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令和元年度文化資源計画事業一覧

資料関連

▶ 標本資料の撮影等業務:日髙真吾

本事業は、標本資料を研究、展示、情報提供等に有効利用するために、標本資料の撮影、計測、及びそれらに付随する業務をおこなうものである。標本資料の正確かつ詳細な画像情報を記録し、標本資料を有効に活用するための基礎的データの蓄積を目的としており、大学共同利用機関として資料に付随する情報の公開等に供するデータを作成する基盤的な事業である。

▶ 研究資料整理・情報化及び利用管理業務【標本資料関連】:企画課長

本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関する情報サービス、展示準備・展示運営のための資料管理及び情報の作成 ・ 管理等を行うものである。

▶ 研究資料整理・情報化及び利用管理業務【データベース関連】:日髙真吾

本事業は、本館が所蔵する標本資料に関する情報の作成及び資料の整理等を行うとともに、当該資料に関するデータベース掲載情報の作成、更新作業及び「人類の文化資源に関するフォーラム型情報ミュージアムの構築」に係るデータ整理業務を行うものである。

▶ 有形文化資源の保存・管理システム構築:園田直子

本館所蔵資料の保存と活用の両立を目的に、その保存・管理システムを緊急度に応じて構築することを目的にしている。本事業では、①有形文化資源の保存対策立案:総合的有害生物管理(IPM)の考えに基づいた生物被害の防除・殺虫対策、②資料管理のための方法論策定:博物館環境調査の分析および収蔵資料の収納改善と再配架、③資料の科学的調査の推進、これら資料管理に関わる研究と事業を、総合的かつ長期的視点のもと、企画、実施、統括した。

▶ トーテムポールの新規製作:日髙真吾

2017・2018年度の台風により屋外に展示してあるトーテムポールの両翼が破損したため、新たなトーテムポールを製作することとなった。2018年度に、カナダ・バンクーバー島の先住民族クワクワカワクゥのアーティスト、ビル・ヘンダーソン氏にトーテムポールの製作を依頼し、2020年2月に完成した。完成したトーテムポールは、 3月に日本へ向け発送された。

▶ 標本資料「東北六県の伝統こけしコレクション」の寄贈受入:日髙真吾

本事業は、東北六県の伝統こけし232点の寄贈を受け入れるものである。このこけしコレクションは、寄贈者が平成元年から3年間にわたり、「伝統こけし工人手帳」をガイドブックに、東北六県の各工人工房を訪ね、その工人の自薦の「こけし」を収集したもので、おおよその点数の収集地、工人がリストにまとめられている。散逸を防ぐ意味でも、また個人が所有するよりも、公共に資するのが良いと考え寄贈を望まれた資料群である。

▶ 標本資料「日本の備中神楽面」の寄贈受入:日髙真吾

本事業は、岡山県で使用されていた神楽の面9点の寄贈を受け入れるものである。この神楽面は、寄贈者の父が収集したもので、40~50年前のものと考えられる岡山の備中神楽面である。

▶ 標本資料「インドネシア刀剣」の寄贈受入:信田敏宏

本事業は、第二次世界大戦期に今日のインドネシア・タラカン島にて従軍した故岡田清氏が、1975年に戦没者遺骨収集団の一員としてインドネシアに赴いた際にインドネシア政府の軍関係者より贈られた刀を民博が受け入れ、東南アジア標本資料および本館の刀剣類の標本資料の充実を図るものである。

▶ 標本資料「ブータン刀剣」の寄贈受入:南真木人

栗田靖之民博名誉教授が所蔵していた、ブータンのダショという称号を与えられた人が腰に提げる刀、中国リス族の鉈、ネパールの刀剣(ククリ)等の寄贈を受け入れ、標本資料として整備した。刃渡りの長い刀剣類、とくにダショの刀は、国内で入手することが困難であり、稀少な資料が展示や共同利用で活用できるようになった。

▶ 標本資料「インドの仮面劇チョウで使用する面」の寄贈受入:寺田吉孝

インド音楽・芸能の研究者である田中多佳子氏(京都教育大学教授、民族音楽学者)が、1984年にインド、デリーで入手したチョウ(Chhau)仮面劇に用いる仮面1点を寄贈資料として受け入れた。

▶ 標本資料「フィリピン華僑の食物入れ用手提げ篭」の寄贈受入:韓敏

本事業は、1980年までにフィリピンの首都マニラの華人たちが使用していた食物入れ用手提げ篭を受け入れるものである。今日では入手が困難な資料で、近現代の東南アジアと華僑文化を理解するのに重要な資料であり、特にフィリピン華僑の標本資料が不足している本館にとって貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国のプイ族の絞り染め」の寄贈受入:韓敏

本事業は、現代中国の絞り染めの文化を理解するのに重要なものであり、特に中国のプイ族の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。この絞り染めの画は、貴州省黔南プイ族ミャオ族自治州龍里洗馬店平坡村在住の女性(彦群花)による手作りのものであり、プイ族の人びとが笛の伴奏の下に歌ったり、踊ったりする様子を表現するものである。

▶ 標本資料「中国の女児用衣装」の寄贈受入:韓敏

本事業は、1980年代に中国で入手した女児衣装を受け入れたものである。今日では入手が困難な資料で、現代中国の庶民の服飾文化を理解するのに重要なものであり、特に中国地域の子どもの標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国の麺棒」の寄贈受入:韓敏

本事業は、中国安徽省宿州市の董欣栄(主婦)が1990年代後半から使用していた麺食の道具である麺棒を受け入れたものである。ナツメの木材よりつくられたこの麺棒は、入手が困難である。現代中国の庶民の暮らしと食文化の変化を理解するのに重要なものであり、特に中国地域の食文化の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「タイの彫像『象』」の寄贈受入:池谷和信

本事業は、タイのランナー・タイ地域の芸術家が子象の塑像に彩色した彫像を受け入れるものである。タイの文化においては象という動物が大切な象徴であり、それを現代のアーティストが表現した本資料を受け入れることで、当館の象文化に関する資料の充実をはかることができる。

▶ 標本資料「中華人民共和国成立五十周年切手」の寄贈受入:韓敏

本事業は、1999年に中華人民共和国建国50周年を記念して中央民族大学より発行された天安門、北京市内の風景及び56の民族衣装からなる記念切手のセットを受け入れたものである。今日では入手が困難である。現代中国の国家と社会を理解するのに重要なものであり、特に切手の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「毛沢東小型銅像」の寄贈受入:韓敏

本事業は、2000年代に湖南省韶山市韶山村で製造された毛沢東小型銅像を受け入れたものである。中華人民共和国初代指導者である毛沢東生誕110周年記念につくられた観光みやげ品であり、今日では入手が困難である。現代中国の国家と社会を理解するのに重要なものであり、特に近代社会の指導者に関わる標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「北米太鼓関連ポスター」の寄贈受入:寺田吉孝

提案者(寺田𠮷孝)が北米音楽文化研究の一環として収集したタイコ(和太鼓)演奏グループのポスター28点を寄贈受入した。本資料は民博特別展「越境する民族文化―いきかう人びと、まじわる文化」(1999年9月9日~2000年1月11日開催)の準備調査中に収集した資料である。

▶ 標本資料「日本の押し絵屏風」の寄贈受入:日髙真吾

本事業は、押し絵屏風2点の寄贈を受け入れるものである。押し絵は、布細工による貼り絵の一種であり、近年では製作者も減少している。本資料は、祖母の後を継ぎ「押し絵の会」を主催していた寄贈者が制作した押し絵屏風で、祖母の作品は1988年に本館に寄贈されている。布の入手や作画が困難になってきたことから会の運営を断念することとなったが、江戸時代から続く押し絵(特に浮世絵)を残したいと思い寄贈を望まれたものである。

▶ 標本資料「沖縄の身分証明書」の寄贈受入:日髙真吾

本事業は、戦後アメリカの統治下にあった沖縄在住の寄贈者の身分証明書(身分証明書、旅券、予防接種記録等)10点の寄贈を受け入れるものである。戦後、アメリカの統治下にあった沖縄で発行された身分証明書と、沖縄返還後に日本政府により発券された旅券は、当時の沖縄在住の人々の社会的立場や様相等が窺える資料として、戦後史の研究に資するものと考える。

▶ 標本資料「山形県のやっさら人形」の寄贈受入:日髙真吾

本事業は、山形県遊佐地区直世地区につたわる「やっさら人形」の寄贈を受け入れるものである。やっさら人形を流し雛として川に流す「やっさら藁人形流し」は、2019年現在では山形県直世地区の中川及び樽川の2地区でしか行われていない。本資料は、寄贈者が2015年頃に、流し雛行事参加者の農家の方が自作されたものを譲り受けたもので、伝統文化を伝える資料として、本館の人形や日本の伝統行事に関係する資料の充実を図るものとして貴重である。

▶ 標本資料「マッチ箱・駅弁・たばこ・乗車券・入場券のパッケージのスクラップブック」の寄贈受入:笹原亮二

旧蔵者が、昭和10年頃から平成年にかけて収集したマッチ箱・駅弁・たばこ・乗車券・入場券などを添付し整理したスクラップブックを受け入れる。同資料は関西在住の旧蔵者が通勤通学や旅行の際に各地で自ら収集したもので、当時の学生や労働者や都市生活者の生活の様々な側面を具体的にうかがうことができる。

▶ 標本資料「中国ナシ族のトンパ文字」の寄贈受入:韓敏

本事業は、雲南省北部ナシ族に伝わる、象形文字の一種であるトンパ文字による手書きの対句である(「布鳥啼叫、伝来佳音」)を受け入れたものである。世界で唯一の「生きた象形文字」とされ、ナシ族の中でもごく少数の「トンバ」と呼ばれる司祭によってのみ受け継がれているこのトンパ文字は、今日では入手が困難な資料でもあり、現代中国の少数民族を理解するのに重要なものであり、特に象形文字の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国の春聯」の寄贈受入:韓敏

本事業は、総研大の韓国人留学生である金桂淵氏が2010年に韓国大邱の華僑会館で収集した春聯を受け入れたものである。今日では入手が困難な資料であり、韓国華僑の暮らしを理解するのに重要なものであり、特に海外華人の春節の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国の文鎮(覇王項羽)」の寄贈受入:韓敏

本事業は、2016年に楚の覇王項羽(232–202 BC)が漢の劉邦に敗れ、最期を迎えた場所である安徽省和県烏江鎮で入手した文鎮の寄贈を受け入れるものである。文鎮は、記念品として烏江鎮にある覇王祠で販売され、その両面は、項羽の略歴と司馬遷の『史記・項羽本紀』の中で記載された項羽のことばが明記されている。中国人の歴史記憶を理解するのに重要なものであり、特に文鎮の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国のボールペン」の寄贈受入:韓敏

本事業は、岳飛(1103~1141年)が埋葬されている浙江省杭州市西湖近くの岳王廟で収集したボールペンを受け入れたものである。ボールペンの表には、彼の背中で刺された「尽忠報国」と岳飛自筆の「還我山河」の文字が明記されている。中国人の歴史記憶を理解するのに重要なものであり、特に中国地域の文具の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国の陝北漢画像石拓本」の寄贈受入:韓敏

本事業は、2003年に中国の陝西省北部楡林市で収集した、楡林市米脂県官庄で出土された漢代の墓の画像石拓本を受け入れたものである。画像石は三つの部分からなり、上は孔雀(朱雀)、中間は幕が張ってある馬車に乗る貴族の女性、下は馬を飼育する御者、まぐさ桶と木が描かれている。今日では入手が困難な資料であり、漢代の美術史および当時の生活史を理解するのに重要なものであり、特に古代拓本や墓の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国陝西省北部の切り紙コレクション」の寄贈受入:韓敏

本事業は、2003年に中国の陝西省延安市で収集した、陝西省北部切り紙の第一人者である白鳳蓮女史(1931年生まれ)の切り紙作品のコレクションを受け入れたものである。今日では入手が困難な資料であり、中国の切り紙の伝統文化を理解するのに重要なものであり、特に中国西北地域の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国の書籍『毛主席語録』他」の寄贈受入:韓敏

本事業は、中国瀋陽で使用していた文化大革命時期の学習資料を受け入れたものである。当時、小中高校、大学、さまざまな民族、職場や農村においてもっとも広く使用された、『毛沢東語録』(1963年発行)、『学習毛主席著作輔導読物』(「為人民服務」、「愚公移山」、「紀念白求恩」を収録した読本1967年発行)、『毛主席的五篇哲学著作』(1970年発行)の三種類である。これらは、当時の学習資料としてのみならず、さまざまな儀式等においても使用されるものであり、今日では入手が困難な資料である。近代中国の社会変化を理解するのに貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国福建省の斗美宮(三王府)の護符」の寄贈受入:韓敏

本事業は、福建省石獅市祥芝村の「斗美宮」により発行され、2003年にSARSが流行したときに使用されていた護符を受け入れたものである。護符には、守り神の王爺や、毛沢東の詩歌「送疫神」が印刷されている。今日では入手が困難な資料である。福建南部、台湾および東南アジアで篤く信仰されている王爺信仰の歴史とその伝播を考えるのに貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国福建省の斗美宮(三王府)の霊籤解説書」の寄贈受入:韓敏

本事業は、2010年に福建省石獅市祥芝村の「斗美宮」で収集された神籤の解説書を受け入れたものである。この神籤の解説書は、手書きのものであり、「斗美宮」で長年聖職者によって使用されていたものであり、今日では入手が困難な資料でもある。現代中国の宗教的実践を理解するのに重要なものであり、特に南部中国および東南アジアの王爺信仰の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国の孔子肖像玉ペンダント」の寄贈受入:韓敏

本事業は、2010年に福建省泉州市、学問の神様である孔子を祀る孔子廟(別名、文廟)で収集した孔子肖像玉ペンダントを受け入れたものである。この孔子肖像玉ペンダントは、孔子廟によって縁起物、お守りとして発行されたものである。社会主義体制の中国において、儒教の創始者である孔子が一般の人々や宗教施設によってどのように認識されているのかを考える上で、貴重な資料である。イデオロギーの規制が厳しい今日では入手が困難な資料でもあり、本館で所蔵する意義がある。

▶ 標本資料「中国の紙銭セット」の寄贈受入:韓敏

本事業は、タイのバンコクで収集されて、タイの華人が使用する死者供養の紙銭セットを受けいれたものである。この紙銭セットは、死者があの世で不自由なく暮らすために用意された航空券、パスポートや、通帳、クレジットカード、テレホンカードを含む。今日では入手が困難な資料であり、タイの華人を考える上で、貴重な資料であり、特に現代の死者供養の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国の字牌(玩具)」の寄贈受入:韓敏

本事業は、中国地域の伝統的遊びの一つである字牌を受けいれたものでする。本資料は、2010年に福建省泉州で収集され、泉州海外交通史博物館長である王連茂の母親(当時93歳)が、長年自宅で遊んでいた玩具である。今日では入手が困難な資料であり、伝統的中国の娯楽文化を考える上で、貴重な資料であり、特に娯楽の標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国の新聞『石獅僑報』・『石獅日報』」の寄贈受入:韓敏

本事業は、華僑の故郷と見なされている福建省南部で発行された地方新聞紙である『石獅僑報』(2012年3月15日)、『石獅日報』(2012年3月19日)を受け入れたものである。本新聞は、華僑の専門新聞であり、2012年に福建省石獅市で収集したものである。中国福建地元の人々と東南アジアの華僑との文化的、経済的なつながりを考える上で、貴重な資料であり、本館で所蔵する意義がある。

▶ 標本資料「中国の泉州海外交通史博物館発行の記念切手・絵葉書・しおり」の寄贈受入:韓敏

本事業は、中国唯一の航海と海のシルクロードを展示する国立泉州海外交通史博物館が発行した記念切手・絵葉書・しおりを受け入れたものである。資料は、マルコ・ポーロの『東方見聞録』、と14世紀のイブン・バットゥータの『三大陸周遊記』で、「世界最大の港」として記された国際的港である、泉州外交通史博物館で2010年に収集したものであり、当時、遠洋航海に使用された船、ヒンズー教の神々やキリスト教天使の石彫刻などが記録されている。中国福建と、南アジアや世界とのつながりを考える上で、貴重な資料であり、特に海のシルクロードの標本資料が不足している本館にとって、貴重な資料である。

▶ 標本資料「中国の経典『道徳経』」の寄贈受入:韓敏

本事業は、福建省泉州市の道教的施設が発行された道教の経典である『道徳経』を受け入れたものである。資料は、2010年福建省泉州市道教の寺院で収集した老子の道徳経のテキスト全文及びその現代語による解釈を含む。『道徳経』は、春秋時代の思想家老子が書いたと伝えられる本書は道家の代表的書物であり、社会主義体制の中国において、この道教的古典がどのように利用され、解釈されているのかを考える上で、貴重な資料である。イデオロギーの規制が厳しい今日では入手が困難な資料でもあり、本館で所蔵する意義がある。

▶ 標本資料「中国の銅製やかん」の寄贈受入:韓敏

本事業は、内モンゴル地域で使われている伝統的な飲食道具である銅製やかんを受け入れたものである。本資料は、2017年内モンゴル自治区フフホト市で収集したものであり、このようなやかんは農耕民との茶馬交易を営んできた遊牧民によって、湯沸かしや水やお茶の容器として使われてきた。機械による大量生産の今日、この地域では、このような職人による手作りの銅製やかんがまだ見かけられる。今日では入手が困難な資料であり、現代中国のモンゴル族の暮らしを理解するのに貴重な資料である。

▶ 標本資料「米国先住民ホピ製アート3点(絵画、土器埦、ステンドグラス)」の寄贈受入:伊藤敦規

2019年4月から7月にかけて科研費で渡米した際に、申請者が先住民ホピのアーティスト複数名から民博への寄贈を前提として自作アート作品を託された。本計画事業により、それら3点を民博に寄贈する手続きを完了させた。寄贈した3点は、絵画1点(Ed Kabotie作『A Tewa Migration Story』)、土器埦1点(Gwen Setalla作『Mimbres Nectar Gatherers』)、ステンドグラス1点(Ramson Lomatewama作『Mimbres Connection』)である。これらは、2017年8月28日から9月2日まで米国ニューメキシコ州立大学附属博物館などで開催した国際ワークショップの成果として制作された。

▶ 標本資料「ソマリの容器、屋根資料」の寄贈受入:池谷和信

本事業は、現在本館にはほとんど収蔵されていないソマリの民族資料として、ミルク容器・食物入れ・屋根を受け入れるものである。ソマリは、ラクダ遊牧民として知られる。今回の受入によって、食物入れやミルク容器から遊牧生活の一部を知ることができ、またこれまでほとんど収蔵されていなかった民族・地域の資料の充実を図ることができる。

▶ 標本資料「ペルーの帽子」の寄贈受入:關雄二

本事業は、ペルー南高地で使用されていた女性用帽子1点の寄贈受入をおこなうものである。形と装飾から判断して、ケチュア語話者に民族集団カバナが使用するものと推測され、本資料を受けいれることで、南米アンデス地方の帽子資料の充実を図ることができる。

▶ 標本資料「日本のふくさ」の寄贈受入:日髙真吾

本事業は、結納の際に使用されたふくさ等10点のふくさの寄贈を受け入れるものである。本資料群には、寄贈者の両親が結婚された際に実際に使用した結納の品の上にかぶせる「ふくさ」3点を含む。1929~1930年前後に入手された品で、鳳凰柄の大小(男性用、女性用)と、鶴亀柄の計3枚、ふくさを収める木箱が付属されており、経年しているにも関わらず保存状態がきわめて良好で、織物としての資料価値が極めて高い資料である。

▶ 標本資料「ミャンマーのぞうり(パナッ)」の寄贈受入:飯田卓

本事業は、ミャンマーの男性用ぞうり(パナッ)1点を受け入れるものである。本館は、ミャンマーで用いられる衣装ロンジーを複数所有しており、それに合わせて用いられるパナッも何点かあるが、男性がフォーマルな場で用いるパナッはなかった。今回あらたに寄贈を受けたことで、ミャンマーの伝統的衣装のバリエーションを把握できるようになる。

▶ 標本資料「大韓民国の衣服」の寄贈受入:太田心平

本事業は、大韓民国で使用されている改良韓服や学生服、校章など29点を受け入れるものである。韓国の現代の改良韓服も学生服も、本館展示「朝鮮半島の文化」にて展示されている。校外学習で訪れた中高生やその関係者から、自分たちに身近な制服にも地域による差があることがわかったと好評を得ており、共同利用にもより深く寄与できる。

▶ 標本資料「ケニアの盾」の寄贈受入:池谷和信

本事業は、アフリカ・トゥルカナ族の戦闘用盾1点を受け入れるものである。アフリカンバッファローの革で作られた物は現在では入手困難であることから、貴重な資料であり本館のアフリカ関係資料の充実を図ることができる。

▶ 標本資料「南アジアの弦楽器および付属品」の寄贈受入:寺田吉孝

2019年度企画展「旅する楽器-南アジア、弦の響き」に借用した楽器および楽器の付属品の中から計20点の寄贈を受け入れた。内訳は、人類学者の田森雅一氏が1980年から1990年代にかけて収集した弦楽器とそれらの付属品18点、およびインド音楽の演奏家ガーヤトリ・カセバウム氏の私蔵資料2点である。

▶ 標本資料「アイヌの工芸品」の勘定科目替え受入:齋藤玲子

2020年開催の特別展「先住民の宝」に展示するために、消耗品として購入したアイヌの現代の工芸品(財布、ID カードホルダー、ペンケース、小銭入れ)について、展示終了後も活用できるよう、標本資料への勘定科目替えをおこなった。

▶ 標本資料「サーミの工芸および観光産業資料」の勘定科目替え:南真木人

特別展「先住民の宝」に向けた2019年10月の現地調査において、庄司博史民博名誉教授と提案者が入手した、ノルウェーとフィンランドのサーミ工芸資料と観光産業資料(消耗品)を、標本資料として受け入れた。資料の多くは現地でしか入手できず、付帯情報も充実している。現代サーミの生業や先住民運動を推し量る貴重な資料として、展示や共同利用で活用できるようになった。

展示

▶ コレクション展示「日本から遠く離れて―朝枝利男の見たガラパゴス」:丹羽典生

本館所蔵の映像音響資料である朝枝利男コレクションにもとづく展示を開催した。朝枝利男とは、アメリカの学芸員で画家・写真家・剥製師でもあった人物であり、本展示では、その中でもアメリカの探検隊に同伴して撮影したガラパゴス関係の写真を中心に、彼のアルバム・探検日記・魚類の水彩画について紹介した。新型コロナウイルス感染のさらなる拡大の防止のため、国立民族学博物館が臨時休館されたことに伴い、当初予定していた期日(2020年3月24日(火))より早い2月27日(木)に閉会した。

博物館社会連携

▶ ボランティア活動支援:樫永真佐夫

国立民族学博物館におけるボランティア活動者の受入要項に基づき、登録したボランティア団体であるMMP(みんぱくミュージアムパートナーズ)の活動支援をおこなった。

▶ ワークショップの実施ならびにワークシートの運用:樫永真佐夫

ワークショップ実施をとおして利用者からの様々な意見や要望を聞くことができた。また、社会連携事業検討ワーキングにおいて作成した6種類の新規ワークシートは、みんぱく展示場におけるあたらしい資料の見方を提示できる内容となった。

▶ 音楽の祭日2019 in みんぱく:出口正之

社会連携活動の一環として、出演者229名(28組)が特別展示館およびエントランスホールにて演奏する音楽イベントを開催した。

▶ みんぱっく「エチオピアをまとう―アムハラの装い」の制作:川瀬慈

本館の教育機関向け貸出キット「みんぱっく」に関して、アフリカ地域を知りたいという教育現場からの要望が多いため、エチオピアの生活文化に焦点をあてたパックを新たに制作した。2019年度運用開始に向け準備を進めていたが、2018年6月18日に発生した大阪府北部を震源とする地震により、制作作業に必要な燻蒸庫(カポックス)が一時停止したため運用開始時期を半年延長した。

▶ カムイノミ及び「アイヌ古式舞踊」演舞の実施:齋藤玲子

当館が所蔵するアイヌの標本資料に対して、安全な保管と後世への確実な伝承を目的に、祈りの儀式(カムイノミ)をおこない、あわせてアイヌ古式舞踊の演舞を、一般公開で実施した。初の試みとして、本館1階エントランスホールに大型モニターを設置して、カムイノミと古式舞踊の演舞の中継映像を流した。また、工芸品製作の実演「アイヌ工芸 in みんぱく」をおこなった。

▶ みんぱっくの改訂版制作(アイヌ文化にであう):齋藤玲子

学校機関や各種社会教育施設を対象に貸出を行う学習キット「みんぱっく」は、パック制作後10年を耐用年数とし、また、時代に即した内容にするためにも改訂を行う必要がある。2019年度は内容物についての新規制作と、それらについての情報の更新等の最終調整を行った。2020年4月より運用を開始することができる準備が整っている。