この世のキワ―〈自然〉の内と外
館外での出版物

出版物情報
- 出版社:勉誠出版 出版社ホームページはこちら
- 定価:3,520円(税込)
- ISBN:978-4-585-22705-2
- 判型:A5判
- 頁数:368頁
- 【関連企画】特別展「驚異と怪異――想像界の生きものたち」
主題・内容
「驚異」と「怪異」に共通する「異」なるものへの視線は、自己と他者、自己と宇宙の境界認識によって形作られるものであり、自然の中での人間の立ち位置を映し出す鏡でもある。
その「驚異」と「怪異」の表象を、ユーラシア大陸の東西の伝承・史料・民族資料・美術品に探り、「自然」と「超自然」の境界領域、「この世」と「あの世」の心理的・物理的距離感、境界に立ち現れる身体・音・モノなどについて、総勢25名の豪華執筆者が学際的に考察する。
目次
自然と超自然の境界論 秋道智彌
中国古代・中世の鬼神と自然観―「自然の怪」をめぐる社会史 佐々木聡
怪異が生じる場―天地と怪異 木場貴俊
百科事典と自然の分類―西洋中世を中心に 大沼由布
怪物の形而上学 野家啓一
平安京と異界―怪異と驚異の出会う場所〈まち〉 榎村寛之
驚異の場としての「聖パトリックの煉獄」 松田隆美
怪物たちの棲むところ―中世ヨーロッパの地図に描かれた怪物とその発生過程 金沢百枝
妖怪としての動物 香川雅信
イスラーム美術における天の表象―想像界と科学の狭間の造形 小林一枝
歴史的パレスチナという場とジン憑き 菅瀬晶子
妖怪画に描かれた身体―目の妖怪を中心に 安井眞奈美
平昌五輪に現れた人面鳥の正体は―『山海経』の異形と中華のキワ 松浦史子
魔女の身体、怪物の身体 黒川正剛
中東世界の百科全書に描かれる異形の種族 林則仁
西洋音楽史における「異界」表現―試論的考察 小宮正安
カランコロン考―怪談の擬音と近代化 井上真史
「耳」「声」「霊」―無意識的記憶と魂の連鎖について 稲賀繁美
釜鳴と鳴釜神事―常ならざる音の受容史 佐々木聡
死者の「声」を「聞く」ということ―聴覚メディアとしての口寄せ巫女 大道晴香
不思議なモノの収蔵地としての寺社 松田陽
寺院に伝わる怪異なモノ―仏教民俗学の視座 角南聡一郎
民間信仰を売る―トルコの邪視除け護符ナザル・ボンジュウ 宮下遼
異界としてのミュージアム 寺田鮎美
終章―驚異・怪異の人類史的基礎 山田仁史
展覧会紹介「驚異と怪異―想像界の生きものたち」