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令和2年度文化資源プロジェクト一覧

調査・収集

▶ なし

展示

▶ 特別展示「先住民の宝」開催:信田敏宏

世界各地の先住民が大切にしている「宝」をキーワードに、写真や動画、絵画や漫画などのメディアも活用しながら、それぞれの地域の先住民の暮らしや現状を紹介した。「宝」には、狩猟具、装身具、儀礼具、その他の生活用具などの具体物だけではなく、伝統的な生活、森や海などの自然環境、言語、信仰、芸能なども含まれる。先住民運動や文化復興運動などが隆盛し、民族アイデンティティが活性化している状況にも配慮しながら、展示全体のストーリーを構成した。

▶ 特別展示「ユニバーサル・ミュージアム-さわる!“触”の大博覧会」:廣瀬浩二郎

2021年秋の特別展実施に向けて準備を進めた。具体的には以下の3点について取り組んだ。
① 協力アーティストを確定し、各自の出展作品の数、内容に関して打ち合わせを行なった。
② 図録の目次案を固め、執筆予定者に原稿依頼状を送付した。
③ 展示場全体のレイアウトについて展示デザイナーと議論を重ね、設計図面を完成させた。

▶ 特別展「復興を支える地域の文化―3.11から10年」:日髙真吾

未曽有の被害をもたらした東日本大震災。2021年はこの震災から10年目を迎える。東日本大震災では、復興過程において、被災地の地域文化の果たす役割が大きな注目を集めた。本展示では、東日本大震災からの10年の復興過程のなかでの地域文化の動向を紹介し、ミュージアムの視点から地域文化の防災・減災を考えるものであり、特別展「復興を支える地域の文化―3.11から10年」として、3月4日に開幕した。

▶ 特別展「Homō loquēns『しゃべるヒト』―ことばの不思議を科学する」の準備:菊澤律子

言語に関する展示会を、言語学の諸分野および言語に関連する他の分野の共同の研究成果公開の場として、2022年秋に民博の特別展示場において開催するための準備を進めた。展示の実施に向けて、会期変更に伴うスケジュールおよび予算の見直し、コンテンツの内容提供の依頼、具体的なコンテンツの大枠の決定および平面図概要の確定、展示関連出版物の内容の見直しなどを行った。

▶ 特別展「邂逅する写真たち―モンゴルの100年前と今」:島村一平

およそ100年前、多くの探検家たちが中央アジアを目指し、モンゴルに到達した。探検家たちは多くの写真を残し現在に伝えている。一方、研究者はもちろん現代のモンゴルの写真家たちも自らの社会を見つめ、写真で表現するようになった。100年前の欧米の探検家たちが残した「辺境」としてのモンゴルに対するまなざしと現代の研究者のまなざし。そして現代モンゴル人の自らの社会に対するまなざし。本展示は、こうした写真をめぐる100年の時空を越えた邂逅をテーマに展示するものである。以上のような内容の展示を企画するための準備を行った。

▶ 梅棹忠夫生誕100年記念企画展「知的生産のフロンティア」:飯田卓

2019年4月に採択された文化資源プロジェクト「企画展「梅棹忠夫生誕100年」(仮称)準備」を受けて、標記プロジェクト名に示した展示名で企画展を開催した。当初、会期は2020年4月23日から6月23日までの予定だったが、新型コロナウィルス感染症の流行第2波のために延期され、同年9月3日から10月20日に変更された。また、開幕後、この企画展をもとにした内容の展示を京都大学総合博物館に巡回させることを予定していたところ、先方の会期が延期されたため、民博では最終的に12月1日まで会期を延長して開催した。

▶ 2021年度企画展「躍動するインド世界の布」:上羽陽子

南アジア社会における布(着衣や儀礼用布など)の使途の多様性や、布が人や神に作用する機能などに注目した企画展を2021年11月4日〜2022年2月15日(予定)に国立民族学博物館本館・企画展示場にて実施するための準備をおこなった。

▶ 巡回展「驚異と怪異―モンスターたちは告げる」:山中由里子

ヨーロッパや中東においては、犬頭人、一角獣といった不可思議ではあるが実在するかもしれない「驚異」は、神の偉大な力を示すものととらえられ、自然に関する知識の一部として伝えられた。また、東アジアにおいては、流星や異形の生き物の誕生など、通常とは異なる現象は、天や神仏からの警告である「怪異」としてとらえられ、歴史書のなかに記録された。本展では、国立民族学博物館所蔵の民族資料を中心に、人魚、竜、怪鳥、一角獣など、さまざまな世界の想像上の生き物について紹介するとともに、警告・凶兆(モンストルム)を語源とする怪物(モンスター)の文化史的な意味について考えた。

▶ 巡回展「子ども/おもちゃの博覧会」:笹原亮二

2019年3~5月に本館で開催した特別展「子ども/おもちゃの博覧会」を、島根県立古代出雲歴史博物館(島根県出雲市)において、巡回展として開催するための準備を行った。展示は、大人とは異なる存在としての近代日本における「子ども」の誕生を、子どもに関する玩具を始めとした様々な生活用品などのモノの展示を通して明らかにすることを目的とする。近代以降に商品化された子どもの生活に関する多種多様なモノは、現在、民博所蔵のビッグバン旧蔵資料を始め、各地の博物館・資料館や旧家に大規模コレクションとして残されている。展示では、これらの資料をとおして、近代以降、質量ともに充実する子どもに関するモノと、子どもの社会やそれを取り巻く社会全体との関係を検証し、モノに映しだされたその時代の生活意識や社会意識を読み解くことで、近代日本の子ども観の形成過程を実証的に提示する。本展はこれまでの文献や絵画資料などを中心とした子ども像の探求とは異なる視点から、近代日本の子ども観の形成過程を広く一般に展示公開するものである。

▶ 巡回展「ビーズ アイヌモシㇼから世界へ」:池谷和信

本計画では、民博所蔵の標本資料を中心に活用して、世界における多様な素材で作られたビーズや社会的役割を持つビーズを北海道の国立アイヌ民族博物館にて展示する。そして、これらをとおして、私たち人類ホモ・サピエンスの文化の特質を理解する機会にする。つまり今回の展示は、特定の地域の文化に焦点を当てたものではなく、地球上に普遍的にみられるビーズというものをとおして、「人類とは何か」という人類学の基本課題を正面から追求するものである。

▶ 共催展「佐々木高明のみた焼き畑―五木村から世界へ」:池谷和信

本館の元館長・佐々木高明は、焼畑研究の第一人者として知られている。これまで本館では、佐々木の撮影した写真を整理してデータベースとして公開してきた。同時に、佐々木の研究の出発点となった熊本県五木村にて氏の撮影した写真を紹介することから、現地の方々との研究交流会を進めてきた。そこで、本展示では、国立民族学博物館・五木村ヒストリアテラス五木谷との共同開催において(2020年10月3日~12月13日)、氏の撮影した五木村での焼畑の写真や道具を中心にして国内外での焼畑文化を紹介することが目的であった。同時に本展示は、五木村の事例から日本や世界の食と農の未来のあり方を考える試みでもあった。

▶ 共催展「梅棹忠夫生誕100年記念 知的生産のフロンティア」:飯田卓

国立民族学博物館で2020年秋に実施した企画展をもとにした展示を京都大学において開催する。提案時には展示名や実施形態に不明な点があったが、最終的には京都大学総合博物館において2021年1月13日から3月14日まで、特別展「梅棹忠夫生誕100年記念―知的生産のフロンティア」という展示名のもとに開催された。新型コロナウィルス感染症の対策のため、会期の変更や入場制限などがおこなわれたものの、約1,300名の入場者を得て閉幕した。


博物館社会連携

▶ 知的障害者の博物館活用に関する実践的研究:信田敏宏

知的障害者を対象とした試行的ワークショップ「みんぱくSama-Sama塾」を開催した。知的障害者にとっても分かりやすく、楽しめる博物館の活用モデルを目指し、知的障害者が博物館を活用する際に必要とされる支援や改善点などを検討しながら実施した。

▶ 博物館社会連携事業強化プロジェクト:吉岡乾

本館の博物館社会連携事業を、既存プログラムの改良と新プログラムの研究開発により強化することを目的に、下記6つの事業の実用化と運用、および新たな事業の研究開発を行った。
1. 2019年度に企画・実施したアウトリーチプログラムの検証と実用化
2. ワークシートの改良と種類の増加
3. 近隣公共施設との連携事業の実施と実用化
4. 2019年度に作成した子どもパンフレットの試行と校正
5. 高校、大学生に対する教育プログラムの企画立案、実施
6. 館内ワークショップの企画立案、実施