。ことに『世界の食文化① 韓国』(農山漁村文化協会、2005年)、『韓国食文化読本』(共著、国立民族学博物館、2015年)など、食を通してみた韓国社会に関する著作も多い。