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この世のキワ―〈自然〉の内と外

館外での出版物

2019年10月25日刊行

山中由里子(編集)、 山田仁史(編集)

勉誠出版

出版物情報

  • 出版社:勉誠出版 出版社ホームページはこちら
  • 定価:3,520円(税込)
  • ISBN:978-4-585-22705-2
  • 判型:A5判
  • 頁数:368頁
  • 【関連企画】特別展「驚異と怪異――想像界の生きものたち」

主題・内容

境界に立ち現れる身体・音・モノ―
「驚異」と「怪異」に共通する「異」なるものへの視線は、自己と他者、自己と宇宙の境界認識によって形作られるものであり、自然の中での人間の立ち位置を映し出す鏡でもある。
その「驚異」と「怪異」の表象を、ユーラシア大陸の東西の伝承・史料・民族資料・美術品に探り、「自然」と「超自然」の境界領域、「この世」と「あの世」の心理的・物理的距離感、境界に立ち現れる身体・音・モノなどについて、総勢25名の豪華執筆者が学際的に考察する。

目次

序章―自然界と想像界のあわいにある驚異と怪異 山中由里子

Ⅰ 境―自然と超自然のはざま
自然と超自然の境界論 秋道智彌
中国古代・中世の鬼神と自然観―「自然の怪」をめぐる社会史 佐々木聡
怪異が生じる場―天地と怪異 木場貴俊
百科事典と自然の分類―西洋中世を中心に 大沼由布
怪物の形而上学 野家啓一

Ⅱ 場―異界との接点
平安京と異界―怪異と驚異の出会う場所〈まち〉 榎村寛之
驚異の場としての「聖パトリックの煉獄」 松田隆美
怪物たちの棲むところ―中世ヨーロッパの地図に描かれた怪物とその発生過程 金沢百枝
妖怪としての動物 香川雅信
イスラーム美術における天の表象―想像界と科学の狭間の造形 小林一枝
歴史的パレスチナという場とジン憑き 菅瀬晶子

Ⅲ 体―身体と異界
妖怪画に描かれた身体―目の妖怪を中心に 安井眞奈美
平昌五輪に現れた人面鳥の正体は―『山海経』の異形と中華のキワ 松浦史子
魔女の身体、怪物の身体 黒川正剛
中東世界の百科全書に描かれる異形の種族 林則仁

Ⅳ 音―聞こえてくる異界
西洋音楽史における「異界」表現―試論的考察 小宮正安
カランコロン考―怪談の擬音と近代化 井上真史
「耳」「声」「霊」―無意識的記憶と魂の連鎖について 稲賀繁美
釜鳴と鳴釜神事―常ならざる音の受容史 佐々木聡
死者の「声」を「聞く」ということ―聴覚メディアとしての口寄せ巫女 大道晴香

Ⅴ 物―異界の物的証拠
不思議なモノの収蔵地としての寺社 松田陽
寺院に伝わる怪異なモノ―仏教民俗学の視座 角南聡一郎
民間信仰を売る―トルコの邪視除け護符ナザル・ボンジュウ 宮下遼
異界としてのミュージアム 寺田鮎美

終章―驚異・怪異の人類史的基礎 山田仁史

展覧会紹介「驚異と怪異―想像界の生きものたち」