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志川真子(SHIGAWA Mako)

在学生の研究内容

志川真子(SHIGAWA Mako)

所属

比較文化学専攻

指導教員

主任指導教員:福岡正太/副指導教員:笹原亮二

研究題目

民俗芸能の復活

研究キーワード

民俗芸能、民族音楽学、中断と復活、六斎念仏

研究の概要

六斎念仏は、仏教における六斎の思想と念仏信仰が結びついてできたとされる日本の民俗芸能の一つで、太鼓や鉦を叩きながら念仏を唱える形態をもつ。中でも京都で伝承されている六斎念仏は、能や獅子舞、祇園囃子など他の芸能を取り込んで独自に発展を遂げてきた。現在京都では、京都六斎念仏保存団体連合会に所属する14の保存団体によって六斎念仏が伝承されている。この14の保存団体うち、本研究の研究対象である桂六斎念佛(以下、桂六斎)は、14年間の休止を経て令和元年(2019)に復活した。
本研究の目的は、桂六斎の実践を通して、中断と復活を経験した芸能の伝承の実態を、当事者のみならず地域住民の存在も視野に入れながら、民族音楽学的な視点から明らかにすることである。具体的には、①地域住民との関係性、②新規参加者の記憶や認識の構築、③個人による伝承の再創造の3点に着目し、現代の日本における民俗芸能の復活に関するモデル化や枠組みの提示を目指す。
ティモシー・ライスは民族音楽学について、音響としての音楽のみならず、音をめぐる人間の行動や背景となる文化・社会も含めた広い範囲の研究を目的とすると述べている(ライス 2001)。それならば、民族音楽学には当然民俗芸能研究も含まれるはずである。しかしながら、両分野とも非常に豊かな研究の蓄積があるにも関わらず、両者を接合した研究はこれまであまりなされてこなかった。本研究は、こうした当該分野の状況と課題をかんがみ、これまで民俗芸能研究で重視されてきた具体的実践に基づくアプローチと、ライスの研究モデルを基盤とした民族音楽学を接合するという点に特長がある。